第24話笑わない少女と復讐の果て
『終わったな』
部屋に戻り一息ついた頃、ストレージからカリヴァーンが出てくる。
「ええ終わったわ」
あと二人、正確にはリティシャに譲ったので一人か? いるがあとは些事である。
コンティナ家の庇護の元好き勝手やってきたのだ。そのコンティナ家の力が弱まればどうなるか。
ジョリーナは殺した。アベリナもリティシャが殺すだろう。
一人くらいは生き地獄を味合わせてもいいだろう。
ーーー どうして? --ー
私の中から声がする。
ーーー そのために何人の人を殺したの? ---
うるさい
ーーー こんな筈じゃなかった -ーー
計画通りよ
ーーー こんな恐ろしい事したくないのに -ーー
あいつらの自業自得よ
ーーー 彼らは? ただ冒険者として生きていただけの彼らは? ---
コンティナ家のお抱えだったからよ
ーーー 殺すことはなかった -ーー
死ぬべきだったわ
ーーー 殺さなければいけない事をジョリーナはしたの? ---
あいつのせいで私は何度も死んだわ
ーーー それはジョリーナのせい? ---
だまれ、だまれ!
ーーー 殺すことはなかった 殺すことはなかった -ーー
『おい? どうした嬢ちゃん?』
「マキナーいるんでしょ? 入るよ」
リティシャが部屋に入って来た。 鍵をかけ忘れたようだ。
「外は凄い騒ぎよ?
『そういや結局起動させなかったんだな? 最初は少しの間だけ動かすって話だったが』
そう、だけどそれはやめておいた。
そのほうが混乱するだろうしね。
「まあ私も、
と、リティシャはあっけらかんと笑う。
復讐……そういえばステータスを確認してなかった。 私にも
しかし、そこに
ーーー あなたのした事は復讐じゃなかったんだよ -ーー
ああ
ーーー あなたはなんの罪もない ヒトタチヲ -ーー
あああ、ああああああああ!
「うあああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁ!!!」
『どうした!』
「マキナ!?」
突然の叫びに二人が驚きの声を上げる。
しかし、しかし
私は、な・ぜ・ひ・と・を・こ・ろ・し・た ?
幾重にも掛けられた『
そして私に襲い掛かってくる人を殺した罪悪感、恐怖が心を壊さんとしてくる。
それらが、本来の私を、弱虫で泣き虫で、人の顔色ばかり窺っているちっぽけな、だれよりもクソッタレな私をさらけ出す。
「私は…… わたしはぁぁぁぁ!!」
混乱する意識が引き金になってか突然魔力が暴れ出す。
その暴走する魔力を押さえられないまま私はそれを解放した。
『まずい! おいチチでか姉ちゃん!? 俺様の側にこい! 急げ!!!』
そのカリヴァーンの言葉に慌てて駆け寄るリティシャ。
私は最期に残った意識で魔力を変換した。
その力を転移の力に変えて……
『おいおい、俺様を置いていくなよ……』
消えゆく意識の中、カリヴァーンの声だけが届いた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
あれからどれだけの時間がすぎたのだろう?
あなたが私の目の前から消えてからすぐあの喋る剣がいなくなった。
貴族にでも売れば一生遊んで暮らせそうだったのに残念ね。
そして
その取り巻き達の家も力を失っていった。
アベリナは……私の姉は、弱くなっていた。
あの純粋だった悪意は、成長と共に権力に塗れる事で汚れていったのだろう。
アベリナはジョリーナを利用するつもりで近づき、そしてその権力の恩恵に依存していったようだ。
私が彼女に会いに行った時は、すでに抜け殻のようだった。
あれはもう……殺す価値すらなかった。
その後すぐに
南方の楽園とも呼ばれる国ザハトーマ。
人々の笑顔が絶えない国とも言われる国に私はなじめるのかな?
ねえ? マキナ。
私はあなたが変わって強くなったって思っていたけど違ったんだね。
少しあの下品な剣に聞いたけどあなたは傷ついててそれを誰にもわかってもらえなくて……
「リティシャ、そろそろ国境だぞ」
「はーい」
私は返事を返し身分証の用意をする。
ねえマキナ? 今あなたはどこにいるんだろう?
あの下品な剣とは再会できたのかな?
ねえマキナ? もう一度出会えたら私達今度こそ友達になれそうな気がするよ。
仮面を外したあなたと私なら……
笑わない少女は血薔薇と舞う 凪崎凪 @mofuon
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