第9話 続・肉と生徒会
翌日の放課後になり、生徒会室に集まる焼肉を求める者たち。
「先生、まだかな?今日は朝から何も食べずに来たよ」
「えっ小春ちゃんも!?実は私もなんだよ~」
「やっぱり、そうですよね。食べ放題ですもんね」
すごく楽しみにしている、小春、会長、未琴は昨日からテンション上がりっぱなしだ。それに対して奈瑠は、朝も昼もいつもよりは少ないにしろ飯抜きにはしていなかった。昨日の言っていたこともあるから少し期待していない部分もあるのかと思っていると
「みんな、実際、完全に空腹だとあんまり食べれないんだよ。食べだすと胃が驚いて制限しちゃうんだって。だから私は少し食べて来てるよ」
胸を張って自慢している。一番楽しみにしているのは奈瑠なのかもしれない。
俺も完全に飯抜きで来ていることもありそろそろ先生の登場に期待したい。
すると、生徒会室のドアがゆっくり開いた。鏡先生の登場だ。しかし、先生の表情は昨日とは大きく違っていた。
「先生、どうしたんですか?まさか、昨日から何も食べずに過ごして限界ですか?」
小春が心配して声をかけるが先生の反応は薄い。俺が近づくと
「とうじょぉぉぉぉぉ。わだしぃどうじたらいいのか」
突然発狂しながら俺の肩を掴み揺さぶってくる。
「先生、落ち着いてください。明人君壊れちゃいますよ」
会長が先生を制止させてくれた。
「とりあえず、話しましょうか。どうしたんですか?」
「それが、今日の午前中に宝くじを交換に行ったんだよ。仕事休んでね。宝くじのセンターに持っていったら「200円の当たりですね」って言われて「10万じゃないんですか?ネットで確認したんですけど」って言ったら調べてくれたの。それで分かったんだけど、当選番号前回の見てたらしいの……だから10万円無しなの」
その言葉に生徒会全員が固まった。
「ってことは先生、焼肉は?」
「なし」
「先生の財布の中から奢ってくれるのは?」
「謝罪を込めてそれも考えたけど、給料日前だから別日ならまだいいけど今日は無理」
「鏡先生のドジッ娘!!!!!」
小春が先生に言うと机に突っ伏し沈黙。他のメンバーも空腹と絶望で机に沈み込む。鏡先生も同じく沈み込み、最後に俺も撃沈した。
これにより現在に至る
全員無気力+空腹。もうどうじようも無くなった。こんな状況を何も知らない人が見たら、「生徒会が灰になっている」と噂になりそうな光景だ。
沈黙から第一に抜け出したのは小春だった。
「あぁぁ、お腹すいた。もう、焼肉じゃなくていいから何か食べたい」
「そうだな、とりあえずなんか食べに行くか」
みんなが気力を搾り出し少し起き上がると誰かの携帯が鳴った。
「うぅ~私だ」
奈瑠の携帯だった。携帯を取り出し画面を確認する。メールが来たみたいだ。すると奈瑠が目を見開いている。
「先生、焼肉なんですけど3人分だけだったら奢ってくれます?」
「んん?確か1人2500円だったはずだから7500円か。まぁ半分なら出しても給料日まで何とかなるかな」
奈瑠の目が輝きだした。
「なら、今から行きましょう焼肉」
「えっ?奈瑠、3人って残りの3人はどうするんだよ?」
「今、メールが来たの。昨日、あの焼肉店のサイト見てたら期間限定毎日抽選で食べ放題無料が当たるキャンペーンってのが有ったから応募してみたの、そうしたら3人分当たっちゃった。お店で携帯見せればOKらしいから結果半分の金額でみんな行けちゃう」
「おぉーーーーーー」
全員が口を揃えて驚くと
「神様、仏様、奈瑠様、本当にありがとーー」
「奈瑠ちゃんすごいよ。すごすぎるよ」
「奈瑠、あなたは天才だわ」
「東城妹、いや、東城様ありがとーー」
生徒会室が歓喜に沸く。まさにどんでん返しだ。
「それじゃみんなで焼肉へ行くぞ~」
「おぉーーーーーー!!!!」
全員が立ち上がり生徒会室を出ようとした時
「ガチャ」
「大和先生ここに居たんですか。生徒会への依頼今日までだって言われてたでしょ。昨日言いましたよね?なんか浮かれてましたけど言ってなかったんじゃないでしょうね?あと、教頭先生が呼んでましたよ。早く戻ってください」
「…………あの~先生?これってもしかして」
「すまん……今度絶対奢るから~~~」
鏡先生が叫びながら生徒会室を飛び出して行った。
結果、今日の焼肉は無し、仕事の追加で生徒会メンバーは空腹の限界を超えながら依頼を遂行し普段より時間を費やし終わらせた。
結局、鏡先生に1から10まで振り回された2日間だった。
ちなみに奈瑠が当たった無料3人分は後日鏡先生抜きで生徒会メンバーで焼肉に行ったのでした。
議題:今後の俺と生徒会について ねこまねき @gagaga413
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