当たり前のこと


 陽の去りて空残さるる夏至の暮



「夏至」は、二十四気の一つ。陽暦6月21日頃にあたり(2019年の夏至は6月22日)、北半球では昼間が最も長い日である。

「夏至」は、夏の季語。









 時が流れる。



 日が沈む。

 花が散る。


 大切な人と別れる。

 身の回りの全てが、瞬く間に通り過ぎていく。




 どれも、当たり前のこと。


 なのに。






 日が昇る。

 花が咲く。


 大切な人と出会う。

 やがて巡り来る何かに、想いを馳せる。



 そっくり裏返せば、人生はそういうもので満ちているはずなのに。





 かなしいことの方が、喜びよりもずっと深く、心に跡を残していく気がして。



 

 ——当たり前のことが、こんなにもかなしい。






 そんな自分だから。

 崩れそうな自分の肩を、自分で優しく抱いて。



 そうやって、歩いて行こう。






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