美しい物語です。生きては帰れぬかもしれない。戦争に出発する彼。「お元気で」の言葉に万感の思いが感じられます。そんな彼を待ち続ける女性。粉雪のようにはかなくも、ただずっと彼を待つ姿に心を打たれました。そんな女性の祈りはかなうのか。ぜひご覧になって下さい。
粉雪舞う中で、女主人公の一人語りが淡々と進んでいきます。その中で描かれるのは、周りの人から寄せられる優しさや信頼。丁寧な言葉遣いもとても魅力的です。決して長くない物語、なのに訴えてくるものはとても大きくて温かい。だからどうぞ、今すぐお読みなさいな。
本当に、粉雪のように美しい物語でした。そのひとひらは解けたとしても…やがて降り積もる。降り積もり、薄く少しずつ重なってゆく。雪の姿をそのまま描き移したような、純白の物語です。
題名の通り、粉雪でした。ネタバレが書けないのであれですが。粉雪です。とても、粉雪の使い方がうまい。感情、景色、心情それらをうまく表している気がしました。
粉雪と共に表わされる主人公の心情…一人称で描かれているところに魅かれますね。
戦後の日本が舞台。筆者の文章力は、かなり高い。ラノベではなく、いわゆる一般文学に属する作品。カクヨムは他の投稿サイトと比べて、それらが多いと思う。しかし、秋口峻砂さんの文章は、秀逸な構成力を持つカクヨム作家陣の中でも、相当高いレベルにある。