第4話 004【青山 美咲サイド】
わたしの朝の日課。それは、べっ
べっ
ローズエキス、ブラックタピオカをいれたドリンクなの。
メイドがクリスタル製のトレイに載せてベッドへ運んでくれる。それを飲まないと、わたしは気持ちよく起きられない。
「美咲さん、おはようございます。お召し上がりくださいませ」
今朝もメイドがべっ甲ソーダをトレーに載せて持ってきた。ストローでゆっくり飲むと、胃の中でシュワシュワと音がするようだ。
炭酸でお腹を満たしてから、1時間は食べ物を食べないことにしている。
この1時間の間にわたしがすることは、入浴で発汗すること。
まず、スチームサウナで体に潤いを与えつつ、毛穴を開かせる。わたしのスチームサウナは、壁も天井もローズクォーツの原石が隙間なく埋め込まれている。まるでキャンディでできた部屋みたいなの。
じんわり流れてきた汗をシャワーで流して、次はサウナルームをでてジャグジーに入る。ジャグジールームの大きな窓からは、東京の街を見下ろせる。
まりあの住むレジデンス
ママがよく言っている。「スピード力が明日の成功を勝ち取る」って。ママはとにかくスピード重視で生きている。時間を無駄にしていたら、今頃ママの会社は潰れていたそうだ。
そんなわけで親友の家へ瞬時に行ける方法を思いついたのだけれど、こないだまりあに提案したら
「そういうバカなあんたが好きよ。安心して」と言われちゃった……。
でも、あきらめないから。
さて、今日は土曜日。学校は休み。スマホのスケジュールをチェックすると、「4月16日 AM11:00 ビッグバンTV取材」とあった。
まだ取材まで時間はあるみたい。オーディオブックを聞きながらジョギングしてこようっと。
昨日、ダウンロードした「マインドストームで作れる合コン必勝メカ
著者の伝田くんは、
AM10:50ビッグバンTV本社ビルに到着。車の中でランニングウェアからワンピースに着替えてある。
ビッグバンTVは、ママが会長を務めるカッパホールディングスのグループ会社なの。
ビッグバンTVのタヌたん社長がうちの車のドアを開けた。
たぬきににてチャーミングだから、タヌたん。タヌたんは、29歳独身。
「おはようございます、美咲さん。お忙しい時間を頂き、ありがとうございます」
「たぬたん社長おひさしぶり!今日はよろしくおねがいします」
最初、ビッグバンTVは、カッパホールディングス本社のいちフロアの片隅に、デスクひとつ、タヌたん一人ではじまった企画だった。
ネット動画配信のシステムを構築して、ひとりでスポンサーに掛け合って、ひとりで広報活動をして、地道に作ってきた部署が、
2年でグループ会社に昇格した。タヌたんは、やり手なの。
ビッグバンTVはいわゆる、インターネットテレビ放送局。ネットに繋げれば、いつでもどこでも番組がみられるの。
BキッズCH、BスポーツCHとかいろんなチャンネルがある中、今人気なのが『BティーンCH』なんだ。
『BティーンCH』というのは、10代であれば誰もが制作に参加チャンスがあるチャンネルなの。
だいたい高校毎に動画制作の部やサークルがあって、そこで番組を作っている。
まず、ビッグバンTVに企画書を提出して、通れば対面プレゼン、採用されれば制作サポートを受けて番組作りができるシステムというわけ。
制作サポートというのは、制作費や技術面でのサポートだったりするんだけど、その辺はわたし、詳しくないの。
わたしは『BティーンCH』に関しては、視聴専門。だって、経営者の娘が積極的に出演したり制作してたらおかしくない?
わたしはなんか、そういうの恥ずかしいな。
ムリだよ!
でも、たまにこうしてインタビューにかりだされるの。親孝行と思ってがんばるけど。
鈴凛学園の部活やサークルでも、『BティーンCH』の活動をしているみたい。
わたしの好きな番組は、『3分で落とせる鈴凛調理部クッキング(趣味教養)』『リアルオーディション(バラエティ)』『鈴子のウォークアウトクローゼット(バラエティ)』あたりかな。
他の学校が制作しているものだと、G院の『ごきげんよう日本(報道)』、M女学園の『ツイスターゲームDEピラティス』とか、T女の『
もおもしろいよ。
スタジオにはいると、撮影スタンバイは整っていた。
番組名は、『スターティングバー』。視聴者リクエストで選ばれた組み合わせの2名が、バーカウンターで対談するの。
これもけっこう『BティーンCH』で人気番組のひとつなんだ。
星と月がイメージされたセットのバーカウンターに、
イットガールとクイーンと、ダイヤモンド。 ランブータン @celia-cruz
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