おーカミよー!

阿房饅頭

カミ様はいない

 構想時間5分。

 作成時間1時間。

 文章の練習だけにつくってみました。

************************************ この世界は魔術が存在し、女性は普通に仕えるのだが男は童貞を30まで守らないと覚えることが出来ない。

 何とも不公平な世界だった。

 だが、童貞を守れば男は誰でも魔術が使え、強力な力を持つことが出来る。

 但し童貞を守るという事は裏返しでもてない男であることがわかるわけで不人気な職業だ。

 だから、40台で大抵は魔術師である男は魔術師は諦めて跡継ぎを作る。

 それが普通なのだが、たまに年若い男性の魔術師が生まれる。

 大抵は魔王を倒すために生まれ、強大な力を持っている勇者や英雄と呼ばれる男になる彼らは聖遺物を残す。

 剣や杖。

  さらには切った爪など。

 だが、一番残っているのは散髪をした髪の毛。

 それを私は集めることが大好きだった。

 何故なら私はHAGEだから。

 そして、英雄の髪の毛を手に入れれば、HAGEの髪を戻してくれると言う話があったのだ。

 だからこそ、仕事に明け暮れて気付いたら30になって、童貞を守ったということで魔術師になった時、ふと気付いたのは自分の薄毛。

 

――髪の毛を洗うとスッと抜ける髪。

 

 そして、残り少ない髪。

 愕然とする私の髪。

 

「おー髪よー」


 私の髪を守りたい。その一心で魔術の精髄を注ぎ込んだマジックアイテム。

 それは瞬く間にウケてしまったのだ。

 世の中の薄毛の人たちは結構いるわけで瞬く間に広がっていく。

 

 魔術師は結構いるわけだが、そういう俗っぽいことに使う人はいないし、魔術師は女性が多いと言うので髪のケアはあったとしても髪の毛が生えるようなことはないわけで。

 しかし、自分の髪だけはぼろぼろと抜けていく。

 

 どうしてだ。私の髪だけはどうして抜けていくのだ。

 正直増えていく同士たちに聞いてもそれは自然の摂理だと言う答えしか得ることができなかった。

 最悪な気分になって行く私。

 

 そして、聖遺物の話を聞いて、私は英雄の髪を集め始めた。

 あとは髪の神様を探して歩き回ったことさえもあった。

 

 その探求の果て、40歳でHAGEになった私が見つけたのが、ある祭壇だった。

 

 そこには髪が生え続けている神様がいて、英雄の髪をもとめていると。

 私はそれを求めて、とある村の奥地の泉の祭壇に来ていた。

 

 そこには一匹の白いわんこがいた。

 並々と注がれる泉の中、白亜の祭壇が一つ。

 神々しい祭壇の中に一人二足歩行で立ち、後光を放つ犬神様。

 

「貴方様が髪の神様ですか!」


「そうだ。私が髪の神様のふさふさわんこである」

 結構可愛い外見のふっさふさの白い犬だが、声だけがやたら渋い感じのする声だった。

「お会いさせていただきまして恐悦至極でございます」

「ふむ。いつも私に会うものは私の容姿について色々なことを言って侮られ気に入らないのだが、そなたは何も言わないのだな」


 確かにそれは色々と言いたい。

 可愛いだとか、渋い声が容姿に似合わない声だとか。

 だが、一つだけ私が尊敬したいことがある。

 

 フサフサ。

 全身が毛で覆われているその姿は私に希望を与えてくれる。

 

「神様、私に髪の毛を下さい。その為にも英雄の髪の毛をこれだけ集めました」


 私は箱いっぱいの髪の毛を差し出す。

 

「ふむ。それは常軌を逸してオッホン」

 酷いことを言われたような気がしたのは気のせいでしょうか。

 しかし、今はそんなことを考えては駄目だ。

 失礼なことをすれば私の髪は生えないのだ。


「さて、お前が望むのはフサフサの髪か」

「そうです。でないと、私はずっと独身の魔術師だ!」


「なるほど、そうか。ならばチチンプイプイ、ん?」


「どうかされましたか?」


「その脂ぎった体を清め、欲望を清めないと駄目だな。あと、食生活も改めねばならんな」

 確かに自分は不摂生で体がたるみきっていて、ご飯も適当に食べていた。だから、脂ぎっているかもしれない。

 けれども、貴方に会うだけに努力はしてきたはずだ。

 なのにどうして。

 

「まずは清らなか気持ちと腹できなさい。私にも出来ることとできない事はある。先に髪は前借だ」

「ちょっとー!」

「ちなみに男と遊ぶ趣味もやめなさい。心が穢れるぞ。体は綺麗にして、きちんとした生活をしなさい。さすれば私はまたそなたの前に現れっ、カミ様じゃないぞ私は。ふさふさ犬神様だ」


 威厳もなく祭壇の中に消えていく白犬。

 そして、英雄の神も消えていく。

「神さまー! 私の苦労はどこにうわー!」


 どうして、こんなことになったのか。

 頑張ったのに。

 確かに色々と私は欲望に忠実だったのかもしれない。

 なのに、くそう。

 

「オー神よ! 神様はいないのか!」


 私の叫びが祭壇に響き渡る。

 ついでにアホーアホーというカラスの声が聞こえたのは気のせいだと信じたい。

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