再会


ポーチを置いたまま家を出ました。


ファンデーションもマスカラも必要なかったからです。



電車にずっと乗って、最後の駅で降りました。


ずいぶん前に買った新しいままの靴がなんだか足に合わなくて、


砂浜までは時間がかかりました。


曇った空だったし、海はごみとかよくわからないもののくずが


たくさんで、なんか期待外れでした。



また少し歩いて息を吐いたり、立ち止まったりします。


その間ずうっと、彼は足跡だけでついてきました。



すこしだけ嫌な匂いのする波辺で、彼と会いました。


つるっとした石みたいな感触です。


そのあとは自販機で炭酸を買って、ふたりで飲みました。


いつもの駅で降りて、家に帰りました。



砂浜に忘れ物をしたみたいで、またふたりで笑いました。









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衒う短編 順番 @jyunban

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