第九話 青のパッチ つたない詩ですが・・・

「雨と私」


心が

そして 疲れた体に

冷たい 雨が降る


静かな 雨は

電線を 濡らし

いつの間にか 水滴をつくっていた


水滴は 己の重さに耐えきれず

大地を目指して 音もなく落ちていく

落ち行く先は 名もなき雑草


雑草は 細い腕を 

精一杯に広げ 背筋を伸ばして

気丈夫に 立っていた


思いもよらぬ 水滴に

思いっきり叩かれた 雑草は

大きく身震いして 振り払うと

何事も なかったかのように

打たれる前と 同じように

静かに 立ちつくしていた


ああ 私も

あの雑草のごとく

叩かれても 叩かれても

何事も なかったかのように

静かに 静かに

立っていたい・・・



「砂と波のコンチェルト」


白い波 青い空


果てしない


あの日の 海辺のように


透きとおるベールをまとい


緑の妖精は ヨットと戯れ


五月のそよ風は 絹の栗毛と戯れる


砂と波との ひそかなささやき


その時 二人は


そっと ボンジュール


砂と波との ざわめきの中


その時 二人は


そっと ボンソワール


潮風が 二人を包み


砂に残した 幼き愛を消していく


二人が愛を知るのは いつの日か


二人が愛を知ったのは いつの日か


九月の海辺に 


夏の日が ささやく


ボンソワール ボンソワール





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