まるとわたし

第8話 まるくんのおしごと

まるには重大なおしごとがある。

それは、自営業をやっているうちの営業マンである。

生まれてから４ヶ月ぐらいで、昼間のうちはずっと事務所で過ごすようになった。

トイレは事務所を出てすぐの廊下にあるので、ちょこちょことわたしが面倒を見ることにする。

もちろん子猫なので、眠い時間は多い。

が、その寝ているときですら、しっかりと営業をやっている。

「うわ、かわいいですね」

事務所に来たお客さんは、大抵言う。

もちろんお世辞なのかもしれないが、飼い主（わたし）としてはおとなしいまるがそのまま寝てたり、誰かが来ても動じない様子はすごいな、と思う。

事実、まるより半年後に生まれた、まるの弟や妹は人に慣れていないので、知らない人が来た場合には、ものすごく逃げる。

双子の甥と姪がいるのだが、その子たちが「まる～～～！」と寄って行っても逃げずにその場でゴローンとする。

挙句の果てにゴロゴロと気持ちよさそうに撫でさせている。

そんなまるの一日。

７：５０　会社に出勤　一従業員なので、遅刻しないようにきっちり出勤。

８：００　始業　一日の始まりとしてご飯を弟妹と共にいただく。

８：１５　見回り　洗面台の窓から外を眺め、見回りとする。

９：００　熱中症にならないよう、水分を補給後、待機（おひるね）。

１２：００　皆の昼食に合わせ、パウチご飯をいただく。

１３：００　見回り　午前中から何か異変がないか、洗面台の窓から見まわる。

１３：４５　午前同様、熱中症対策として水分補給後、待機（おひるね）。

１６：５０　小腹が空いたのでご飯。もちろんこだわりのカリカリである。

１７：００　退社　おかかえ運転手（かいぬし）に運転をさせる。

もちろん、帰宅後も家の見回りや、勝手に動きまわるおもちゃの始末など、色々な雑務に追われる。

そして、就寝はおおよそ２３時である。

就寝時には、飼い主のまくらにて行い、飼い主を不自由に眠らせるまでが、まるの仕事内容となっており、寝てからも忙しいのである。