『詩集・今書いている詩Ⅲ』
@19643812
第1話
清水太郎の部屋に投稿していた詩から50偏を選んで投稿しました!
『詩集・今書いている詩Ⅲ』
たろうさんの輪廻(りんね)
たろうさんへ「…奇遇ですね…」と
嬉しいメールがありました
「…奇遇ではありませんよ、今の世に
共に生きているのは前世でも
一緒だったのです…」と返信しました
そうなのです たろうさんは
人は輪廻を繰り返すと考えています
この世で果たせなかった思いは
次の世に引き継がれるのです
だから一度限りの命ではありません
「…恋人・妻・兄弟・親子・友人・
師弟だったのでしょうね…」と続いて
返信しました
たろうさんはまだ見ぬ人のことを
考えると嬉しくなります
想像力が異常に働くのです
娘さんにいつも「次の世でも 親子でいたい」と
言っては顰蹙(ひんしゅく)を買っています
そうなのです 親子は夫婦よりも強い関係なのです
夫婦は離婚してしまえば他人ですが
親子はいつまでも親子ですからね
「俺が死んだら お父さんはお前の
守護霊になって守ってやる」と言うと
「肩が重くて困るわ」と言い返されます
それでも嬉しいたろうさんです
洋子さんとは次の世ではどうなるのでしょうね
考えてますか たろうさん
たろうさんの明日
たろうさんの明日は
真っ暗な天井を見つめて考えます
昼間は天井板の模様を眺めていました
眠って起きれば何ともない朝が来て
仕事に出かけてゆく生活が戻ってきました
何も変わらない生活です
希望も見えてはいません
(せめてロト6か ミニロトがあたっていればなぁ~)
からだが健康であれば
お金は働いた分だけ入ってきますよ
娘は時々帰ってきます
神さまを忘れて仕事に出かけます
残業でいくら働いても年金は
カットされてしまいます
ため息が出ます
(愚痴ばかりですね たろうさん)
でも健康が宝ですね
打ち出の小槌です
(取るに足る生活ですよ)
たろうさんには洋子さんと
近くに娘さんがいるではありませんか
今日も眠って起きる生活です
「たろうさん 不満がありますか」
「なんだぁ~わたしと同じなんだぁ~」
そう思っているあなたは普通ですよ
何も変わってない平凡な生活が
幸せなのですねたろうさん
たろうさんは都合の良いときだけ
神さまを思い出します
たろうさんの不思議な縁
ファンヒーターが唸って
加湿器の湯気があがる
雲に日差しが遮られて
寒くなった午後のリビングで
ひとりのたろうさんは
ボンヤリと考えます
夫婦の縁とは 親子の縁とは
友達の縁とは 別れた恋人との縁とは
何だろう
前世で果たせなかった思いが
この世でのめぐり会いだとしたら
妻以外の女の人とセックスしなかった
たろうさんは思いを残して
次の世で再会を果たせるのでしょうか
男と女は「合い縁 奇縁」と言いますよ
たろうさん
錘のついた糸が右左に揺れるように
人は善と悪を繰り返し
糸の振れが止まったら
悟りとなり輪廻はやむそうですね
この世では善にも悪にも
振れてないたろうさんは
次の世があるでしょうね
「また次の世で娘と親子の縁に
繋がりたいなぁ~」と甘い考えの
たろうさんもっと厳しく生きましょうね
「仏縁の赤い ぶっとい糸で結ばれた
洋子さんは一日中パートで遅いですよ
羊羹を食べて 待ちなさいね」
たろうさんは思い出したように
冷蔵庫の扉を開けました
たろうさんの峠
たろうさんは山の峠に
向かって登って行きます
まだ途中です
峠を越えたら
希望に出会えるだろうと
思いながら背中の
荷物の重さに耐えています
何処まで登っただろうかと
振り返っても人生の原生林に
囲まれて視界が悪いうえに
不安という霧が覆っています
たろうさん荷物が重いのなら
休み休み行きましょうね
まだ峠は先ですよ
あなたの荷物の中身は何ですか
大きな愛ですか
思い出ですか
生きる苦しみですか
悲しみですか
不安という恐れですか
(重いお米だったりしてね)
峠に辿り着いたら
荷物を降ろして
いらない荷物は
捨てましょうね
軽くしましょうね
だから今諦めては
いけませんよ
登り終えるのです
あなたの荷物には
愛と希望も詰まって
いるのでしょう
あの峠は老いの坂です
今はその途中です
付録のような楽しい
人生もありますよ
たろうさん峠を越えても
明日を期待し過ぎて
人生の下り坂で
躓いてはいけませんよ
洋子さんも傍に
就いていますからね
たろうさんの土曜日
朝7時40分に洋子さんをパート先の
エコスたいらや西寺方店に
送って帰ってきてたろうさんは
2日間の仕事の疲れから寝ていました
昼前に起きて洋子さんの
「今仕事が終わりました」の連絡を待ちます
今日は娘さんが帰ってくる嬉しい日です
エコスたいらや西寺方店からスーパーアルプス恩方店の
宝くじ売り場に行き小さいほうの駐車場に止めるのです
此処に止めるほうが当たると確信しているのです
洋子さんはミニロトを3枚 スクラッチを2種類3枚ずつ買いました
たろうさんはロト6とミニロトを 3枚ずつ買います
直ぐ近くのセームス西寺方店でたろうさんのスーパーユンケル1箱と
白元の貼るカイロミニ10個入り3個と
フランスの水コントレックスを3本買いました
今日の昼は昨日のカレーを食べると言いながら
たろうさんはパンの袋を開けてしまいました
「違うでしょう」と洋子さんに言われて
たろうさんは慌てて袋を閉めましたが遅いです
キュウイの木を切りかけて大仕事に気付いた
たろうさんは「どうする」と洋子さんに聞きます
「会社に持って行く袋は今日作らなくていいの」と
言われ慌ててやめます
腕も痛さがあまり感じなくなったのでたろうさんは
思いきってやろうかと思っていたのです
食事を終えた洋子さんはスクラッチを削ります
1000円と200円が2枚当たり1400円で
200円の儲けです
流石はあげまんの洋子さんです
たろうさんの袋を縫うミシンの音がリズミカルに聞こえます
冷蔵庫には娘さん専用のカップヨーグルトが入っていました
たろうさんは自分のヨーグルトに入れそうになり
「これは里美のだな」と聴き返しました
娘さんの大好きな苺を洋子さんは買うのを忘れてしまいました
空が曇ってきましたお金のなる木に日が当たらなくなりました
ガビチョウの番(つがい)が餌台で仲良く餌を食べています
娘さんを高尾駅まで迎えに行くまで時間をもて余している
土曜日の嬉しいたろうさんです
たろうさんの極楽浄土
たろうさん極楽浄土はあの世ではなく
あなたの目の前にありますよ
仏法の辿り着いた最終の地
この日本にあるのです
今のあなた達の繁栄こそが極楽浄土です
滅法による子どもたちの虐待
老人の孤独死 理由なき殺人など
地獄のあり様ですね
でもマスコミに踊らされてはいけません
現世こそが極楽浄土です
テロリストの自爆に怯える必要はありません
日々のありふれた生活があるのです
宗教対立からの戦いのない国ですよ
終戦からの平和こそが願いですね
神も仏も愛と平和を願っているのです
神も忘れ 仏も忘れ
唄い 笑い 騒ぎ 嬉し泣き 叫ぶ
あなたが わたしが みんなが 愛し合い
この世の極楽浄土を味わうのです
それが神と仏の願いです
たろうさん重い瞼を挙げて
この世をよく見なさい
心の目で見なさい
「世上 みてたんのう(堪能)」
あなたの叔父さんが下手な字で
額に入れて飾ってあった言葉です
案外身近な所に神仏を
見つめている人がいるのですよ
信じ合うのです
愛し合うのです
求め合うのです
この世の命果てるまでね
たろうさん
たろうさんの仮眠
わたしもあなたも仮眠して夜を渉る
あなたは今も孤独で膝を抱え
泣きながら仮眠を続けているのか
私は目を擦りながら
朝食を終え 家を出る
2つの袋を抱えて自分の車で
富士森公園の森が大きく
被さった坂の家に着き
車を乗り換えて都内に向かう
