旅する少年
マサムネット
旅立ちの前日───。
14才になったとき、家のしきたりに従って一人旅にでた。
しきたりと言っても父が次男だったので、その長男であるぼくは2代目という、ごくありふれた核家族の中での、つまり父の決めただけのしきたりであった。
「男は旅を通して成長する」
それが父の持論だった。
旅先ではこの旅立ちの説明を人にするのが面倒臭かった。
自分から旅にでたと言えば家出少年扱いされるし、父が旅にだしたと言えば追い出された虐待少年として疑われるのだ。
家のしきたりと言うほど厳格なルールや歴史があるわけでもない。
なんで?なんのために?武者修行?武者なん?
旅先で終始つきまとう、いろんな人からの「何故」。
当時そこまで理論武装して旅に出たわけじゃないぼくは、これらの質問に対して納得のいく返答を用意しておらず、実に困った。
とにかく、両親と本人合意のもと、人生修行の一環として、14才になったぼくは一ヶ月の一人旅に出たのだ。
物語はその前日の夜から始まる。
昭和が終わりちょうど平成が始まったばかりの時代。その夏───。
「もう荷造りは終わった?」
「……うん」
旅立ち前日の夜、旅程のチェックをしているぼくの部屋に母が顔を覗かせた。
ぼくの部屋、といっても本当に部屋が与えられていたわけではなく、家の中の一角に兄弟達と並んで置かれた勉強机があるだけの、せまい場所だった。
もともとは牛舎だったところ。いや、正確には牛舎だったところはこの部屋の隣で、この部屋そのものは牛の世話をするところ。今はもう牛を飼っていないので、その空いたスペースに勉強机を置いて子供部屋として使っていた。
築年数は当時既に60年を超える、大正からある土壁の農家。
「ああ、時刻表。お母さんもこれ好きなの。
暇を見つけては時刻表ぱらぱらっとめくってからね……。
この駅だとこの列車と連絡してるなーとか、この駅では何十分も待たないといけないから、お弁当でも食べようかなーホームに売店あるかなーとか、想像をめぐらせるの。
そして路線図をみて、こんなところにある駅なんだー、どんなところかなーって、こんどは地形図を持ってきて等高線とてらしあわせて、景色を頭の中で再現していくの。お母さんも行ってみたいなー」
母は地図を読むのが大好きな人だった。
仕事がら世界中を旅している父を見送って、誰も名前を知らない町に子供たちと取り残された母は、地図を読むことで想像上の旅を頭の中で楽しんでいた。
「こわくない?本当?」
「……うん。全然」
「気を付けて行ってね……」
裸電球の薄暗い灯りのもと、表情はハッキリみえなかったが、それでも見送る側の母親の心細い気持ちが伝わってきた。
ぼくは、習い事の関係で、小学生時代から親元を離れていろいろな場所に行っていたので、父に似てけっこう旅慣れた子供だった。
親のほうも、比較的───といっても誰と比較するわけでもないが───子離れは進んでいたが、それでも一ヶ月の一人旅というのは初めてのことなので、親子ともどもけっこう緊張していた。
「荷造りは済んだか?タオルと紐は何かと使うから多めに持っていけ。毒蛇と熊は気を付けろよ。それと今の季節、たとえ水でも生ものは口にするな。どうしてもという場合は水道水でも白く濁っていたら飲め。塩素消毒あるからな。知らない土地での透明な水道水は危ないから警戒しろよ。安くて安全な宿の見分け方はわかるな?どうしても野宿が必要なら夜移動してできるだけ人目の多い場所での昼間に体を休めろ」
父からは海洋サバイバルの術をある程度伝承してるので、その知識が地上でも活かせた。地上生活にあたって足りないのは野生の動植物の知識くらいだったが、今回の旅ではあまり人里を離れる予定がなかったのでよほどの不運が重ならない限り持っている知識だけで事足りると判断した。
