秋口さんの作品の中では珍しく、詳しい背景を知る事の出来た内容で、とても読み応えのある骨太な短編だという印象です。
神様の正体というものは、良心だと自分は思っています。そして彼女を許さないのは、良心の中にある、神様なのでしょう。被害者と呼ぶべき、迷惑をかけた親の心を知れない状況ならば、尚更。
罪を犯す人は、因果応報なんて考えない。考えたら、潰れてしまうから。だから必死に目を背け、反省する事なく、繰り返す。
だけど、それが出来ない人も居る。自分の罪に気が付いてしまう人も居る。
そして償いのために「幸せを放棄しなければ」と、考えてしまうのでしょうね。
自分なんかが幸せになっていい筈がない……という意識は、自分は正しいと思います。それは優しく、真っ当な意志を持った人間が抱く、良心だから。
だけど、そこが終着点では無いとも思います。その先があって、それは一人では辿りつけない境地なのでしょう。
彼女の今後が明るいものである事を願います。
と、ここまで書いて思う事は、自分もこういった「意識」や「心」をテーマに小説を書いているのですが、いずれも長編です。秋口さんが二行、三行で書いてしまう事を、自分は三千文字は使って表現しています。それでも「意識」や「心」を書ききれているとは思えず、モヤモヤとした思いを抱いております。
つまり、何が言いたいかと言いますと、秋口さんの長編小説を読んでみたいなーという思いが湧きました。もし他所で既に執筆済みでしたら、是非ともこちらでも公開して頂きたいと、思う所存です。