月曜日の中央高速は渋滞している
今もあなたは自分との終わりのない戦いを
続けているのだろうか
「人の頭の中を変えるよりも
自分の頭の中を帰るほうが
簡単ですよ」と返信したが
自分を変えるのがなお難しいのだ
府中競馬場の周りの欅の葉が落ちて
剥き出しの馬場がゆっくり過ぎる
若い馬のあなたは疾走できないのだ
あなたはまだうずくまって仮眠を
続けているのだろうか
渋滞の中でノロノロ走っては止まりの繰り返し
わたしは追突を避けるように
蛇行運転をする
たろうさん危ないですよ
運転も 心も
空は曇っている
たろうさんのリメンバー
失われたものは何ですか
身体ですか 魂ですか 記憶ですか
なぜ魂は人に宿ったのですか
いつからですか
わたしたちの祖先が
立ち上がり歩き始めた時からですか
神はなぜ人を選ばれたのですか
身体が神に似ているからですか
神は姿形がないと言いますね
神は愛をどのようにして人に
吹き込まれたのですか
動物にもつがいの愛と
親子の愛がありますね
人類が猿人から人になって
言葉というコミュニケーションを覚え
愛を語り合う人間になり
神という概念を知り 恐れを知る
神は愛と不安を語りながら
愛を取りなさいと言います
あなたならどちらを先に採りますか
不安が先に生まれたのですよ
神は答えない
たろうさん自分で
思い出すのですよ
(リメンバーですよ)
「すべてはあなたに教えてある
学校で学ぶ必要はない
思い出しなさい」
たろうさんのガビチョウ(画眉鳥)
小さな砂場の上に
重さで潰れたキュウイの
パイプ棚がある
いつ切ろうかと思っているうちに
たろうさんは帯状発疹になり
洋子さんが自分できると言い始めました
ガビチョウの番(つがい)が
餌台から飛び移り
キュウイの枯れ枝に
止まってメスが砂場の角にある
プラスチックの洗面器の
まだ氷の解けたばかりの
冷たい水をツンツンと飲む
繁殖の季節なのだ
まだ夫婦になれない
娘たちのことをたろうさんは思います
自分たちはもう枯れた夫婦です
鴛鴦(おしどり)になって37年ですよ
ガビチョウは特定外来種で野鳥になれない
異国からの侵入者と同じで
ペットが鳥籠から放されて
野生化したのだと言われています
敵視されている鳥です
たろうさんの家からも近い
高尾山でよく聴けるので有名です
ガビチョウ君は新緑の頃によく啼いてくれます
その声にいつもたろうさんは癒やされていますよ
街中では五月蝿い(うるさい)と言われ
ガビチョウ君は可哀想ですね
不法密入国者のように扱われてますよ
たろうさんは君達が大好きなんですよ
増えてしまった君たちに罪はないんです
認めてくださいね 皆さん
今日も八王子は寒いです
毎朝プラスチックの洗面器は凍っています
ヒヨドリ君もピーピー啼いて元気ですよ
たろうさんは20日から仕事に復帰です
たろうさんのお金がなる木
日の入ってくる昼時の静かな
リビングでたろうさんは
椅子を持ち出して部屋に取り込んだ
お金のなる木を眺めています
たろうさんは具合が悪くて
去年から外のクーラーの
室外機の上に置きっぱなしだったので
寒さにやられて葉も茎も
弱ってしまったのです
葉は触れるだけで
ポロポロ落ちてゆきます
茎もしなだれています
根元の近くに少し色の悪くなった
葉が残っています
外は風が吹いて
笹竹や枯れススキが揺れています
たろうさんは背筋を
伸ばして眺めます
洋子さんもいない静かな昼が
過ぎてゆきます
「そうか 剪定の手術が必要か」
たろうさんは思い切って
剪定バサミで枝を切り落としてゆきます
切り落とされたお金のなる木は
思ったよりも元気に見えます
たろうさんも元気になりました
お金のなる木が元気になって
ロト6が当たるといいですねたろうさん
たろうさんの大船(大乗)・小船(小乗)
川の向こう岸に渡るのに
大勢乗れる船ですか
一人乗りの船でゆきますか
あなたはどちらですか
大勢で往けばそれは楽しいですね
一人で行けば静かで景色も良く見えます
川の向こう岸とは例え話です 彼岸の世界です
彼岸の世界とは迷いのない悟りのことです
小乗とは仏法で大乗の世界を説いた人たちが
お前たちは小乗だと卑しめた言葉です
わが国にやってきたのは大乗の教えです
釈迦は大乗・小乗などの区別はされていません
人の救いに大乗も小乗もない筈でしょう
今の人たちは情報社会で丸裸にされ
核家族化して孤独ですね
今は自分ひとりが救くわれることです
個々の人が救われてその輪が広まって
社会が良くなればそれでよいのです
たろうさんは小乗の教えこそが
今の時代に必要だと思っています
仏教に救いを求める人たちが大勢いますね
たろうさんは難しいお経も作法も
要らないと思っていますよ
救ってあげたい心が大切です
自分ひとりが救くわれたら良いのです
自己中大賛成です
人間釈迦に戻ったら良いのですよ
若しかしてたろうさんにできるのは
ただ詩を作ることだけですか
たろうさんの羅針盤
人生の航海にも羅針盤が
必要ですね
たろうさんの航海にも
愛の羅針盤がありますよ
奥さんの洋子さんです
たろうさんは航海(後悔)ばかりしているので
名船長(迷船長)が持つ特製の羅針盤が
欲しいのです
でもその羅針盤は世界に一つしかないので
たろうさんはそれを求めて頼りない
小さなおもちやの羅針盤を使って旅をしています
たろうさん羅針盤に頼りすぎてはいけませんよ
もっと頼もしい洋子さんの愛の羅針盤が
いつも進む方向を指していますよ
磁気嵐にも狂わずに船が難破しないような
素晴らしい性能の羅針盤ですよ
でもたろうさんそんなに洋子さんの
愛の羅針盤に頼りすぎて大丈夫ですか
愛に狂いが生じてませんか
一等航海士の娘さんはもういませんよ
愛のヨットの帆は揚がってますか
たろうさん号は今 航海(後悔)の分岐点に
差し掛かっていますよ
愛のヨットも凪ばかりでは進みませんね
備えつきの小型エンジンの燃料が
なくなりつつありますよ
早く仕事を決めて燃料を港で
補給しましょうね
「北北西に進路をとれ」の
今日のたろうさんです
たろうさんの夕陽
陵北大橋を妻のパート先へ車で向かう
中程を男が夕陽を横に浴びながら走ってゆく
橋を渡り終えると交差点の左手に黄色いビルがある
看板もなくオートバイを売っている風でもなく
解体ばかりしている怪しげな店である
交差点の向こうはレモンガスの本社で
最近越してきた
元コンビニのサンクスの跡である
企業などとは先の見越せないものだ
落日もある
永遠に好調な成績など残せない
あのトヨタでさえ今の状態を予測し得なかった
また今度は120万台のリコールの為体である
思えば30年前にたろうさんの勤めていたスポーツ用品卸の
会社が倒産して人生に狂いが生じた
その社長はいま北八王子の辺りを中心に
成長して読売新聞の一面にまで広告を出す
八王子では大手の建売住宅の会社になっている
たろうさんにしても2年前に始めた
「清水中世史研究所」と1年程遅れて
開設した「清水太郎の部屋」のブログが
受け入れられるとは想像出来なかった
娘さんがたろうさんの生まれた
元八王子の地に加藤君と新しい
生活を始めることなど誰が知り得たろうか
3月にたろうさんは定年である
新しい仕事はまだ決まってない
重いローンを抱えて働かなくては
ならない状況にある
老後の人生が長くなったこの時代
たろうさんに楽はない
恵まれた家族愛だけが救いである
たろうさんの歌舞伎町
今日は歌舞伎町の蝦夷御殿本館で会食です
たろうさんは職安通りで待機ですよ
歌舞伎町は歓楽街で危ない所の
イメージでしたが最近は見た目には
治安もよくなってきているように思います
でも車で中に入ってゆくときは緊張します
職安通りは思いで深いところです
安田生命にいた頃ですから
20年も前でしょうか