「目は、大丈夫か?」
「うん…」
このころぼくは、原因不明のまぶたの腫れによって、片目の視力を失っていた。
まだ呪いや祟りを信じる時代と土地柄で、不安視した祖母が幾人か祈祷師を連れてきたが、彼らのまじないによる治癒の効果はなかった。
祈祷師の一人がいうには、目は石の祟りをうけている、ぼくの数ある趣味のうちのひとつである鉱石採取のなかの宝物、別子銅山で拾った溶岩が祟りの原因であるとしてこれを取り上げた。
ぼくはお気に入りの石を失い、視力も依然として戻らぬままであった。
「片目くらい平気。もう片方が開いてるから、ぜんぜん見えんわけじゃない」
両親の心配をよそに、旅の準備を続けた。
地図、時刻表、ゆうちょカード、救急用具、折りたたみナイフ、ライター、バーナー、コッヘル、コンパス、タオル、荷造り紐、少量の着替え、仕分け用の小袋、ノートと筆記用具、110フィルムと一眼レフPENTAX auto110。
旅先で暇なときに読むマンガ本、旅先で暇なときにソリティアして遊ぶトランプ、旅先で暇なときに書くマンガ用具と原稿用紙、旅先で暇なときに書く小説用原稿、旅先で暇なときに遊ぶブーメランなどのおもちゃ……。
「……なんか荷物多くない?」
「うん、あらかじめ行き先が決まってるなら、宅急便つかうから」
「そんなんしたらお金かかるじゃない……」
荷物のチェックをしていた母の顔が少しけわしくなった。
「いいよ、この旅のために貯金いっぱいしたし。長丁場だから賢くラクできるところはラクせんと」
「だめよ……そんなことしてたら……」
「そんなことしてたら?何?いいじゃん、ぼくのお金だし」
「……。便利さに囚われてはいけないわ」
「何それ?うまく利用できることを利用して何がいけないわけ?」
「便利なものを利用するだけが賢いとは限らないのよ……」
結局、出発の直前まで母と口論をしてしまい、“しぶしぶ”余計な荷物は置いていくことにした。
「気を付けてね……気を付けて行ってらっしゃい」
旅立つ息子の姿を、母親はいつまでも見送った。
◇◇◇
「───ひとり旅をしていた若者の遺体が発見された事件の続報です」
「金品が無くなっており、また遺体には絞殺痕のほかに性的暴行を受けたとみられる痕が───」
「───被害者は、絵を描いているところ、
後ろからいきなり襲われ……」
「遺体は損傷が激しく、
身元の特定に時間がかかるもよう───」
「───破れた服が散乱し、
周囲は激しく抵抗した痕跡があり……」
「持ち物は全て無くなっていて、
犯人は何らかの証拠を隠したと思われる───」
「───警察の発表によりますと、
被害者はひとりで寺に訪れた25才の女子大生と判明……」
ぼくが旅に出ているあいだ、京都で起きたある事件が全国ニュースで流れた。
両親はこのニュースを、続報が入るたびに生きた心地がせず見ていたという。
「大丈夫だ……性別も歳も違う……うちの子じゃない───」
被害者の無念や遺族の心痛を察するとともに、両親は息子の旅先での無事を願った。
もしうちの子にも万が一のことがあったら……。
なんで一人で行かせたんだろう……。
いや、うちの子は大丈夫……。
後悔の念と無事を願う気持ちに苛まされ続けた。
いっぽう、そのころぼくは旅先で封切りされたばかりの映画、「魔女の宅急便」を映画館でみていた。
地元の田舎では映画館もないため、映画といえば商工会議所に数ヶ月遅れでたまに上映される東映まんが祭りのみ。
子猫物語のだきあわせで同時上映されたラピュタや、かろうじて単独上映されたもののいつもの商工会議所の会議室でひっそりと流されたトトロと違い、本物の映画館でみる封切りされたばかりの魔女の宅急便は、生まれて初めてで味わう特別の体験だった。
「今日は映画みに行ったんだって?映画どうだった?」
夕食どき、おじさんが感想をたずねてきた。
