第四章 心の旅

W処方ミス。運命を変える獣医師



  W処方ミス。運命を変える獣医師


平成十九年六月初旬、上の子は劇症性寸前の急性膵炎になり、その後、慢性化し、おまけに慢性大腸炎も合併させました。。

上の子の闘病に心を注いでいる最中。

平成二十一年二月、下の子の異変にも気づいた。良く吐くのです。その上食が細い。通常の血液の総合検査は受けていましたから、医者にこのくらいは大した事では無いと思うと言われましたが、心配性だと笑われながら精密検査をお願いすると、一項目異常値があるとの事で重ねてエコー検査。肝臓が半分くらいしか無く、これ以上の検査は町医者では無理との事で、迷った挙句、大学病院で肝バイオプシー検査を受けさせました。

お腹を切って肝臓の細胞を採取し、病理検査するという手術検査で、結果は(MVD)肝門脈微小血管異形成症。先天性の細胞異常で、果ては微小血管レベルでシャントを作って体中に毒が回って死ぬか?肝硬変、及び肝ガンになるか?いずれにせよ、長生きは望めない。わずが三歳手前でこのような宣告をされたのです。

進行を遅くする薬が只一つ。それを大学で処方箋を出して貰ったのですが、分量を致死量に至る程に間違えられて、下の子は神経症状も出る程の中毒症状に陥りました。

遠い昔の母の処方ミス。

その数年後の眼底網膜出血。思えば母が亡くなって数年後にはレーザー治療と言うものが世の中に出てきた。もし、あの処方ミスが無ければ、目まで悪くなるのはもう少し遅かった筈。そうすればあの手術には繋がらず、レーザー治療の方に繋がっていたかもしれない。

母にも犬にも起きた処方ミス。

どうして私の人生に二度もこんなことが起きるのか?私は泣き狂いました。丁度桜が咲いていた。苦しむ我が子を車に乗せ、病院へ駆け込む時、あんなに桜の花が悲しく見えるのは初めてだった。


この頃、我が家の経済状態には陰りが見え始めていました。彼の会社の状態が再び悪くなっていった。お金を右や左に振り分けて何とか会社をやっているようでした。犬の医療費と言うものは結構かかります。若齢で病気の二匹。もし、彼の会社が倒産したら?私と彼は自己責任だけれど、この子達に罪は無いと思った。本来なら経済状態を立て直す事が先だと思います。しかし、状況から見て、遅かれ早かれ会社に終わりが来る事だけは免れない様でした。

それに上の子の投薬時間が問題だった。六時間毎の投薬では私はハーフタイムのパートすら出来ないのです。何とか薬と給仕を一日三回に出来ないか?医者に相談し、トライするもその間、上の子は何度も体調を崩した。その度に医療費が嵩みました。ようやく、一日三回の投薬に慣れてくれて、そのタイミングで彼の友人の会社で高待遇でハーフタイムとして働けるようになり、それでも、私の稼ぎなど焼け石に水のような状態だった。

飼い主としての責任は、飼えなくなったら次に託すこと。きちんとその後を可愛がってくださると信じられる方を見つけて里親になって貰う事が最低限の責任だと思います。勿論、一番良いのはその子が命をまっとうするまで手放さない事ですが。。。

私が考えたのは犬を健康にする事。少しでも医療費のかからない子にする事。そうでもしない限り、この子達を引き取ってくれる里親など見つからないような気がしました。どうにもならなくなった時にこの子達を繋ぐリードをどこかに括り付けて立ち去る事だけは避けなければならない。そして、母のように処方ミスが死に繋がるような事があってはならない。奇跡を起こしたいと思いました。


下の子が陥った中毒症状。その原因のお薬はその特性から一度中毒症状に陥った場合二度と使ってはならない薬でした。すなわち、下の子の腹まで切って病気の大元を突き止めたのに、唯一の薬が使えなくなった訳です。私は西洋医学がダメなら、東洋医学だと思った。しかし、何処の医者に行けばよいのか?

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