第25話 青い鎧の男

ミスト、カイ、ヴィント、メイが旅立った後。


この町で好戦的で強いウォーネは、殿を務める事となった。


町の人々が町を出て暫く待ち、

町に火を付けた。


木像の家が多く、たちまち火は燃え上がった。


ウォーネが得意な銃火器を用いず、ただ一軒ずつ、松明で赤色の火を付けていった。


全ての家に火を付け、

荷物を持って素早く扉を出た。


そして、驚いた。


まだこの町に迫っている軍隊は、山を一つ越えた辺りにいる筈だった。


この町を見付ける頃には、もうこの町は炭となっており、人一人いない状態になる。

筈だった。


けれど、扉を出て草原の先にいたのは、

真っ青な鎧を全身に纏い、

身の丈以上の大きな両刃の斧を担いだ大男だった。


ウォーネも人並み外れた大きな男だったが、遠目に見ても同じ位の体格だった。





ウォーネは、既にすぐに攻撃出来る装備をしていた。


身体中に武器を仕込み、右手には巨大なマシンガンを持っていた。


すぐに青い鎧の男に向けて、撃った。

だが、避けられた。

避けながら物凄いスピードで、こちらに向かって来た。


ウォーネ「チッ!面倒な奴が来たな。」

ウォーネは、撃ちながら森に向かって走り出した。


頭に掛けていたゴーグルを装着した。

ゴーグル内では、

相手の正確な距離、

装備している武器、

相手が向かって来ているスピード、

推定戦闘能力、

逃走ルート、

が表示されていた。


逃げるスピードよりも、追ってくるスピードの方が2倍位早く、

こちらの銃撃も避けられ、当たっても鎧が弾丸を弾いていた。


2分以内に接近される。

けれど、向かっている森まで4分掛かる。


このままだと草原の真ん中で、斧で斬り殺される。


それを避ける為に、左手で本を開き、呪文を唱えた。

その呪文を唱えるまでに、1分掛かる。


後ろを向いて走りながら銃撃し、

そうしながら呪文を唱える。


走るスピードは落ち、

青い鎧武の男もその姿に気付き、

身に付けているナイフを投げてくる。


それをウォーネは、銃撃で撃ち落とす。

ナイフを見なくても、ゴーグルが狙うべき対象をターゲットする。


その攻撃に対して、ウォーネは、手の平サイズの3体の小型戦闘機を出した。


3体は一直線に青い鎧の男に向かい、銃撃を始める。


だが、その攻撃も避けた。

そして、担いでいた大きな斧を目に見えないような速度で振り回し、

あっと言う間に3体共堕とされた。




そして、その間に呪文が唱えられる。


ウォーネが白く光り輝き、周り一体をフラッシュでも焚かれたかのように眩しく光る。


そして、その光が消えた時、ウォーネの姿が消えた。


青い鎧の男は、止まった。

ゆっくりと辺りを見回し、

そして目を閉じて周りの気配を確かめた。


けれど、ウォーネが周囲からいなくなったと判断し、燃えた町に向かった。





その姿を、ウォーネは少し離れた所から見ていた。


青い鎧の男が扉をこじ開けて、町に入っていく姿まで確認し、その場を離れた。


青い鎧の男は、

ブリッカーの新たな軍隊、青の軍隊の隊長であった。


大柄で身の丈以上に巨大な斧を持ち、全身に鎧を身に纏っているが、

超高速移動をして竜巻のように、周囲の敵をなぎ倒していくような噂が流れていた。


ウォーネも一度、遠くから戦闘を見た事があったが、

今の装備では太刀打ち出来ないと悟っていた。


対人間用ではない装備でないと。





念のため、敵の尾行を警戒し、

ウォーネは先に進んでいる町人達に連絡を取り、遠回りして合流する事とした。

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Different Dimension 1.封印の書 緋村次郎 @himurajr

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