「よかったです!主人公はしきたりに従って魔女になる修行のため13歳になったら田舎を離れて都会に旅に出るんです」
「へえ、君と似た境遇やね」
台所で残り支度をすませながら話しを聞いていたおばさんも会話に加わる。
「そうなんです。主人公はある日、原因不明の虚無感に襲われて魔法が使えなくなるんですが、旅先で出会ったいろんな人に助けられて、自分を取り戻し成長する物語なんです」
「へえ〜おもしろそうやね。うちの子らにも見せようかしら」
「いや〜封切り直後の映画が見られるなんて、やっぱ都会はいいですねー!」
「あはは、福島が都会?おもしろいねー」
「それにしても君ほどの歳でひとり旅とは、えらいなー。
おじさんとこも民宿でたくさんのお客さんを泊めたけど、君ほど若い旅人は初めてだよ。
お〜い、洋子、大介、こっちきてお兄ちゃんの話を聞くか?」
ぼくは、流れ流れて福島県までやってきた。そこで民宿をやっている親切な夫婦のご厄介になっていた。
もともと農家だったところの作業場を改造してつくられた平屋の民宿は、自分の実家と似たところがあって居心地が良かった。
布団の上げ下ろしと部屋の掃除を条件に、民宿の一室を格安で貸してもらっていたのだ。
夫婦には、ぼくと同い年の女の子と、少し下の小学生の男の子の姉弟がいた。会話に出てきた、洋子と大介だ。
洋子は女子ソフトボール部のキャプテン。くせっ毛のショートカットによく日焼けした肌。
母親譲りの小さい目と父親譲りの低い鼻という、お世辞にも美形とは言えない顔立ちをしていたが、明るい雰囲気と健康的な容姿が魅力的な女の子だった。
ただ、お互い年ごろだったこともあり変に意識してか、また部活と塾が忙しいらしくて顔を合わせることも少なく、初日に挨拶と旅のいきさつの話をすこしした以外、あまり話しをしたことがなかった。
いっぽうの大介は、両親から受け継いだのかとても人なつっこく、ぼくのことを兄ちゃんと呼んで慕ってきた。
大介は暇さえあればぼくの部屋にやってきて、学校の様子や友達のこと、いま夢中になっているミニ四駆の改造とサッカーの話しをうれしそうに延々としゃべるのだった。ぼくもその時間が大好きだった。
「あら?洋子ねえちゃんいないの?大介?」
「うん、ねえちゃん今日は塾やって」
「ああ、そうだったね。君は明日までは居るんでしょ?」
「はい、明日また近所をまわって、あさってに立とうと計画しています」
「短いあいだだったけど寂しくなるねえ。大介なんか本当にお兄ちゃんができたみたいって喜んでるし。洋子も忙しくてあんまり顔あわせてないけど君のこと好印象だっていってたのよ」
「お兄ちゃん、四国って遠い?どうやったらいける?」
「んー遠いかな……いや、近いよ。近いかな。電車とか乗ったり、船に乗ってたら、いずれ着く」
「今度いきたい」
「うん、ぜひ来てね。ぼくしか知らない秘密の滝がある。そこ行こう」
「大介が一人旅できるようになるのは、何年後かしらねえ。大介は甘えん坊だから。
そういえば一人旅といえば、あの事件……。
まだ犯人捕まってないみたいよ……怖いねえ……。
あんなことがあると一人旅じゃなくても心配だよ。
ただの塾でも安心できないから、はやく帰ってこないかねえ……」
ちょうど時を同じくして京都で起きた一人旅の女子大生を襲った凄惨な事件は、日本中の行く先々で話題になっていた。
実はその日の昼間、偶然に外出先で洋子と遭遇していた。
映画を見終わったあと、街のはずれにある神社の境内でスケッチでもしようと訪れたときのことだった。
人目のつかない境内の裏手から、大学生ふうの男と一緒に出てくるところをすれ違った。
彼女もぼくに気がついたが、お互い何も言わず立ち去った。
真っ白なTシャツ姿から伸びる、健康的な小麦色した長い手足。