その頃この通りには
外人の「立ち君」達がいました
車の中を覗かれたりされました
じっと目を凝らして見る彼女たちは
生の映画シーンを視ている様な
興奮に満ちていました
いま路上に駐車していると
不審な車はパトカーにしつこく職質されます
この前に来たときには直ぐ前の車がそうでした
その車は同じ所に長く止まっていたので
2回も職質されたのです
ボンネットを開けたり
後ろのトランクを開けたりされてました
なんでもなかったのですが
運転者は若い男でした
たろうさんの様な黒塗りの
役員車は職質に合わないようです
「立ち君」は女の人の悲しい職業
のようにも思えますが
3月で定年のたろうさんには
強い女の最後の武器がありません
「なんくるないさぁ~」
で行きたいですねたろうさん
たろうさんと女性たち
上石神井駅から高井戸の
東京トヨタにクラウンハイブリッドの
エンジンの本体キーとサブキーの
バッテリーを交換に廻りました
エンジンを切ったときに「販売店に
行ってください」と表示が出たからです
待っている間に女の子に
コーヒーを頼みました
女の子は顔なじみですが名前は知りません
いやみのない今風の美人の応対に嬉しいたろうさんです
店内にはエステマとプリウスが飾ってあります
たろうさんは安田生命立川支社の
女事務員さん達を思い出しました
毎日が楽しい勤務でした
今も年賀状を交換している人がいます
今の派遣先でも美人の女の人が
いっぱいいて嬉しいたろうさんです
でも3月で定年となり仕事は終わりです
派遣会社とこの派遣先には感謝ですね
「清水中世史研究所」と「清水太郎の部屋」は
この会社に配属されて幸運にも続けられてきたのです
たろうさんは美人に弱いです
でも女の人の多い職場で働くと
不思議にうまくゆくのです
気持ちが通じ合うのです
嬉しいオーラーをいっぱい出して
いるからでしょうか
4月から先の仕事は決まりそうにないのですが
帯状発疹の後遺症もよくなりそうですよ
ときどき欲望も出始めて
如意棒が少し硬くなったかなと
悦んでいるたろうさんです
たろうさんの朝日
昭和通りに車を止めて
パソコンを打っている
たろうさんです
ビルの陰に隠れて画面が
見やすくさせているのに
突然に反対側から朝日が
飛び込んでくる
ビルの反射光線だ
スペシュウム光線ではありません
日陰側からのビルの隙間からも
たろうさんの車を目掛けて
また太陽光線だ
あっ 狙われている
ウルトラマンたろうさんが
駄目ですよ
太陽さん
パソコンの画面が見えなくて
ウルトラマンたろうさんはピンチです
八王子で朝
待機している場所の
室外気温は-3度でした
おおさぶぅ~
たろうさんは「めぐリズム」を
お尻の上に貼り
腹巻にホッカイロを
2ついれてますよ
かなり寒がりの
ウルトラマンたろうさんです
これでは愛のスペシュウム光線が
今日も凍っていそうですね
たろうさんの二つの袋
たろうさんはいつも二つの袋を
持っています
洋裁を教えたり お客さんの仕立物を
若いときからやっていた洋子さんが
キルトの余り布で作ってくれた袋です
小さい袋にはモバイルパソコンと
電源コード・マウス・下敷き
ノートが2冊入っています
大きな袋には愛情たっぷりのお弁当と
お茶と水のボトル・3つに分けられた
ビニールにはユンケルやチョコレート・補助食品と
干し柿・ミカンといっぱい飲むようになった
たろうさんの薬です
忘れていけないのは車から電源を取れる
パソコン用のインバーターですね
今日持ってきたファイルには
昨日書けなかった履歴書があります
たろうさんの仕事探しに必要なものです
3月には定年で職探しをしなければ
干物男になってしまいます切実なのです
日曜日の八王子地域の求人広告に
二つ良いところがありました
今そこへの履歴書を書き終えました
何度も書き損じて近くのコンビニへ
買いに行きなんとか出来ました
パソコンばかり使っていると
字を書くのが駄目になりますね
そればかりではありません
集中力が維持できなくなっているたろうさんは
歳のせいだけでしょうかね
昨日は娘さんが帰ってきて幸せ一杯でしたが
この幸せをいつまでも続けたいと願う
たろうさんの二つの袋です
たろうさんの娘(3)
電話では腕を捻挫したと聞いていましたが
元気な姿を見るまでは大丈夫かなと
心配症のたろうさんでした
金曜日の昼間に来るとは聞いていましたが
昨日は仕事で遅くなる日でした
早く帰りたい気持ちばかりで
うわの空の運転でした
危ないですよ たろうさん
身体が揺れているように思いながら
車のドアを開けて玄関の靴を見ました
リビングに入ると娘と妻が楽しそうに
話しながら待っていました
長椅子に二つの袋を投げ出すように置きます
娘の幼い時も可愛かったけれども
成人して彼氏と暮らすようになっても
娘といることが嬉しいのです
よほど前世から強く結ばれていた
親子なのでしょう
妻は持たせる品を買ってあります
苺が好きなのです
自分の家の苺は3回に分けて食べるのに
家の苺は一度に食べてしまい
3個しか残っていません
「冬菜と大根を持って帰りな」と言うと
妻が庭に下りて行き大根を抜きます
「冬菜は採らないのか」
「この冬菜は黄色くなっているでしょう」
青い葉を少しと細い大根を3本抜きました
「大根の葉っぱは味噌汁に入れたり
炒めたりして食べな」
彼氏はたろうさんに気を効かせて
ゆっくり迎えに来ました
目の横に剃刀負けして絆創膏が貼ってあります
「大根を播くのが遅くて出来が悪いのですよ」
たろうさんはそう言いながら玄関で見送ります
洋子さんは外までお見送りです
娘さんは今年の秋には加藤姓になる予定です
たろうさんの明日(2)
人の歩んできた現在までは
記録されていればわかるが
未来は容易に知りえない
占いなどは知ったところで
当てにはならないのに
人は夢中になる
明日の未来が知りたいのです
明日は確実に来る
時は止められないから
あなたがどのようにしていようとも
朝が来るのです
時は秒針で区切れない
無常に連続している
誰にでも平等です
あなたは時の流れるままに
身を委ねられますか
たろうさんも明日の自分が
知りたいです
「そんなことは簡単ですよ
目を閉じて醒ませば良いのです」
だれでもがそうして不眠症の
人でも朝を迎えます
一日が始まればたろうさんも仕事に出かけます
仕事に出かけられるたろうさんは幸せですね
暫くすれば自分の未来のことなど忘れて
たろうさんは車を運転しています
「家のローンの分だけ働いてくださいね」
神さんの洋子さんは言います
膨張した生活は直ぐには引き締められません
「本当に大丈夫だろうか そんな仕事があるだろうか」
たろうさんは自分の明日を考えます
家族愛に溢れるたろうさんの弱点は
思い込みすぎですね
洋子さんの様な神さんがいますよ
たろうさんの蓬莱橋
汐留の日テレから銀座へ
帰るときにたろうさんは
カーナビに銀座の営業部を
入れておいたのに
道に迷ってしまいました
蓬莱橋は汐留川に
架かっていた橋です
なぜグルグルと迷って
しまったのでしょうね
不思議ですね
蓬莱とは古代の中国で
東の海上にある仙人が
住むという山だそうです
その山は四霊の一体である
霊亀の背中に存在するといわれます
四霊は麒麟・鳳凰・霊亀・応龍です
霊亀は吉凶を予知すると言われてます
ああ~ 危ないですね たろうさん
運転に迷いがありますよ
人生にも迷いがあるのでしょう
それとも銀座の受付の
美人さんのことを考えて
いたのではないですか
今日は遅くなりますよ
待ち時間がありますね
通りを闊歩するOLさんや
細身のホステスさんに
見とれていてはいけませんよ
家で洋子さんが帰りを
待ち詫びています
いい子で帰りましょうね
病み上がりのたろうさん
たろうさんの恋?
今日はバレンタインデーですが
たろうさんは洋子さんからの
チョコだけで 娘さんは後からです
安田生命の時は最高で
12個ぐらいもらいました
あの頃は楽しい日々でしたね
今は二つだけですよ
悔しいからもっと楽しい
思い出を書きます
たろうさんの恋?
3年前の夏でした
勤めていた学園の
女の子それも30歳前の
長身でスレンダーな美人でした
名前は森高千里の千里さんです
廊下ですれ違ったときに
この学園にもこんな素敵な子が
いるのかと思いました
ある日 思い切って遠くから小さく手を振ると
振り返してくれたのです
本当に嬉しいたろうさんでした
それから時々家まで送ってあげました
妙に馬があったのです
62歳のオジサンと30前の娘さんです
きっと前世では恋人同士だったのでしょうね
帰りの車の中でいろいろなことを話しました
そして 2人で2度も東京へ行きました
国立博物館と私立美術館です
その時に日本橋近くの美味しい鰻屋にも行きました
でも楽しい夢のような日々は終わりです
同じ学園の名物先生の結婚の噂があり
彼女に聞いてみたら「それはわたしなのよ」です
妻も娘も公認の付き合いでした
勿論 手を握った訳でもなく
本当に清く正しく美しい?
オジサン(老人?)と娘の恋?でした
彼女が家の近くのマンションに住んでいるときに
妻の勤めるスーパーで偶然会えました
それきり会えないのです
家を買って移り住んだからでした
彼女は今、お母さんです
幸せでいることを願う
夢のようなたろうさんの
ひと夏の出来事でしたよ
たろうさんの恋?(2)
平成元年にたろうさんは国会で
追求されていた某派遣会社に
役員の運転手として就職しました
そしてその配属先が立川の
安田生命立川支社でした
この時代が平成8年3月まで続きました
役員の運転手稼業の始まりです
この職は会社が変わっても
いままで続いているので
ある意味では天職なのだと思うのです
そしてこの会社では楽しい日々を送りました
生命保険会社がバブルのころで
営業員さんも事務方のスタッフも
活き活きしていたまさに良き時代でした
たろうさんの生活も市営住宅住まいで
家賃も安く自動車もなかったので
お金に余裕があり貯まりました
(洋子さんが残したのです)
じつに様ざまな人を見てきました
支社長も3人に仕えました
小長谷総務課長さんお世話になりました
増田渉外課長さん美味しい食べあるきと
いっぱい会社訪問にゆきましたね
営業員さん今はどうしてますか
事務員さんの中にたろうさんが秘かに
恋?してた○○真由美さんがいました
彼女が28歳でたろうさんが42歳です
一緒に働いているだけで楽しかったのです
ある時 今で言う告白タイムですね
その支社では紙に書いて出すアンケートに
誰を好きか書く欄がありました
たろうさんは散々迷った末に○○さんと書きました
彼女が支社から本社に転勤になるときに
「わたしが好きだったんだ」と言ってくれました
本社に支社長が行ったときに2回ほど昼食を共にしました
次の世で出会うときには妻にしたいほど素敵な女性でした
たろうさんと今でも年賀状のやり取りが続いています
洋子さん以外の女性で大切な人です
たろうさんの恋?(3)
○○真紀さんがたろうさんの
勤めていた学園に入社してきたのは
20歳頃であろうか
最初の印象は美人ではあるけれども
斜に構えているところがあった
地元で一番のH高校を出ているとのこと
何故大学に行かなかったのだろうと思った
銀行廻りや郵便局なとの雑用で
車でつれて行く機会がよくあった
少しずつ話すようなり警戒心も解けて
笑顔も見えるようになった
彼女はお金に困っていたのだ
よくある話で両親の離婚で
戸建ての家の借金の返済に追われているらしい
それが彼女のお金に困っていた理由である
それにしても彼女が書く字の下手なことには驚いた
これでよくあのH高校には入れたものだと思った
本人もそれはよくわかっているらしい
学園にも慣れて明るくなったが勝ち気な面もあった
山の歩き競争にも同僚と出ているらしい
驚いたのは金属バットを買いバッティングセンターで
ボールを叩いてることだった
実習の時間にフォークリフトも乗り回している
こんな女事務員はいないだろう
いつも銀行廻りの時に「宝くじが当たったら秘書兼運転手として
雇ってあげるよ、高給でね」と約束していた
たろうさんの大風呂敷きである
本人はジャンボ宝くじを一枚だけ買うと言う
これではロト6を買い続けて当たったら
すぐに電話を入れてあげたい
年賀状に「わたしは今もいます」の添え書きが来た
今も連絡がつくたろうさんのお気に入りの彼女である
もちろん恋のお相手ではない
たろうさんの木(sae)
無法にも大木は切り倒されますか
あなたの若木も切られますか
チェンソーで伐ればあっという間ですね
今まで生きてきた時も虚しいです
年輪は白く瑞瑞しく見えますか
数え切れますか
伐らずに置く方法はなかったのですか
お金のためですか
見晴らしを良くするためですか
要するに邪魔なのですね
生きることは木も人もおなじですよ
人は何気ない言葉で傷つき倒れます
木は黙って現実を受け入れます
でも本当に木に心がないと
あなたは考えてますか
人が一番尊いから死は現実ですか
あなたは今でもそれを望んでいるのですか
生かされる必要がないからですか
木も人も無意味な時間はないのです
時のサイクルの中で
大きな地球の中で
生かされているのです
あなたの若木も
たろうさんの老木も
愛ある明日のために
伐らずに置きましょうね
時が過ぎて笑える日まで
たろうさんの娘(4)
資生堂のBCとして入社して4度目の冬を越し、2月7日(月)に社員登用への試験があった。たろうさんの娘は2回目の受験である。娘の弱点は英語と数学、時事問題である。大学入試でも英語が出来なくてすべて落ちた、その度に泣いた。最後の東京家政学院大学の3次でようやく受かったが、その結果がわかる日に高校からバイトしていたマックの仲間が入学おめでとうのお祝いの当日であった。娘がそれまでの日々をどんな気持ちで過ごしていたのかと考えると切ない、まさに滑り込みセーフなのである。夜は家に帰ってくるというので、予定より早く帰ってきたので高尾駅まで迎えの行くと妻にメールを入れさせた。「電話では明るい声だったよ」と妻が言っていたのだ、車に乗ると直ぐに「どうだった」と聞くとやはり英語と数学、時事が駄目だと言った。加藤君にはメールで伝えたらしい。「美容の問題はパーフェクトに近いよ」と言い、3日後には結果が出ると言う。加藤君に手伝ってもらい2週間勉強したと言うのだ、日頃、新聞も読まない上にテレビのニュースも見ない、その上にパソコンも壊れたままなのだ。見るテレビは「コナン君」と「石田さんち」のオバカぶりだが店の成績は良い、どの月も前年を割っていないで、特別セールでは見事な数字を出している。身長が167センチでモデルのような体型の上に親の目から見ても美人である。「芸能界には興味ないのか」と聞いても知らん顔なのだ。試験の当日、番号札の上にコメントとキットカットのチョコレートがあり、キットカット(きっとかつ)にちなんだらしい、今までの二人の男の営業はそこまではしてくれなかったが「女の子の営業は違うね」と言うから「店の売り上げで、返してあげな」と言ってやった。