永遠


 果てのなきもののひとつに秋の空



「秋の空」は、秋の季語。

 澄み渡った秋の青空は、高く大らかだ。遠くの風景も、その澄んだ大気の中では色鮮やかに、近くに見える。






 果てのないもの。

 永久に、終わることのないもの。



 そんなもの、きっとどこにもないのだと——

 そう思っていたけれど。




 それは、誤りかもしれない。





 ひとつだけ——


 愛し合うこと。



 そこには、「永遠」が存在するのかもしれない。




 なぜなら——


 今日、誰かを心から愛していること。

 その気持ちが、明日突然消えることは、ありえない。


 明日、誰かを深く愛しているその想い。

 それが、明後日急に消え失せることも、ありえない。



 そうやって一瞬一瞬を想い合う二人の間に、いつか激しい喧嘩が起こっても——

 それをそのままに放置できる彼らではない。


 寄り添わなければ、二人にはその先の道などないのだから。




 そう考えてみれば——

 そんな二人の想い合う心が、どこかでぷつりと途切れてしまうことは、起こり得ない。


 その命が続く限り。





 そして。


 二人が強く、深く信じ合うならば——

 死さえも、二人の心を分かつことはない。





 ひとつだけ——永遠に続くものを見つけた。


 我ながら、素敵な発見だ。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る