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 さて「アイドルの中の人」は、いわゆる「入れ替わりもの」のお話です。

 そして「ウェブ小説の衝撃」でいうところの典型的な「エンディングへ向かう物語」「256頁で1冊のラノベ」「オチから逆算してクライマックスで感情のピークをつくるお話」です。

 

 小説の賞へ応募するため、題材やテーマを決めたうえで、起承転結を明確にしたプロットを立てて書いた作品ということです。

 当然文章の量も賞の規定に沿っているため文庫本1冊程度ですし、そこにきっちり収まるよう、オチから逆算してクライマックスや伏線を作っています。

 しかし何度か賞に応募したものの2次選考通過止まりだったため、もうあきらめて今回カクヨムに投稿したものです。


 で、カクヨムに投稿した結果どうだったかというと、

 「終盤以降まで読んだ方にはかなりの高評価をいただいている」が、「そもそも終盤まで読んでくれた方が非常に少ない」。

 という感じです。


 具体的に数字を見ていきましょう。


 2016年7月2日19時時点でPV累計913。

 これが多いか少ないかはさておき、注目すべきは話数ごとのPVの流れです。

 

 1話:59

 2話:71


 6話:32


 12話:17


 36~38話:10


 43話(最終話):17

 

 どうだ! ひどいもんでしょう!


 全体的に右肩下がりの流れになるだけだったら、まあ読者が最後まで読み進めてないと考えることもできます。

 しかしこの下がり方を見ると「途中で読者が読むのをやめた」としか思えません。残念ながら。


 1話や2話のPVを最後までキープできれば、単純計算で累計2000PV以上は行くはずなんですが……明らかに読者を最後まで引っ張ることに失敗しています。


 思い当たるフシはあります。一言で書くと、起承転結の「起」「承」がやや淡々としているということです。PVも、その辺りでガクンと減っています。

 

 人格入れ替わりものであることはキャッチコピーで明らかにしているものの、人格入れ替わりが発生するのは4話目のラスト。そこまではキャラ紹介と伏線張りに徹しています。

 そしてその後の話の展開も、やや落ち着いています。入れ替わったふたりが大して取り乱さず、マネージャーを含めて冷静に今後を打ち合わせるという展開なのです。

 入れ替わった状態で仕事を始めた後も、比較的順調に毎日を過ごし、波風は立ちません。ややゆったりした流れと言っていいでしょう。

 

 作品としてそれが失敗だったとは思いません。中盤以降の展開との落差のため、敢えてそうしたところがあります。

 が、ネットで無料で読む小説としては、それではダメなんです。

 

 もし1冊の本を購入した人であれば、多少ゆっくりした展開が続いても、お金を出した以上最後まで読んでくれるでしょう。

 しかしネットの読者は違います。

 ちょっとでも退屈したら、すぐに作品から離れてしまうのです! 


 「ウェブ小説の衝撃」に書いてある、

 「『アクセスするたびにそのプロセスを楽しむ』という感覚」

 「ハッタリ的な『ツカミ』と、短い分量でも感情を揺さぶるイベント/シチュエーションづくり」

 「『そしてなんと!?』的な『引き』の連続で引っ張るテクニック」

 これらこそが大事なんですねー。


 序盤から中盤にかけてもっとドタバタさせれば、カクヨムでももう少し読まれたかもしれません。

 まあ、今さら書き直す気力はありませんが……。


 この文章を読まれている方に言いたいのは、

 「ネットでウケる小説を書きたいなら『起承転結』じゃなく『起承承承承承承…(エンドレス)』くらいのつもりで書いたほうがいいよ!」ということです。

 

 バトルものやスポーツものなら、次から次へと仲間が増えて、新たな敵もどんどん現れる。

 サスペンスなら、新たな事件がどんどん発生して、謎も深まっていく。

 ラブコメなら、ヒロインがどんどん現れて、主人公とそれぞれ親密になっていく。


 読者に息つくひまを与えず、次々と燃料を投下していく。そしてそれが可能なキャラクターや世界観を設定しておく。

 一度つかんだ読者を離さないテクニック。そこが大事になってくるんだろうなあ……と思います。

 わたし自身、こちらの作り方に近い話を別のサイトに投稿していますが「アイドルの中の人」とは桁違いに多いアクセス数です。

 やっぱりネットではウケるんですよ、こっちのほうが……。

 週刊少年漫画や海外ドラマの作り方を参考にして書いていけばいいんじゃないかと思いますね。


 一方で、従来通りの「オチから逆算してクライマックスで感情のピークをつくる」お話が面白くないのかといえば、決してそんなことは無いはずです。

 ネットではウケないだけで、面白い作品は面白い! それは間違いありません!

 「アイドルの中の人」も多少序盤が退屈でも、中盤以降まで読んでくれればそこそこ面白いはず!

 だからお時間があるようなら、読んでみてください(ダイレクトマーケティング)!

 

 以上、このオチから逆算して書いた文章でした。おわり!

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読者様はいつも気まぐれ 平河ゆうき @doraman

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