革命記念日

 この革命記念日は、自分が起こした革命だ。仕方がないことだった。僕はこの手を血で染めようと構わない。

「共和制バンザイ!」

 この日、僕は故郷の国に帰って広場を一周する。懐かしい街並みは今も変わらず、ただ時代だけが過ぎている。王宮だった建物は議会のための国会になり、国で一番広い屋敷は教会になり、そして時は過ぎた。

 僕はあの時から変わっているだろうか。信念は変わらずに、自分の見た目も変わらずに。……僕は在る。この世界を守るため、僕はその通りに行動しただろうか。

「ふぅ」

 革命記念日は一月一日。

 町は赤い旗で飾られている。革命記念日の前日、この国は、この首都は赤く燃えていた。僕はあの日のことを後悔してはいないが、……もっといい方法はなかったのだろうか。僕にできることなんて限られてはいるけれど、それでも最善手を考えてしまう。

「お、どうしたんだ? ジャック、そんな辛気臭い顔して。今日はお祝いなんだからな、早く肉でも買って帰って食おう」

「アルバート」

 親友は、僕の本名を呼ぶ。

「……お前はあの日を後悔したことはあるか?」

「ない」

「言い切るのか」

「後悔、なんて考えたら俺は全部に後悔しなきゃならない。だから、してない」

 親友の言葉に「あぁ、そうだな」と思って感謝する。

「執事長、いや、ロドル」

 感謝するよ。

「お前が後悔しても意味ないからな。それは仕方のないことだった」

 その言葉をくれることを。

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