メタな閑話に脱線しろ

※読まなくても本編に影響はありません。メタな表現が嫌いな方はスルー推奨です。また、今後この手の閑話という名の誤魔化しを入れる予定もありません。多分……。



「先輩、私の名前、知ってます?」

「……!? と、突然どうした!? ……もちろん知っているに決まっているだろう。俺はお前のメンターだぞ」

「…………」

「…………」

「まあ、良いです。知らなくて当然です。作者が決めてすらいませんからね。裏設定ですらないんですよ? 決めてないんです」

「お前、突然メタな発言するなよ!」

「閑話だし、良いじゃないですか。ちなみに先輩にも名前はありませんよ。同僚さんにも営業さんにも。固有名詞ってジョセフさんが初じゃないですかね? それも絶対に理由なんて無いんです。手が滑った程度ですよ。今までの流れなら『社長さん』で良いじゃないですか」

「確かにジョセフさんだけ……。従者も従者さんってだけだからな」

「私達、容姿の描写もほとんどないじゃないですか。本当は決まっているのに、『べつに何でもよくない?』で書かないんですよ。知ってます? 私、メガネキャラなんですよ!? 作者が友達に『メガネ巨乳成分欲しくない?』って言われて初めて『あー、後輩ちゃん、実はメガネなんだ。巨乳じゃないけど』ですって! それに、私、いつも紺とか灰色のワンピースなんです。毎日違うのを着てるのに、色の濃淡と少し形が違うだけだから紺か灰色か以外、誰も気付かないんです。そんな設定があるんです。なのに『そのうちどこかで出すよきっと』とか言ってるんですけど、もう7話ですよ? クレーム処理に出る前にその設定出せるタイミングがあったんです。なのに、『文章長くなるな。設定の描写削るか』ですって! 大事だと思うんです、私、設定の描写って!」

「おーい、神様ー! コイツを止めてくれ!」

「がるるー! がるるー!」

「設定描写で言えば、俺も、黒髪の無造作もっさりヘアーで、前髪が長いから目にかかりそうとか、いつもコットンシャツに茶色いズボンだとか、眠そうな二重まぶただとか、あるな。あ、眠そうな二重まぶた以外は出てた(5話)か。けどお前、美人でスタイルも良いっていうありがたい設定がちゃんと描かれてるじゃないか。あと茶髪」

「……っ! ありがたいですけど、そんな曖昧な設定ありますか!?」

「好みはひとそれぞれだからなぁ。想像にお任せなんじゃないか? 『可愛い』って表現じゃない辺りで方向性は決まってると思うが」

「……」

「それよりも俺が気になるのは、時代背景とか、文化とか、風景描写とか、用語説明の甘さだな。特に用語。他は『必要になったら出せばいいさ』で良いんだけど、結構簡単に新しい用語が出てくるだろ? だから説明も設定も甘くなる。これでも出したい単語を出してないんだとさ。『リアリティ』と『分かった気になれる』てことと『ファンタジー感』のトレードオフだとかなんとか」

「ちょっと言ってる意味が分かりませんが、あちらを立てればこちらが立たずってやつですね?」

「そんな感じ」

「でもまあ、せめて、名前と年齢くらいは明かして欲しいですよね。どうせ忘れられるとしても」

「だなぁ」

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