あとがき

※以下文章は、私が高校二年生だった2014年に書いたあとがきのまんまです。当時、部誌に載せたまんまの文章となっています。

最終譚掲載に当たり、だいぶ内容が変わったり、カットしたセリフがあったりと、変わった部分もあるのですがこの内容自体は気に入っているので2021年も変わらず掲載しておきます。初々しい文章をお楽しみください。



あとがき


――悪魔は本当の名前を言ってはいけない。バレてしまったら、その悪魔は自分が持っている能力を奪われてしまう。

 これが授業中に出てきた『言霊信仰』の例の一つだった。その授業は確か現代文で、私は半分閉じていた瞼を開けた時だった。丁度この小説を書いている時で印象にあったのだ。

 この小説には誰一人フルネームを名乗った人物がいない。それは初め友達のおふざけのたった一言から始まった物語だからで、考えることもないし……いいかな。と思った結果でもあり、色々と単語の名前で名前とは言えないものだらけだ。

 物語の中にあるようにゼーレの名前はドイツ語で魂。ロドルが『ふざけた偽名』と吐き捨てたようにもしかしたら本当の名前ではないのかもしれない。メーアはドイツ語で海。デファンスがフランス語で牙。セレネはギリシャ神話の月の女神セレネースから。そしてロドルは『昔名乗った偽名』ホルド・ルチーフェロ――ハンガリー語で月、イタリア語で堕天使。つまり月の堕天使という名前から貰ったもの。教会組も同様。クローチェはイタリア語で十字架。クレールはフランス語で明るい。エルンストはドイツ語で真面目。パッセルはラテン語で雀。ネーロはイタリア語で黒。リュビはフランス語でルビー。

 全て考えてもらいました。自分で追加したのも。唯一本名ぽい人は、大聖賢――リリィ。

 このままでで何が言いたいのかと?

 この文章の初めをもう一回読んでみてください。そしてこの物語を。本名が完全にバレてしまったこの物語の主人公が分かったでしょうか。

 実はこの小説の計画が立ち、プロットを書いた時から……いやいや、登場人物を考えた時から? 主人公は考えてあり、それを頭に置きながら書いていました。初めは全く出ず、影の存在であるその人物に打ちながら応援したり、時には急かされたり。

『光を感じる――』この一言から始まったこの物語の出発点。このシーンは誰と誰なのか。これは読者様のご想像通りに。きっと沢山浮かんでくるでしょう?

 まさかこの一言からこんな長い物語になるとは思いませんでした。私の考えも、暇つぶしにやろうかなぁ……という気の抜けたものだったのですから。本当に楽しんで書くことが出来たと思います。大変なことたくさんあったけれど。

 この物語はロドルの天才的な計画。黙示録です。そして彼はネーロに剣を奪われたとしても計画を進めます。その独走は間違った事をしていないという絶対的な自信とリュビとの約束の為。

 でも彼がもし――リュビに会っていなかったら?

 そうなれば彼はどうなっていたでしょう。多分私が思うに彼は自身の為だけ、退屈にあのセリフをただ吐いていたでしょう。永いあの時の中で。

 この物語を書こうと登場人物を考えてくれた友達に感謝を致します。続きが早く読みたいと急かされたことで励みにもなったし、気力になりました。感謝感謝です。

 最後に。我が主人公の完璧な計画にカンパイ。――『乾杯』と『完敗』をかけて。






2014年9月書下ろし

2018年4月改訂




では、第二譚へ。

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