第5話

ぽたん、と、私の顔に澤木さんの汗が落ちた。

そのまま乾いて。

それか、染みて。


澤木さんの存在はいつのまにか、するりと心の中に入ってきた。


私の居場所をつくってくれた。


一緒にいる夜は2回目。

なのに、深く濃い夜。


互いの指を絡めるとふと目が合った。


最初は、キザなお調子者だと思った。

こやつのテクには引っかかるまい。

だけど、

「翠和」

今は、

「こっち、向いて」

引っかかってあげてもいいよ。

遊ばれててもいいよ、別にね。

澤木さんといられる時間があれば充分。

底深くに沈んだ私の感情が、浮いてくる。

掬ってくれたのは、あなた。

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不透明な 椎木 @shi-ki

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