汗で少し濡れて反射した肌がまぶしいと思ったのか、ぼくは眼を細めた。
「(洋子ちゃんの家からは少し遠いな……。表に駐まっていた派手な車で来たのかな……。この男のものか?)」
少し緊張した空気が流れた。
そこで二人がどういう目的で居たのか、なぜ人目につきにくい場所に二人は居たのか、少年だったぼくもある程度は理解した。
あまり立ち入ったことは考えないようにした。
午後だというのに、アブラゼミが一斉に鳴いていてうるさかった。
次の日───。
神社のスケッチを完成させてしまいたかったぼくは、同じ神社の境内にいた。
あいかわらずセミ時雨が激しい。
こんな北のほうでもセミっているんだ───南国生まれのぼくはふとそんなことを考えていた。
「絵を描いてるの?」
屋根にある複雑な組み木のあたりを夢中になって写生しているぼくの後ろから声をかけてきた。洋子だった。
「あ、今日は一人なんだ」
「うん、大介はプール。あ……。そういう意味ね。そう。一人。アイツはいない」
「ふーん」
スケッチブックから目を離さず、ぼくは会話した。
なぜか、意識してしまい洋子の顔が見れない。
少年のぼくには、どう対処していいのかわからなかったのかもしれない。すこしだけ大人の、同い年の少女との会話を。
「アイツはいいの。アイツなんか───。
……ねえ?聞いていいかな?」
「うん?」
洋子が近づく。
「その、片目で、絵がかけるの?嫌なこと聞いてたらごめんなさい」
「ああ、これね。いいよ。たしかに多少不便だけど慣れたら絵に関しては、特にデッサンなんかは片目でも充分にできるよ。それに視力がないっていってもまぶたが一時的に開かないだけで目の機能は失われていないから、いつかは見えるようになる。かなり楽観視してるよ」
洋子の体が顔に近い。
胸元が視野に入ってくる。
ぼくはどきどきして視線をそらせた。
「そうそう、明日出発なんだって?」
「そう。そういえば前に話したっけ?マンガ書いてるの。旅のあいだじゅう、ヒマだから一本マンガでも仕上げてみようと思って。
ギャグマンガなんだけどね、ネコが主人公の。
孫子の兵法が読めるネコが主人公なんだけど、そのネコが兵法をネコ同士の縄張り争いに利用しようとして。
でもネコの世界では兵法が通用しなくていつも失敗ばかりするっていう───」
「孫子?兵法?」
「そのマンガの舞台にね、神社を書きたくて。今までなかなかいい舞台が見つからなかったんだけど、っていうかイマイチ気が乗らない自分の問題なんだけど、ここに来たら構想が一気に広がって───」
「そういえば、神社と言えば……お寺で見つかった遺体の事件……テレビでやってた……。お寺と神社は違うかもしれないけど、まだ犯人つかまってないみたい……。神社にもいるかもしれないから気を付けてね……」
「ああ、被害者もひとりで寺の絵をかいてたっていうね。怖いよね。ありがとう。ここよりずっと遠いところの事件だけど、犯人こっちに逃げてくるかもしれないし、気を付けるよ」
不意に、洋子の顔がこわばる。
目の前にいる怖い存在に気付いたときの、怯えた表情───。
「───ん?洋子ちゃん───?どうしたの?」
「どうして寺の絵ってわかるの?」
「え?なんのこと?この絵?」
「ニュースでは被害者の絵の内容の話しなんてしてない……。ただ絵が盗まれたってだけ……。なんで襲われた人がお寺の絵を描いてたってわかるの?」
「なんでって……ただ単にそんな気がしただけ……ああ……なるほど、まさかぼくが疑われるなんてね。
違うよ。
洋子ちゃんは知らないだけ。部活で忙しい洋子ちゃんと違って、ぼくは昼間ワイドショーとかで見るから……」
洋子はなおも堅くした表情のままあとずさる。
逃げる機会をうかがっているようにもみえた。
境内にひびくセミの鳴き声が五月蠅い。
───。
「そもそも絵の道具、なんで持ってるの?
