言の葉の裏の
星成和貴
樹
「俺に構わず先に行け!」
強大な敵、
このままでは二人ともがやられてしまう、だからこその言葉であったが、香織はその場を動こうとはしなかった。
「でも、いっくん……」
何かを言いかけ、俺の様子を探っている。このままでは二人とも危ないのに!
「いいから!必ず、追い付く。だから……」
その言葉は嘘だ。きっと、俺は追い付けない。しかし、せめて、香織だけは助けたい、そう思った。こんなことになったのは俺の責任だ。ならば、俺が引き受けるのが筋だろう?
「分かった……。約束、だからね?」
そう言うと、香織は踵を返し、その場を立ち去って行った。
その後ろ姿を俺は脳裏に焼き付けるように見つめ、この後のことを考える。
俺一人の力では敗北を喫するのは間違いないだろう。
それでも、再び香織と笑って会いたい。下らない日常を取り戻したい。
だから、勝てなくてもいい。どんなに無様でもいい。この場を乗りきる、ただ、それだけでいい。
俺は、ヤツへと戦いを挑んだ。
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