マックのバイトで人に接するのは得意なのだ、資生堂に入れたのもマックで7年近くバイトをしていたことや容姿が優れていることに加え顔の肌が素晴らしいのが一因だと思う、資生堂から通知が来るときに「薄いのできたら落ちた知らせだよ」といってあったので、薄い通知がきたので恐る恐る開けたら泣き出した、合格の通知であった、うれし泣きだったのだ。前から美容に関心があったので美容関係の仕事につきたいと思っていたらしい。大学4年の秋が採用の時期でそれまで待っていて就職活動もたいしてしていなかったが良く受かったものだ、今の子は4次ぐらいの面接をしてようやく決まるそうだ。娘の同僚の多くは辞めたらしいが、今の氷河期の子達はさすがに辞めないようだ。しかし、試験の出来が良くても実践の販売経験のない頭でっかちの子達は店で苦労していると聞く、ミスマッチは続いている意欲のない美容部員がいるのは大企業体質であろうか、今回も登用試験は駄目であったが、ラッキーな娘にたろうさんはエールを送る今日この頃である。
たろうさんの浮き足
たろうさんは仕事柄歩きません
その上に去年の暮れから
正月を過ぎて20日になって
ようやく仕事に復帰しました
その間寝ていたので
家のリビングをグルグル歩いても
膝ががくんとするのです
地に足が着いてないのですね
身体が浮いているような気がしてます
最近のたろうさんの詩を見て
浮いているようにあなたは感じませんか
訪問したある方のブログを拝見して
たろうさんは上辺だけで
深さがないとつくづく感じました
すべてのひとではなく
本当に身体の底から滲み出す
訴えるような言葉を吐き出しているブログを
書いている人がいるのです
記事は多く書いていませんが
私の涙腺を緩ませるブログなのです
たろうさんは多くの人に読んでもらおうとして
浅く広いブログを書いてしまっていたのです
それは今までの仏教の大乗の教えと同じです
今の時代は小乗の教えが必要ですね
個人が救われて次第に池の波紋のように
広がってゆくのが良いのです
それがたろうさんの望みですが
広がりすぎると緩んでしまいますね
ああ 難しいですね
スーパークユンケル飲んで
体力をつけて元気なたろうさんに
戻って下さいね
雑念を捨てましょうね たろうさん
健康が第一ですよ
洋子さんも娘さんも
それを待ち望んでいますよ
たろうさんの不眠
昼間 横になって左手で
パソコンを打ちながら
寝入ってしまった
それだけのことだったが
23時には蒲団に入ったのに
眠れなかった
「オヤジ、涅槃で待つ」と書き置きして自殺した
俳優の沖雅也の言葉が何故か
浮かんでは消え浮かんでは消えの繰り返し
頭の中をグルグル掻き回しています
打ち消そうとしてもまた浮かんできます
涅槃は釈迦の最後の姿で
たろうさんも寝るときには
この姿勢なのです
横向きで右側を下にするのです
沖雅也は何故このような言葉を残したのか
上手い言葉なのだが彼は病んでいた
深い遺書ですね
たろうさんはこの言葉に引きずられ
眠ろうとしても寝付けません
なぜこの言葉が頭の中を離れなかったのか
浮かんだのか不思議です
2時過ぎにようやく寝たようです
朝6時には起きるのですが
洋子さんに6時14分に起こされました
たろうさんは今日土曜出勤です
ユンケル飲もうかと思って我慢の
たろうさんです
門まで送りに出た洋子さんに
「気をつけて行ってね」と言われました
この朝携帯が出掛けに見つからなくて
バタバタしてそのまま出かけた
たろうさんなのです
たろうさんの伯父
今日は寄居まで仕事で行った
此処には鉢形城がある
北条氏邦の上野の支配の中心的な城である
清水姓の方からこの氏邦の家臣について
訪ねられたが判らなかった
後日、鉢形分限帳の中に清水姓の
侍がおられたと連絡が来た
小学校の低学年のように思うのだが
いまは亡き伯父に連れられて
好きだった釣りの伴で来たように
思うのだがどのようにして
此処まで来たのかまつたく記憶にない
ただひどく河原で待たされたことだけを覚えている
勿論魚は釣れなかった
いまから思うと不思議に思えるが
北条氏邦は北条氏照の弟で
母方の先祖は志村将監と言う
氏照の家臣であった
この兄弟は共に北条氏の下野国の
攻略の中心的存在であった
伯父はこの志村将監の血を引いていた
本人は多分このことを知らなかったと思う
私も郷土史を本格的に始めたのは
母方の先祖がこの志村将監であり
元八王子歴史研究会に入会しての
論考に選んでから知ったのである
「清水中世史研究所」のブログを始めたのも
また不思議な縁である
わたしはこの伯父が好きであった
後妻になった志村ヨシを墓に入れたのも
この伯父の為であった
わたしが志村家の墓を継いだのも
これまた不思議な縁である
3月は伯父の命日なのである
志村義治は母の兄なのである
志村家の墓石を建立したのが母である
わたしは母の身体を洗うのだと思って
タワシで墓石を洗う
この間、娘が加藤君と墓に行き
同じようにタワシで洗ったと言う
涙が出るほど嬉しかった
たろうさんの闘い
大戦が終わって66年の夏を迎えるのに
見えない敵と闘いを続ける人がいます
それは誰ですか それともあなたですか
あなたの敵は何処にいますか
見えますか 見えませんか
世界中の人ですか 物ですか
それは貧困ですか 資本家ですか
政治家ですか ウイルスですか
それとも 優しい言葉を吐く恋人ですか
では何のために闘うのですか
それは必要なのですか
闇雲に闘うのではないでしょうね
その闘いにどんな武器が要るのですか
大砲ですか 戦車ですか バズーカ砲ですか
何気ない言葉や あなたのパンチですか
注射器もいりますか 包帯はどうしますか
寝る薬はいりませんか
成果はありましたか
人は死にましたか 山は枯れましたか
川の魚は 海の貝は どうなりましたか
人は何人死に 生まれましたか
桜はいつ咲きましたか
もうカボチャの種は目覚めていますか
おやおや 寝ながら玉袋を搔いている
たろうさんはこの闘いに
参加できそうにありませんね
はい たろうさんゲームオーバーですよ
たろうさんの神さま
多くの人は救われているから
本当に救ってあげたいのは
あなた独りですよ
救われたいあなたがいるから
私がここにいます
でも私は力が弱いので
多くの人を救う願いがあっても
救えません
根源的な神さま(宇宙を創った)がいて
その分身(八百万の神)が幾十億のあなた
ひとりひとりの神さまですよ
あなたの神さまですから
独り占めできますよ
悩みも聞いて頂けますよ
たろうさんの神さまも同じです
たろうさんの神様は
愛と平和を求めています
制約も罪も罰もありません
聖書も経典もコーランもいりません
世間を良く見てくださいね
愛と平和こそが難しい求めです
あなたなら簡単ですね 出来ますよ
いつもされていることですから
父母・祖父母・家族・伴侶が
あなたと神様を結ぶ糸ですよ 支えです
いつもあなたを見守っている人達がそうですよ
たろうさんの神様は
ユーモアが好みです
エロスも愛してます
笑いも忘れません
夢や希望まで求めるのですか
あなたの神様とよく相談してくださいね
たろうさんの春
寝そべっている部屋に
日が差し込んで
たろうさんの全身を
包むように照らしています
たろうさんは食いしばっていた
歯と肩の力を抜きました
「いいねぇ~春の陽は」
久しぶりにさっき
車を洗いましたよ
長靴の中に入っていた落ち葉が
砕けて靴下の裏に
こびり付きました
病院の支払いのお金を
パートから帰ってきた
洋子さんに言うと
「どうしてこんなに高いの」
「特効薬と血液検査があるからなぁ~」
暢気そうに言うたろうさんです
今日は風も収まって
もう春ですよ
怒らないでね
お神さんの洋子さん
帯状発疹の痛みも
暖かくなれば消えるでしょう
思わず居眠りの出てくる
たろうさんの春ですよ
たろうさんの春(2)
なんだかはっきりしない天気
これも春が来ている証拠
曇り空から落ちてくる雨も
きっと暖かく感じますよ
庭に出てごらん
土が湿って深呼吸しているね
たろうさんの菜園の冬菜も大根も
もう花を咲かせたいんですよ
でもオオイヌノフグリは
何処かでまだ眠っているようですね
起きているのはたろうさんと
洋子さんだけですよ
娘さん帰ってくるといいですね
今日ね 娘さんから電話で
加藤君が「3月は夜勤が5回もあるんだよ
ごめんね」と連絡があったと
遅く帰ってきたたろうさんに
洋子さんが嬉しそうに言います
加藤君が夜勤の時は
娘さんが帰ってくる日なのです
ばんざぁ~いですよ
エンジェルエスタさん
222の連番の意味が判って来ましたよ
うれしいコメントありがとさんです
スズメが チュン ヒヨドリが ピー
たろうさんと洋子さんは
ニコッニコッとですよ
たろうさんの家の春は
もう其処まで来ていますね
たろうさんの春(3)
春は一進一退をしている
「押しくら饅頭」をしているのかな
庭の桃も堅い蕾だし
遅咲きの梅も
蕾があるのかなと覗いてみたが
枝に微かに蕾があるみたい
でも白い花の沈丁花は
膨らんでいる
隣の家は引っ越して
車だけだが置いてある
主は必要なときにだけ来る
寂しいよ お隣さん
早く戻ってきてね
鳥たちはえさを忘れると
催促の鳴き声ですよ
明日娘さんが来るというので
待ち侘びるたろうさんですが
泊まりに来るのではなく
冷食とペットボトルの
おおーいお茶と紅茶と
加藤君が好きな胡麻昆布と
焼き肉のタレを取りに来て
すぐ帰るようですね
他に娘さんのリクエストで
ソース・マヨネーズ・ケチャップ
みりんがあります
洋子さんの気持ちの
ミカン・イチゴ・オレンジジュース
も持たせるそうです
あっ 忘れてました トイレのペーパーを
なんだかたろう商店さんで
買い物をしてゆくお客さんのようですね
でもうれしいたろうさんと洋子さんです
「春遠からじ」ですね
たろうさんの春(4)
春です
リビングに立ち
外を眺めています
違和感があるなぁ~
あの資材置き場
何処から運ばれてきた
土砂で谷が埋められて
市街化調整区域の空き地が
どんどん広がってゆきます
でも彼処には家が建たないはずだが
建った方がむしろ景観的には嬉しい
今年の夏は昨日キュウイの木を
切ったので丸見えです
たろうさんの帯状発心が良くなったので
思い切ってキュウイを切りました
自分の重みでプラスチックの棚が
潰れてしまっていたのです
手入れしないから枝も
コンガラカッテイマス
下枝は枯れています
隣にある木蓮やキンモクセイは
枝に絡まれて苦しそうでした
その伸びた枝は途中で切られて
宙ぶらりん 枯れるのを待つ運命です
高枝バサミでも届かないのです
本当は伸び放題の方が
キュウイの木にとって嬉しいのかなぁ~
そんな仏心がつい出ていたので言い訳ですかね
斬られて痛かったかなぁ~
キュウイ君ごめんなさいね
洋子さんは大汗をかいて大活躍でした
たろうさんも切った枝を鎌で切りましたよ
下手ですねぇ~刃が毀れててしまいした
夏の草刈りに使えますかねぇ~
たろうさんも洋子さんも昨夜は
「春眠暁を覚えず」でしたよ
たろうさんの菜園準備
雪が降ったすべてのものを
覆い隠すと思っていたが
マスコミに踊らされた
気象庁の馬鹿と言いたいが
詮無いたろうさんです
八王子は5㎝ほど降ったと思ったのに
今日の庭の雪はもう斑です
できの悪い冬菜と大根の葉が見えてます
キュウイの枝も思いきって切る予定ですが
なかなか出来ないでいます
「今年は菜園を加藤君に耕してもらおうか」
「前にフローリングを手伝ってもらったときに
終わったら里美の部屋で寝てましたよ」
「あのときは加藤君も緊張してたから今度は
家族同然だからやってもらいたいね」
たろうさんは菜園にジャガイモを植えたいのです
それには早く菜園を耕さなくてはなりません
たろうさんの菜園にはジャガイモが適している
と思っているのです
昔のたろうさんが生まれた家の畑の土と
気候が似ているのです
3つ並んで置かれたプランターの土の中には
カブトムシの幼虫の芋虫が眠っています
たろうさん忘れないでくださいね
そうです春はすぐそこまできています
たろうさんの告別式
このところ仕事で葬式に行くことが多い
昨日は通夜で今日は告別式だった
たろうさんは父母の葬式も出したが
中学・高校と代表で出席していた
妙に縁があった
高校の時は女の子であったが
遠くから見ていたら棺桶から足が見えていた
寂しい出棺であった
この子の家も貧しかったのだ
たろうさんも夜学であったから同じである
子どものころは前の家が神主さんで
神式の葬式であった
太鼓をたたいて祝詞をあげていた
当時は土葬である
今はお金があれば葬儀は立派なものになる
会社に在職中であれば人も集まる
今日の告別式の人はたろうさんからすれば
派遣先の人である
劇場で待機の時には真っ先に
「清水さんご苦労さんです」と笑顔で
声を掛けてくれる配慮のできる人であった
この人の魂は救われるだろうか
残された家族はどうなるのか
元妻はどう思っているのか
いろいろ考えさせられる死であった
たろうさんの告別の辞
2月の烈しい風と共に
あなたの魂も遠い国に
旅立ったのであろうか
苦悩や苦痛から解き放たれて
満足だろうか
優しい愛や微笑みももう
二度と感じられない
あなたの肉体は一塊の
骨と灰になり白い陶器の中に
収まっている
あなたの無念は天井に留まり漂い
私たちを見下ろしているのか
「末の娘が大学に合格した」
と喜んでいたのに
無常の風があなたに吹いたのだ
自分で呼び込んだのですね
あなたの死を悼む男が
此処にももいますよ
忘れないと誓っても
時は私の記憶を
押し流して行くことでしょう
だからいまだけでも記憶に
留めておきますよ
あなたの笑顔と大きな声を
たろうさんの脳裏にね
たろうさんのミラー
街角に設けてあるミラーを
たろうさんは見て また左右を
確認して車を発進させます
車を運転するあなたはどうしてますか
たろうさんはミラー即ち鏡が
苦手なのです
ジッと視るのが出来ないのです
吸い込まれそうで怖いのです
鏡は信仰の対象にされているのですから
魔を払うのでしょうが
たろうさんは反って魔性の人が
写る様な気がするのです
鏡恐怖症でしょうかね
あなたはどうですか
ビジネスホテルの鏡に写った
心霊写真が取り上げられることがあるでしょう
鏡越しに誰かが覗き込んでいないかか
あなたは気になりませんか
鏡を見るのが好きなあなた
魅せられていますよ
あなたの中の魔物が
写っているのかも知れませんよ
でも鏡の中に写った今のあなたは
大丈夫普通の人です
今日は思い過ごしから来る
たろうさんの怖いお話でした
たろうさんのヒヨドリ
今日の八王子は天気予報が外れて
昼過ぎから晴れ間が出てきました
「春だよ」の気候ですね
スズメ達は朝から元気です
なにを相談しているのか
唄っているのか忙しないですね
あらあら 早く餌を食べないから
餌台が鳩の夫婦に占領されてますよ
最近ガビチョウの夫婦もたまに
餌を食べに来ます
たろうさんが特に嬉しいのは
ヒヨドリ君が来て首を振りながら
一所懸命に餌を食べていることですね
このヒヨドリ君はオスですかね
毛並みがきれいに光っていますよ
今は庭の草も枯れているので
砂場に置いてある洗面器で
水浴びしていてもドラ猫君が
直ぐにわかりますね
前にこのドラ猫君に
襲われてヒヨドリ君の
お父さん(?)が可哀相なことに
なってしまったのです
それから暫くたろうさんは怒って
ドラ猫君を追い払ってましたよ
たろうさんの家は庭に土や草があるので
猫君たちに好かれているのです
中には草を食べてる猫君もいました
「おいおい 草を食べるのかよ」と
たろうさんは呟きます
今日は団地の美容院で髪の毛を
カットしてきた幸せな
たろうさんとヒヨドリ君です
たろうさんのうつ
人はみなうつを 持っていますよ
いまあなたが陥っていても
不思議ではないのです
愛よりも不安が先に
生まれたからですよ
たろうさんも うつな心に
陥ることがありますが
笑いを思い出します
オーラーが輝くように
嬉しいことを想像します
たろうさんは元々根暗なのです
それが表に出ないのは
洋子さんと娘さんがいるからです
でも何気ないことで人は
うつな状態に陥りますね
今のたろうさんは仕事が
3月でなくなることです
生活基盤を失うことが
大きな不安なのです
失業状態はうつの入り口です
多くの失業者がそうなる
可能性があるのです
あまりにも忙しい
働きすぎもいけません
身体の蓄積された疲労は
精神まで疲れてしまいます
思い込み過ぎも駄目ですよ
グルグル考えが巡って
出口を見失い 心を犯すのです
完璧主義で真面目なあなたも
うつに囚われますよ
偶には男ですから
エロ画像みてエネルギーを
補給しましょうね
よく性欲をなくして
清く正しく生きましょう
スローガンの宗教がありますが
カスのような人間を作って
どうするのですか
これらはたろうさんが
経験したことですよ
65年無駄飯食ってはいませんよ
でも仏教でいえば
たろうさんは在家です
釈迦の戒律は修行僧に
与えたものです
あなたもはき違えては
いませんか
自分で自分を追い込まないで
くださいねたろうさん
たろうさんの娘(5)
ゴルフの仕事で予定より早く帰ると
3週間ぶりに娘が帰っていた
「今週は ああ疲れたな」と思っていた
たろうさんは嬉しい誤算です
娘さんは体と心のスイッチをOFFに
するために帰ってきたのです
トイレの便座は揚げっぱなし
トイレのペーパーをグルグル使う
テレビも灯りもつけたままで仮眠する
朝飯抜きでトイレにだけ降りてくる
来たかと思うと冷蔵庫をあさる
「お父さんはおまえが生まれて良かったと思うよ」
「眠くて難しいことは考えられない」とまたかという顔
いまも自分の部屋に上がってゆく
加藤君が夜勤を終えて迎えにくるのを昼頃まで寝ながら待ち
体と心のスイッチをONにして帰るのです
「たいらやでトイレットペパーが178円と お米が安いからな」
玄関には家のトイレットペパーが置いてある
チーズ・チューブの生ショウガ・青じそドレッシングが今回の獲物
イチゴは半分食べて残りはこの次にと冷蔵庫の中
この娘と加藤君にはたろうさんの家の未来が懸かっている
「重いなぁ~」と感じているかも知れない
娘はバレンタインチョコを置いて元気に帰って行きました
妻の実家では弟が那須に移り住みたいので親族会議をするという
義母は要介護3で89歳 少しぼけて耳が遠い どうなることやら一騒動です
私の叔母は90歳で一人暮らし こちらは耳が遠いが元気です
もうすぐ春の嵐が来そうな予感のたろうさんです
たろうさんの不眠(2)
朝方3時頃まで眠れなかった。寝付きが悪いのです。その上ここ数日忙しくて時間が不規則である。前の日は5時起きで、よる8時30分頃にやっと帰れた。羽田への行き帰りす、派遣先で深く寝てしまったこともある。それに遅く食事をした上に食べ過ぎである、なぜこんなにも働かねばならないのかという不満のやけ食いもあるのだろう。帰ってきた顔を見れば不機嫌さが顕れている。態度も良くない、長椅子の上に荷物をどさっと置く、口数が少ない。あと2週間もしたら退職日だというのに仕事をもうしたくないのだ。仕事に復帰して1ヶ月になる。毎月80~90時間の残業で朝は家を6時30分に出て、帰りは8時頃という生活を2年近く続けた末の帯状発疹であった。ブログを書く時間がこれに重なったことも影響している。疲れのピークが来ていたのだろう。テレビで快眠の方法を放映するのは不眠の人々が増えているのだ、大人ばかりではない子供たちもそうである。眠れない社会、寝付きの悪い生活のためである。たろうさんの場合は運動不足もある、ストレスはもちろん影響している。寝付かれないままに、ふと思い出したのだ「たろうくんのニワトリ」の詩の続きを、たろう君に言われてニワトリをお父さんはどうしたのだろうか?殺してみんなで食べた記憶がない、どこかに逃がしたのなら良いが嫌々ながら殺したのなら、その時のお父さんの気持ちはどうであったのかと!そこまで考えが及ばなかった、たろうさんの浅智慧をである。89歳で死ぬ1週間前に病院に見舞いに行ったときに「たろう 救命丸飲んでいいかな」と訴えた父、なぜあのときに「いくらでも飲んでいいよ」といってやれなかったのか、妻にそのことばかりが心残りだと何度も言ったものだ。父は病院には1週間入院しただけで亡くなった、家にいるときは這ってでもトイレにいっていた気丈な父であった。親鸞は「悪人でも救われる」と説いた、父のニワトリ殺しの罪も救われないと困るのだ、たろうくんの犯した罪でもある。親鸞の「悪人とは」生き物を殺す仕事をする人々を指している。この眠れないときにたろうさんの頭の中を「ドナドナ」の歌が繰り返し流れていった、イディッシュ(中東欧ユダヤ文化)の歌で、牧場から市場へ売られてゆくかわいそうな子牛の歌である、子牛は殺されるのだろう、不思議だった。父は息を引き取るときにその魂は鹿沼の直ぐ下のやはり病院にいた弟の所に飛んでいったらしい、従兄弟に「父が死にました」と電話で伝えると叔父は「今八王子が来たよ」と話していたという、父は鹿沼に行ったことや弟が入院していることも知らない。そんなこんなでたろうさんが寝たのは3時でしたよ。
たろうさんの神さま(2)
あなたは泣いているけれども
幸せの鍵でも失したのかい
あなたは笑っているけれども
