酔い覚め

 

 酔ひ覚めの記憶拾うて夏の月



 夏の月は、主に涼しさを感じる月のこと。「月涼し」という傍題もある。夏の季語。

 


 夏の宵、気心の知れた友達と飲み、話に花を咲かせた。浮き立つようなその楽しさについ酒が進む。


 夜も更け、ふわふわとした酔いに身を任せたまま、会もお開きになった。夢心地のまま歩き、気づくと自分の部屋まで到着していた。



 暗い部屋には、窓から月明かりが射している。

 照明をつけずに窓を開けた。


 穏やかな月の光が入ってくる。

 部屋の中の物影が、薄白く照らし出される。カーテンを柔らかに揺らす風。

 まろやかに優しい静寂。



 その明かりの中で、さっき仲間と夢中で話した記憶を辿る。

 酒のせいでところどころ忘れかけた言葉を、ひとつずつゆっくりと拾い上げるように。

 後悔も反省もいらない、ただ楽しい時間を振り返る幸せ。



 夏の月と友、酒。

 どれも、私にとって手放せない宝物だ。









 

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