第十話 青のパッチ つたない詩ですが・・・Ⅱ

「無言の圧力」


好きな男でも ないものを

誰が好き好んで 春など売るもんか


大金積んで 乞い願うなら

場合によっちゃあ 売るかもしれないが

見知らぬ男に 誰が売る

誰が好んで 春を売る


売るには売るの 訳がある

訳は 権力どもが蓋をした

暴力よりも タチ悪い

それは何かと いうならば

無言の圧力と いうものだ


権力どもは 化粧して

歴史の中で 目隠しだ

そう すべては闇の中

深く 悲しい

闇の中・・・



「眠ったままに」


無言の存在が

混沌と 戸惑いを招く


俺は

冬枯れの 梢を折った


奴らは

眠ったままに 死んで行くのだ


永遠にとはいわないが

見飽きちまった この街 この山 この海


見飽きちまったといえども

人生は 俺そのもの


情けないが

どこまで行っても 俺の人生


無言の存在が

混沌と 戸惑いを招く


俺は

眠ったままに 死んで行くのか


バラには

バラの 夢があった


おのれのトゲを

露でぬらせて 美しい夢を持っていた


俺は見た

どこまでも続く 白銀のレール


レールは

青い空を そのかたくなな体に閉じ込めた


遠く遠く

その向こうに 何があるというのか


ああ

俺は 見飽きちまった


生きる証の骨組みが

ギシギシギシと 音を立てる


吹く風には

いつも 夢があった


遠く遠く

彼方から 光を宿してやって来た


止むことのない

緑の風が 吹き抜けて


見飽きちまった

俺の夢の端を 奪い去っていた


その時

折った梢は ばかばかしそうに白い息を吐き捨てる


灰靑のバラの回廊を

回ったものは 胸の底まで蒼くなる


染められし心は

バラの魔手より 逃れる術はないのだ


ああ

偽りの 陶酔の時が来る 


俺たちが

生き続ける証は 砂漠にあった


砂漠の中では

腐っちまった学問が プロセスチーズを作り続けていた


臆病で

貪欲な口を持つハエに 熱い眼差し


眼差しの中

俺は糞尿の山に 黄金の城をおっ立てた


俺が生きる

唯一の証は おっ立てる意外に術がなかった


腐っちまった脳みそは

メリーゴーランドと 女の足


油皿のグリンピースは

安酒場で 踊りながら崩れ去った


せき立てる影に

重みのない脳みそは プラネタリウム


閉じ込められた哀れな俺は

写された星のように 自分の存在すら証明できない


ビロードが

ビロードであることを 高らかに歌っていた


ああ

一グラムの重みもない 俺の人生


陶酔の時が来る前に

俺は 眠ったままで死んで行くのか・・・

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パンドラの壺を覗いて ゆきお たがしら @butachin5516

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