まえに話したとき、お母さんに言われて全部置いてきたって。必要なものだけ持ってきたって。
なのになんで?
なんで襲われた人のなくなった絵の道具をあなたが持ってるの?」
「……。違うよ。そうじゃない。
絵の道具は持ってきたんだ。最初から。
これはぼくのだ。
必要なもの以外は全部置いてきたけど、絵の道具だけは持ってきたんだ」
噴き出る汗に比例して、喉が渇く。
口の中までカラカラに。
「……。……っ!」
洋子が振り向いて走り出そうとする。
「……まって!」
とっさに、腕を掴む。逃げないで!なぜ?
二人はバランスを崩して倒れた。
ぼくが上乗りになって、洋子を押し倒した格好に。
「……どうするの?」
怯えた表情で洋子はぼくを見上げて、聞いてきた。
「どうもしないって。本当に」
震える声でぼくは答える。
はじめてかもしれない。洋子をまっすぐに見た。
「本当に───」
「嘘……」
「えっ?」
洋子は目をつぶって、唇を突き出してきた。
◇◇◇
「それじゃあ、気を付けてね。これ、痛むから早めに食べて。おにぎり……」
「ありがとう。おじさんおばさん、本当にお世話になりました」
「お兄ちゃん!絶対に滝つれていってね!」
「大介もありがとうね。また会おうな」
「洋子も見送りに行きたがってたけど、今日だけは特に。県大会の準備があるからねえ……」
「洋子ちゃんにもがんばってとお伝えください」
「そうそう、あのニュース。犯人つかまったって。近くに住みついてる浮浪者───。九州まで逃げてたって。怖いねえ、あなたも気を付けてね。まだ旅は続けるんでしょ?」
「はい、もう少し北のほうまで行ってみます。マンガが完成したら帰ろうかと」
「達者でな」
「はい、みなさんもお元気で」
バスは発車した。
親切な家族は、いつまでもいつまでも手を振り続けてくれた。
それからしばらく旅を続けて、旅立ちから数えて予定より少し長引いた2ヶ月半、暇つぶしに書き上げたマンガ、
「キャっと大軍師 生猫法(なまびょうほう)!」
はついに完成した。
そろそろ、家路に向かう頃合いだ───。
◇◇◇
「あのフェリーに乗ってるはずだなあ」
「船旅が好きなのは、あなたに似たのね。私は列車旅のほうが好きなのに……。
あっ、いたいた。私たちの子よ!おーい!」
「あ、お父さーん!お母さーん!
お久しぶりですー!」
港に着いたフェリーのタラップを降りながら、両親を発見した僕は船上から手を振り返した。
出発と同じ、リュックサックひとつにまとめた旅道具をかかえて。
「男子三日会わざれば刮目して見よ───と言うが我が息子はあんまり変わった様子がないなあ……」
「あなたはいつも半年ほど仕事で家を空けるから、長期間あわなくても慣れてるものね。
わたしは会いたくて会いたくて。もううれしくって……。
あっ!」
「ん?おっ!」
「ああ!」
「目が!目が治ったのね!」
そう、旅路のあいだに、ふさがっていた片目がいつのまにか開いて、両目が見えるようになっていた。
「旅は楽しかったか?」
14才になるまでに、新聞配達で貯金したお金で行ったはじめてのひとり旅。
旅に持っていったもの───。
地図、時刻表、ゆうちょカード、救急用具、折りたたみナイフ、ライター、バーナー、コッヘル、コンパス、タオル、荷造り紐、少量の着替え、仕分け用の小袋、ノートと筆記用具、110フィルムと一眼レフPENTAX auto110。
そして、旅先で暇なときに書くマンガ用具と原稿用紙。
旅で得たもの───。
書き上げたギャグ漫画と、いくつかの旅先でのスケッチや写真。
取り戻した両目の視野。
それと、旅先でのさまざまな経験や出会い。
ぼくは、大人になる準備ができた気がした。
旅する少年 マサムネット @masamunet
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