第3話 操作不能。
僕は、砂漠の上に立っていた。
空は青から赤、赤から青へと目まぐるしく変化していた。
そうした状況の中、左側からは外獣、右側からは機動兵器の集団がやってきて、戦闘を開始したが、何一つ音は聞こえなかった。
僕自身は、その場に立っていることしかできなくて、ぶつかったり弾が当たっている筈なのに何も感じなかった。
そこへ一発のミサイルが飛んできた。動けないので、避けよられない中、案外大きいものだと思った。
目を開けると、そこは食料を摂取する部屋だった。
さっき見たものは、いったいなんだったのかと思っていると、警報が鳴っていることに気づき、体を起こしてハンガーに向かった。
「おい」と近くに居た同類に声をかけた。
「なんだ?」
「目を瞑っている間に変な映像を見たんだが、お前見たことあるか?」
思っていることをそのまま言葉にした。
「見たことない。それがどうかしたのか?」
「いや、なんでもない・・・・・・・」
自分でも、あの映像をどう表現すればいいのかわからず、言葉が続かなかった。
同類は、前を向くとハンガーへ行ってしまい、僕も同じ行動を取った。
ハンガーに着くと、機動兵器の補充が済んでいたが、右腕にはガトリング砲ではなく、別型の腕になっていて、手には別兵装を握っていた。
「おい」
反対側から来た生成されたばかりの同類に声をかけた。
「なんだ?」
「機動兵器を見て、どう思う?」
機動兵器を指さしながら聞いてみた。
「どう思うって、どういうことだ?」
聞き返されてしまった。
「僕にもわからないんだが・・・・・なにかだ」
とりあえず言葉を口にした。
「知るわけがないだろ」
そう言うと、機体に乗ってしまい、取り残された僕は、残っている機体に乗って右腕がワイヤー射出型で、握っている兵装がリボルバズーカであることを確認して、基地から発進した。
今日乗った機体は、問題無かったようで、途中で転倒することもなかった。
前進していると、正面モニターが敵群を映した。前方は小型だったが、その後ろには見たことのない大きなものが見え、パネルを見ると大型に分類され、銃弾の効かない剛毛、巨体ならではのパワーに加え俊敏さを持った外獣であるというデータが表示をした。
全機停止して、敵群に向かってリボルバズーカを発射した。バズーカは反動が強いので、ミサイルランチャーと同じく機体を停止させないと撃てないのだ。
発射された弾が着弾して爆発し、外獣を吹き飛ばしながら、敵群を爆炎で覆い尽していく。
攻撃を続行していると、地面が揺れ、隊列の真ん中辺りの地面が盛り上がり、僚機が吹き飛ばされていく中、巨大なものが勢いよくが突き出てきた。
現れたのは、長くて太い生き物で、目や耳に体毛は無く先端には丸い口のようなものがあって、周囲には牙が生えていた。パネルを見ると、超大型に分類され、土中を移動し、口から強力な溶解性を持つ毒液を吐くというデータを表示していた。
データ通り、口から真っ黒な毒液を吐き、倒れたまま動けず、直に浴びた僚機は煙を上げながら跡形もなく溶け、地面には黒い窪みができていた。
僚機と一斉攻撃し、表皮を削り傷口からは真っ黒な血が流れ出ているものの、効果も無かったかのように体を大きく前へ曲げ、地面に頭を付けると砂を巻き上げながら潜っていった。
そして前方の攻撃が緩んだところへ、他の外獣達がなだれ込んできて、混戦状態となり、小型を倒している最中、僕の方へ向かってくる一匹の大型外獣目掛けてバズーカを撃ったが、大きくジャンプして、弾だけでなく機体ごと飛び越えて背後に着地するなり、機体の腕よりも太い右腕で殴りかかってきた。
機体を後退させて攻撃を回避し、停止したところでバズーカを撃つと、右腕に命中して吹き飛ばした。
腕の無い右肩からは大量の血が流れているというのに怯むことなく向かってくる大型外獣に対して、再度バズーカを撃つと、近くに居た僚機を掴むなり、放り投げてきた。
弾の直撃を受けた僚機は大爆発し、その衝撃によって後方に吹き飛ばされ、体勢を崩したところに迫ってきた大型外獣に対して、ガトリングを撃ったが、データ通り剛毛には全く効かず、僅かに当たった個所から少量の出血が見られる程度だった。
大型外獣は、唸り声を上げると、残っている左腕で殴りかかってきたので、機体を左側転させて攻撃を避け、体勢を立て直したところでトリガーを引いたが、さっきの爆発で故障したのか弾が発射されなかたので、弾倉で顔面を殴ることにした。
その一撃によって顎が歪み口からは大量の血を流し動きが止まった大型外獣へ弾倉を放り投げ、ガトリングを撃って爆発させ、顔面を吹き飛ばすことで倒した。
代わりのバズーカを探している最中、超大型外獣が現れ、毒液を吐いて周辺に損害を出し、ガトリングで応戦したものの、やはり効果は無く地面へ潜ってしまった。
他の外獣は僚機に任せ、超大型だけに狙いを絞ることにした僕は、地鳴りを頼りに次に出てくる場所を割り出し、姿を見せ毒液を吐く為に体を前に曲げたところで、反対側に回って右手のアンカーを発射し、体に刺さったことを確認するとリードを巻いて距離を詰め、表皮に足が着くとローラーを回して駆け上った。
僕の存在に気付いた超大型外獣が、逆向きに体を曲げて口を向けてきたところで表皮を両足で蹴って、口よりも高く飛び上がり、毒液を吐くよりも早くガトリングを口の中へ入れ、トリガーを引いた。
弾倉が空になるまで撃ち、口の中から煙が出た後、超大型外獣の体が、崩れるように傾き始めた。
ガトリングを切り離し、アンカーを外して、再度表皮を蹴って超大型外獣から離れ、背中から着地して、機体を動かそうとした瞬間、側で起こった爆発によって吹き飛ばされ、落下したところが急勾配だった為に、そのまま転がっていった。
回転が止まると、体がシートから離れて、天井に付いることから、機体が逆様の状態であることが分かり、体を起こしてコントロールスティックを動かすも全く反応しなかった。コントロール系の回路が故障したのだろう。
それからどうにか外に出ようと、体当たりして機体を揺すってみたものの、どうにもならなかった。
遠くで爆発音が聞こえる中、僕は何もできない状況に置かれてしまった。
機動兵器に乗っている間、機体を動かせない時の対処法を一切知らなかったからだ。座り込んだままじっとしている内に、自分でも気づかない間に目を瞑っていて、近くで大きな爆音を聞いた後、目の前が真っ暗になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます