第2章
第8話 肉と生徒会
5月も中旬、いつもの生徒会室、静かである。
生徒会メンバー全員集合及び顧問を含む。それなのに、静かである。
こんな状況になったのは前日に遡ることになる。
普段のように放課後、生徒会室に集まっていた。現在、会長、俺、奈瑠、小春が集合。未琴は少し遅れてくるらしい。
「会長、今日の仕事って何ですか?」
「いつもと変わらないよ、生徒からの意見の処理だよ。未琴ちゃん来てないけど始めちゃう?」
普段通り、最近は大きな仕事は何もない。生徒からの依頼や意見もそう多くない。直ぐに終わってしまう。その後は、いつもと同じみんなで帰るくらいだ。
「そうですね。たぶん未琴が来る前に終わっちゃうと思いますけど」
1年生の2人は宿題をしている始末、俺と会長はそそくさと作業を始める。
10分後
終わってしまった。未琴はまだ来ていない。案の定の結果だった。
「会長、終わっちゃいましたね。この後、どうします?」
「そうだね、未琴ちゃん待って帰りにお茶して帰ろっか?」
「良いですね。奈瑠、小春2人も行くだろ?」
宿題を黙々と進めていた2人はすでに終わったのだろう机に顔を伏せ2人揃って親指を立てて前に突き出した。
さらに5分後
未琴がやってきた。
「遅くなりました。もう作業始めちゃって……もしかして終わっちゃいました?」
「あぁ、終わった。この後、みんなでお茶してから帰ろうって話してたんだけど未琴も行くよな?」
「みんな、ありがとう。作業終わらせてくれて。お茶?えぇ行くわ」
「じゃあ、みんなで行きますか!!」
と俺が立ち上がろうとした時
「よぉ、生徒会諸君。元気かーい」
鏡先生が入ってきた。まさに絶好調と言わんばかりのテンション。
「先生、どうしたんですか?ご機嫌ですね?」
「分かるか望月?そうなんだよ。私、ご機嫌なんだよ。実はな、少し前に宝くじ買ってたんだよ。それがな当たっちゃってさ~しかも10万円。これがうれしく無い訳無いでしょ?」
あぁ、この人は生徒に自慢したくて来ただけか。自慢げに当たりくじらしき物をチラつかせている。
「よかったですね先生。おめでとうございます」
「先生何奢ってくれるんですか?」
会長は賛辞、小春は
「おうおう、飯くらい奢ってやるよ。最近駅前に食べ放題の焼肉できただろ?そこ行こう。生徒会メンバー分くらいこれがあれば大したことないさ」
「流石、先生太っ腹」
小春も調子が上がってきている。俺もだんだん嬉しくなってくる。鏡先生の奢りで飯なんてこんなことがないとありつける物ではない。会長も未琴も同じくテンションが上がっていた。
「よし、なら明日行くよ。みんな空腹で集合だ!!」
鏡先生はそう言って生徒会室を飛び出していった。
「やりましたね。焼肉ですよ。楽しみですね」
「そうだねぇ~みんなで行けるなんて先生のおかげだね」
「そうね、鏡先生もたまにはいい話持ってくるわね」
小春、会長、未琴の3人の会話。あれから場所を移し学園近くの喫茶店で5人で話していた。
「本当だよ。あの鏡先生が奢ってくれるなんて奇跡だよ」
俺がそういうとずっと黙っていた奈瑠が口を開く
「まぁあの鏡先生だからね。最後にまさかってことを起こすかも知れないよ」
「そんなこと言うなよ。折角、先生が奢ってくれるって言ってるんだし。奈瑠も焼肉好きだろ?」
「もちろん、好きだよ。楽しみだし」
「なら、明日を楽しみにしていよう」
このときは、本当に珍しいことがあるもんだとみんなで浮かれるばかりだった。
奈瑠の言葉が現実になるとも知らずに……
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