第14話
家に帰ると寝てるお父さんを起こして
24時間営業のホームセンターに連れて行ってもらう
大量のペンキと筆を買って
車に詰め込む
お父さんに何に使うんだ?って聞かれたから
文化祭準備で使うのって答えた
明日が楽しみで仕方がなかった
寝たのは3時で起きたのは5時
眠たがるお父さんを起こして
ペンキを積んだままの車で学校まで送ってもらう
夜中に起こしても、朝早くに起こしても怒らないお父さん。本当に私のこと大好きだな〜なんて心の中で笑ってた
ペンキの教室まで運ぶため何回か往復する
手伝おうか?と言われたけど
流石に断った。学校の中を見たら何を言われるか分からない
昨日は暗くてあんまら見えなかったけど
よく見ると結構ひどかった
そこら中にペンキがついている
先生達も真中くんもまだ来てなくて
教室には誰も居なかった
全てのペンキを運び終わると
お父さんは帰って行った
ペンキと筆を1つづつセットにして
クラスのみんなの机の上に置く
そして真中くんの席に座って彼を待つ
彼が来たのは6時10分
驚いた顔で教室に入ってきた
そして教室の中を見てもっと驚く
「なんだよこれ」
驚いてるように見えるけど
少し笑ってるようにも見える
目が輝いていた
「すっごく楽しかった!」
私が笑いながらそう言うと
彼は「お前最高!」と爆笑する
そんな彼に「まだあるよ」
と微笑むと
ん?と私の方を見る
私の机の上にだけ置かれていた
水がいっぱい入ったバケツ
それを持って思いっきり彼にかける
頭からビショビショになる彼は顔にかかった水を手で拭いている
髪の毛の先からぽたぽた落ちる水
濡れてる彼はすごくかっこよくて
まだ濡れてる色っぽい唇に吸い寄せられるように顔を近づける
彼の首に腕を回してキスをする
すると彼は私の頭の後ろと腰に手を回した
どれだけの間キスをし続けていたのだろう
気づけば先生達の声がして
そのうち生徒の声もして
私の教室にも人が入ってきたのがわかる
それでもお互いキスを止めなかった
周りが何かいってるけど
何言ってるか全然分からない
「離れろよ!」
滝の声がしてすぐ
私は真中くんと引き剥がされた
そこで周りの様子がやっと目に入った
クラスのほとんどの人がもう来ていて
みんな私達を見ている
ペンキでぐちゃぐちゃな学校
全身ずぶ濡れの真中くんとキスしてる私
それを見た新城はいったいどんな表情をするのか見てみたかった
こんな状況でも無表情を保つのだろうか
彼女を目で探す
彼女は教室の端に立ってこちらを見ていた
そんな彼女の目の前まで行く
目の前で私を見た彼女は
「キミって本当最高だよね。ここまで頭おかしいとは思わなかったよ」と笑い始める
その姿がどこか真中くんと被って
近くにあったペンキの缶に手を突っ込み
ペンキのついた手で彼女の頬を撫でる
私が手を突っ込んだペンキは赤色で
彼女の頬はまるで血がついているみたいになった
「私の方が上だから」
そう彼女に言うと私はさっきの場所に戻る
真中くんの前まで行って微笑むと
「麗華が一番だよ」
とあの意地悪そうな顔で笑って私にキスをした
それを滝が「おいっ」と邪魔する
嫉妬してるかわいい滝にチュッと触れるだけのキスをしてあげる
2人に微笑むと私はくるっと振り向き
クラスのみんなを見る
そしてペンキを塗る筆を手に持つ
「みんな、暴れようよ!」
私がそう言うと皆んなは
それぞれ自分達の机の上に置かれていた
ペンキの入った缶と筆に手を伸ばす
彼らはみな、口角を上げていた。
もっとあばれて 白石 ゆい @siosio08081
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