第2話 換装。

 天井から出撃を知らせる警報が鳴った。


 目を開けて体を起こし、ヘルメットを着用して、部屋から出ると、ハンガーには機動兵器が補充されていて、反対の通路からは新しく生成された同類が出てきていた。


 手近な機体に乗り、基地から発進して、僚機と前進していると、機体が右側に傾き始め、停止しようとした時には転倒して斜面を転がっていた。


 転がりが止まり、僚機が見えなくなる中、機体から出てみると、砂漠という地面は黄土色で、空が青いことを知った。


 それから右足を見てみると、足底のローラーを止めているボルトが外れかかっていたのが原因だとわかったが、僕にはどうすることもできないので、再搭乗して他に損傷が無いか動かして確認すると問題無かったので、二脚走行で前進した。


 歩行よりも大振りな動作の為、コックピットに伝わる振動も大きかった。また、ローラー走行に比べるとスピードも格段に遅く、斜面を登り切って僚機が見えた時には外獣と交戦状態にあった。


 機体の腰を地面に着け、ガトリング砲を撃ちながら斜面を下って、戦闘に介入し、僚機を誤射しながら敵を倒していく。


 僕も誤射され、右側のモニターと腕が損傷したので、右腕を切り離した後、穴の空いた右モニターを蹴って、装甲を外側に曲げることで作った大きな隙間をモニター代わりにすることで視界を確保した。


 戦闘が続く中、左モニターに飛ばされていく僚機の姿が見えたので、機体の向きを変えると、頭に巨大な角を持った敵が見えた。パネルに中型に分類され、頭の角と全身を覆う厚い皮膚による突進を得意とする外獣であるというデータが表示される。


 中型外獣は、僚機も小型外獣も関係無く突き飛ばし、途中避けきれなかった僚機を角で突き刺したまま僕の方へ迫ってきた。


 機体を逆走りさせて攻撃を回避するも、すぐに向きを変えて再突進してきたので、角に突き刺ったままの僚機を狙い射ち、それによって発生させた爆発によって外獣の頭を吹き飛ばした。


 頭部を失った外獣は、数歩進んで腹を地面に付けると動かなくなった。


 それから戦闘を続けていると弾が切れたので、左腕も切り離して、火炎放射器を使おうとすると両脚部から火が出た。二脚走行の振動によって、火炎放射器の燃料が漏れて引火したのだろう。


 このままでは戦闘を行えないと判断し、周りに使えそうな機体がないか探していると、僚機がぶつかってきて、互いに前倒しになった。

 

 機体が全く動かなくなったので、蓋を開けて外に出ると別の中型外獣が迫っていた。倒れている僚機を見ると損傷が軽微で使えると思い、僚機に飛び移り、外から蓋を開け、中に居て抵抗する同類をシートから引き離して、外獣に向かって放り投げた。


 中型外獣が、同類に気を取られている間にシートに座って機体を起こすと、外獣がこちらに気づいて向かってきた。


 そこでさっきまで乗っていた機体から離れ、中型外獣が近付くのに合わせてガトリングを撃って爆発させ、それによって横倒しになった外獣の一番の弱点である腹部に弾を直撃させて倒した。


 新しい機体で戦闘を続けている中、空に黒くて横に長いものが多数見えた。パネルを見ると飛行型の外獣であることがわかった。


 飛行型は、戦闘領域に入るなり、急降下してきて、口ばしで僚機を突き飛ばし、足の爪で掴んで放り投げるという攻撃をしてきた。


 地上と空からの攻撃を受けている中、後方から別の飛行物体が見えた。基地から射出された武装コンテナであり、空中で分解して武器を投下したが、中にはそれに当たって潰れる僚機も居た。


 投下されてきたのはミサイルポッドで、両腕のガトリングだけを切り離して、近くに落ちているポッドへ行き、両腕を左右のコネクターに接続させ、抱えるようにして持ち上げて蓋の上に乗せミサイルを発射した。


 一発射つ如に、コックピットに二足走行時以上の振動が伝わってくる中、飛んでいったミサイルは飛行型を追尾して撃破していった。


 そうして弾切れが起こる度に、未使用のポッドと換装し、飛行型と地上に居る外獣をミサイルと火炎放射器を使い分け、交互に撃破していった。


 外獣を全滅させ、戦闘が終了した頃には、機体は僕の操作を全く受け付けない状態になっていた。


 僚機が引き上げていく中、使えそうな機体が見当たらないので、外に出て近くを通る僚機に飛び移り、外の取っ手を掴んだまま基地へ向かった。戦闘をするわけではないので、無理に乗り換える必要がなかったからだ。


 その最中、空の色が青から赤に変わっていることを知った。


 


 


 

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