奉れ!妖怪神社
秋鹿 慧
プロローグ
ひゅ——————————ゴンッ!!!!じゅ~~~
———朝、目が覚めるとフライパンが俺こと
しかも熱していて、打撃の痛みと火傷の痛みを同時に受けてしまった。
「ぎゃああああああああああああ!!」
「ふむ、ファッキン狸は痛いでも熱いでもなく、叫ぶのか。」
さわやかな朝にとんでもないことをやらかしたこの白髪で巫女服の白の割合が8割くらいある少女は俺の部下で、名前を
部下であり、共にこの神社で暮らす家族としての見方ではなく、第三者視点で彼女の事を評価するのであれば、喋らなければ可愛い。それしか思いつかない。
竜造寺 こまという存在の外見だけを見るのであれば、町中で通りすがったら振り向いて二度見するだけでは飽きたらず、数分はストーキングしてしまいたくなるような超絶美人なのだが、とにかく口が悪い。オブラートに包んで言うのなら、彼女は人と話すのが苦手といえばまだ聞こえがいいだろうか。こまの言動は初対面の相手にだってファッキンとつける。彼女なりのあだ名なのだろうか、一緒に暮らす俺にすらわからない。
「なぁ、こま……。」
「なんだファッキン狸。」
「頼むから普通に起こしてくれないか?そして上司である俺の事をファッキン呼ばわりするなとあれほど……」
「ところでファッキン狸。」
「いや、話を最後まで聞け!!」
「朝食の卵焼き。タバスコ切れてるから買ってきて。」
卵焼きにタバスコ。さわやかな朝食にそんなものが入っていたら他の奴なら朝食を作った奴の穴という穴にタバスコをぶち込むだろう。
だが、コイツは違う。身体に流れる血管には血液が流れているのではく、タバスコが流れているんじゃないかというくらいタバスコの使用量が半端ない。
それよりも上司を上司と思わないコイツの思想が理解できない。
「……俺はそのためだけに起こされたのか?その熱されたフライパンで?」
「うん。」
「よし、帰ったらお前に説教してやる。ちょっとまってろ」
そう言って、火傷した自分の頬に手を添えながら町に向かうのであった。
ちなみに、俺たちが住んでいる「妖怪神社」は山岳信仰というわけでもないのに山奥に存在する。
俺の上司曰く、「神と煙は高いところに昇る。」と言う事だ。
神を祀るために雇われている俺たちがそんなことを言ってはいけないと思いがちになってしまうが、実際の神様を見ればそんな風には絶対思えない。
なぜなら——————
「おーーーーい!!出雲!!!!」
「……何ですか?大国主様。」
「俺の朝食はまだか!?待たせるならホットケーキとかじゃなきゃ嫌だぞ!!」
このホットケーキとか言ってるおじさんがこの神社の神だからだ。
奉れ!妖怪神社 秋鹿 慧 @akisika0702
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