幸せの鍵でも拾ったのかい
誰にでも幸せになる権利は
あるんだよ
でもね 今は違うね
不平等に出来ているんだよ
神さまはね
平等と不平等の
目盛りのついた天秤で
愛と不安に換算した
あなたの幸せを計るんだ
「どちらが重いかなぁ~軽いかなぁ~」
盛んに比べてるよ
そんな神さまをたろうさんは
冷徹な眼で眺めていたけど
苦しまない
責めないという
青竹を左手に持ち
右手に自由という
涙の入った瓶を
ぶら下げて叫ぶんだ
「十一面観音さまぁ~
お元気ですか」
「わたしは今を生きまます
明日を生きます
未来を生きます
過去にはサヨウナラですよぉ~」
あなたは信じれるかい
たろうさんの神さまを
そうだ 春が来たら信じようね
たろうさんも神さまもね
たろうさんの春(5)
春だから何気ない言葉に
深く傷ついてしまう
僕がいる
私がいる
たろうさんがいる
大気が揺らめいて
陽炎となって
上昇するのが
心に映えているんだ
だから途轍もない
想いが沸き上がってくるんだ
でも誰も春が来るのを
止めようとしない
浮かれているんだ
戦場へ出かける
初めての少年兵のように
知らないと言うことは
素晴らしいのか
悲しいのか判らない
国境のトーチカでは
機関銃を構えた老年兵が
待ち構えているのに少年兵は
チューインガムを噛みながら
行進をするんだ
だからたろうさん
春は死への季節ですね
呪文を唱えましょうね
ノウマクサンマンダー バーサラダー
ノウマクサンマンダー バーサラダー
少年兵のために 老年兵のために
(愛と平和は遠い春だなぁ~)
たろうさんの自転車
家の横のドクダミの咲く所に
たろうさんの自転車が放置されてます
乗られなくてタイヤのゴムがひび割れて
錆が全体を覆っています
自転車には思い出がいっぱいあるのに
たろうさんは車の世界です
隣の西村さんの坂の上の空き地にも
子供たちの自転車が置いてあります
西村さんは引っ越してゆき
暫く帰る予定がないのです
子供たちに愛されて
力一杯漕がれた記憶は
もう錆付いています
昔はチェーンが伸びて
ガラガラ音を立てて
走っていたものですね
今は空き家ですよ
数年前ですがその空き地に
歩き始めたばかりのかわいい女の子が
お父さんと来て
コンクリートにしゃがんで
指さしてお話しているようでした
そこにはドングリが落ちているのです
嬉しくなる光景でした
娘もドングリを小さなポケットに
いっぱい詰めていましたね
あの子はもう入学でしょうか
他人の子が大きくなるのは早いものです
たろうさんの孫ができたら
ここでお話してくれるでしょうか
ドングリと一緒にね
その頃には自転車の思い出も
たろうさんからは
屹度 忘られていますね
いまは自転車が寂しく
独り言ですよ
たろうさんの獲物
「おはようございます」の声に向かって
たろうさんは恋のトリガー(銃爪)を引く
美しいあなたの心を射貫こうか
撃ち込まれた玉薬は
あなたの心を溶かすのに十分な威力
標的はあなたの笑顔
横顔は美しい 完璧に捕らえた
吸い込まれるような眼と瞳
きめ細かい頬はどうだ
きれいに引かれたアイラインと
濃い化粧は何を語る
あなたの舌は口唇の中で蠢く
軽く唇を開いて
「誘っているのか」
「乱れているのか」
「どこからでも挑戦してちょうだい」
「さあ早く」
たろうさんの次の獲物は
あなたに決まりですよ
たろうさんの羽田空港
たろうさんは大井南の
パーキングエリアで待機です
羽田空港に向かう湾岸道路を
車がビュンビュン通り過ぎます
羽田空港の誘導路から
出発する箱 帰ってくる箱
管制官の思いが聞こえます
「巨大な箱が飛んでいるんだよ」
「墜ちないのが不思議だね」
パイロットも客室アテンダントも
乗客も荷物も
この箱の中では運命共同体ですね
愛も不安も夢も希望も苦しみも
上がったり下がったり
まるでエレベーターですね
あなたとわたしの運命と同じですよ
この箱に染みついた
悲しみをあなたは感じましたか
喜びを共にしましたか
たろうさんも車のパイロットですよ
乗せる人と運命を共にしてます
「さあ ぼちぼち出かけましょうかね
わたしとあなたの羽田空港へ」
「愛と幸せと希望を迎えにね」
たろうさんのチェアーベッド
今日はたろうさんのチェアーベッドの
実演販売ですよ
そこのお兄さんもお姉さんも
もっと近くに寄って見てってくださいね
このチェアーベッドはそんじょそこらの
品物とは違います いいですね
ローマからシルクロードを遙々と
駱駝に乗って運ばれてきたという
勿体なくも有難い品物ですよ
さあ 此処で広げてみますから
嬢ちゃんも婆ちゃんも身体を
この上で伸ばしてみてくださいね
どうだい 手も足も心も伸びたでしょう
寛げたでしょう
ではこのチェアーベッドを畳むと
どうなりますか
心も閉じた それは実に残念ですね
この品物は ほれこの通り
折り畳 自由ですから
東西東西 この通り
あなたの好き勝手にやりましょうね
買えない人はどうすればいいかって
その地べたの上で
手足を伸ばしなさいね
ハイお金を払った人から
ゆっくりズムで リラックスリラックス
絡み合った脳も一休みですよ
今日はたろうさんのチェアーベッドの
大安売りですよ はい
お買い上げ有難う御座いました
たろうさんのゴルフボール
私は優勝出来ない中年のゴルフプロです
優勝の懸かった最後の18番で
いつもビビリ
スリーパットで
お金が逃げて行くのです
その瞬間にいつも叫びます
「オーマイ ゴッド」
俺はゴルフボール
今日は朝から思いっきり
引っぱたかれて
身体が軋んでる
最後の18番ホールで
グリーンに向かって飛ぶ
256ヤードだ
今はグリーンの上
カップに向かって
転がる 転がる 転がる
ご主人様の運命も転がる
穴が見えた
落ちる
ご主人様に
拾い上げられる
嬉しそうに奥さんが駆け寄る
泣いて抱き合っている
俺の身体は観衆に向かって
投げられる
優勝だ
その俺を受け止めたのが
たろうさんです
俺は右ポケットの中に
収まって眠る
たろうさんの太ももは
温かいです
たろうさんのおひな様
たろうさんが元気を出さなくては
あなたが笑顔を見せなくては
たろうさんのおひな様も
あなたのおひな様も
悲しそうですよ
さあ 箱から出して飾ってあげましょうね
今からでも遅くはありませんよ
たろうさんの家のおひな様は
早く出して遅くまで飾るのですよ
でもおひな様を飾れない人もいますね
女の子のいない人
お金がなくて飾れなかった人
そんな人は心の中に
おひな様を飾りましょうね
ひとりで白酒を飲みましょうね
いまごろたろうさんの家のおひな様の
ボンボリが廻っていますよ 静かにね
あなたの心も楽しく リズミカルに
回っていいることでしょうね
だから もう悲しいことは忘れて
お祝いしましょうね ひな祭りの夜を
あなたには笑顔が似合いますよ
ほら おひな様も微笑んでいます
三人官女も 五人囃子も
左大臣も 右大臣も
あなたを待っていますよ
あなたを守るたろうさんの
今夜のおひな様ですよ
『詩集・今書いている詩Ⅲ』 @19643812
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