収録後

「相方! 今日の予定は!?」


 BGMが止まり、マイクのオンオフするカフを下げるなり望月さんは声を上げる。


「えっと、レギュラーの収録が一本あって、そのあとはフリーだけど」

「今日わたしの家に泊まって! そして家の本棚を見て!」

「そこまでしてBL本を読んでないことを証明したいの?」

「それもあるけど、今日の反省会!」

「それは珍しい」


 ホントですね。散らかしたメールや原稿をまとめながら思います。


「次回の収録からは『無差別爆撃』なんて言われないようにしたいの!」

「ホント、どうしてこうなっちゃったのかしらねー」

「それはあなた達がよくご存知かと――」

「そんなことない! わたしたちは台本のとおりに喋ってるだけ!

 っていうかこの番組のコンセプトが『絨毯爆撃』だからこうなったんだよ!」

「このタイトルとコンセプト考えたの誰よ!?」


「はい」


「やっぱりマーズくんのせいじゃない!」


 おふたりの起用を決めたのは今日来ていないプロデューサーですが、そこからアイディアを出したのは僕ですね。

 そういう意味では望月さんの言うとおり僕のせいなのかもしれません。


「あたしたちは悪くない!」

「いえいえ、おふたりだからこそテーマを『お悩み相談』にしようと思ったのです」


 番組を作る際のスタッフ会議の前、おふたりのことを調べていくと物事をはっきり言う方だという共通点が分かりました。

 そこから、このふたりなら今のアニメ業界だけじゃなく、日本全体のおかしなところ、人々の悩みを爆撃してくれるのではないか、そう思ってタイトルと番組コンセプトを企画したのです。


 その読み通り、たくさんの悩みを容赦なく爆撃していく様はまさに絨毯爆撃。


「それにそれを決めた時におふたりともOKしたじゃないですか」

「会議の時には『たくさんのお悩みを斬りまくる』としか言ってないじゃない!」


 日野さんよく覚えてますね。


「次はフェンシングのような騎士道精神にあふれる番組にするんだからね!」

「首を洗って待ってなさい!」


 と悪役のような捨て台詞。


「「お疲れ様でしたー」」



 それと業界の挨拶をしてスタジオを出て行くおふたり。

 収録の前に僕の悩みも解決して欲しいと思いましたが、無理そうですね。

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ネネフミの絨毯爆撃 雨竜三斗 @ryu3to

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