エッセイ「父へ」
@19643812
第1話
お父さん貴方が亡くなって、もう十八年に成るのですね。亡くなる一週間前に「太郎救命丸飲んでもいいかな」弱い声で言いましたね、あの時飲みたいだけ飲ませてあげれば良かったなと思います。電話の声も性格も貴方に似てきました、親子なのですね。「明日から仕事に行かないからな」と母に言っていたのが今の私の心境に似ています。些細な物損事故で三十年続けてきた運転手の仕事を投げ出したからです、年金暮らしの私には家のローンが重いです。娘の3歳の、七五三のお祝いのビデオに貴方が映っています。妹の女の子を競輪に連れて行きましたね、今の私の孫と同じ歳頃です。「おじぃ~ちゃん、有希江にものをひろわせないでよ!」妹がよく言っていました、孫と一緒に出かけるのが嬉しかった事でしょうね。貴方と同じように今、私が二人の孫と散歩しています。男の子です、お兄ちゃんは一生懸命に歩きます。弟は乳母車です。孫の可愛さが良く分かります、至福の時を過ごしています。娘の家族は私が生まれた所に家を建て2年になります、貴方のお墓にも近いですね。私が志村のお墓を受け継いで貴方も母と叔父達と同居です、寺から庫裏を直します、寄付を三十万お願いしますねと言われましたがお金が無いので先延ばしにしています。お墓の中で肩身の狭い思いをしていませんか、娘の連れ合いの加藤君が「僕は次男だから、彼処のお墓でも良いよ」と嬉しいことを言っているみたいです。志村と清水のご先祖さま我が儘な父を宜しくお願いしますね、お父さん貴方の歳までは生きられるかどうか判りません、でもひ孫達がお墓参りをしてくれると思います。たった一度ですが五千円の小遣いをあげました、うれしかっですか?バイクで高尾山に椎茸を採りに行きましたね!あの世でも母と仲良く暮らしていますか?娘は貴方がお葬式の日に泣いていたと言いました、孫たちとの思い出をお土産にあなたの所に行きます。待っていて下さいね!
エッセイ「父へ」 @19643812
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます