風の肌触り
肌撫づる風のいとしき梅雨晴間
梅雨晴間は、梅雨の合間に半日や一日、または1、2時間晴れること。夏の季語。
梅雨の晴れ間。厚い雲が切れ、太陽の明るい陽射しと青空がのぞく。草木はそれを迎えるように美しい緑をさざめかせて輝く。同時に、さらさらとした心地よい風が窓から流れ込んでくる。
——風が肌を撫ででいく感触を、目を閉じて感じる。
何の感触に似ているだろう。
やわらかく、なめらかで、さらりとして……どこまでも優しい。
この肌触りに近いものは、いくら考えても思い浮かばない。
ほかの何にも例えることのできない感触。
でも、その風は、あっという間に通り過ぎていく。
何のためらいもなく。
悲しむ間もなく、またすぐに次の新しい風が訪れる。
そして、それも一瞬で去っていく。
決して留まらず。それなのに、絶え間なく肌を撫でる風。
その優しいものは、追いかけたくても叶わず、指で触れたくてもすり抜ける。
捕まえようと思えば思うほど、その空しさに悲しくなる。
——それでも。
そんな身勝手な望みをすべて捨てれば、風はまた優しく私の周りに寄り添う。
何も求め合わなくていい。
ただ静かに感じているだけで、満たされる。
風とは、なんて愛おしいものだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます