第2話 魔法陣の説明を聞け
※大幅変更
「先輩、どうしてそこの記述は同じ魔法陣に書かずに、別の魔法陣に書いて魔法接続するんですか?」
「うん? そんなもの、こっちの方が美しいからだ」
駄弁っているわけではなく、今日も今日とてお仕事中。今は後輩ちゃんに魔法陣を実際に見ながらの教育中というわけだ。
「え! 本当にそれだけですか!?」
「そうだ。と、言いたいところだが、
「つまり、ちゃんと理由はあると?」
「うん。ここと同じ記述が必要な場所が五箇所にあるのは分かるか? 同じことを五回書くのが非効率なのが一点目。そして、このくらい細かい記述だと、記述ミスが発生する怖れがあるために、それを避けるためなのが二点目。逆説的に、別々の場所から同じ魔法陣に接続させることにより、同じ記述であることを読み手に理解させる。最後に……」
「ごちゃごちゃ書くより美しいから、ですか?」
「おお、分かってきたじゃないか」
俺は左手に魔力を流し込み、今見ている魔法陣を目の前に展開させた。
そしてもうひとつ、次は右手に、美しくない方の魔法陣を展開する。
この展開させた魔法陣にさらに魔力を乗せることで魔法が発現するわけだが、今回は見せるだけだ。
左手の魔法陣は手のひらに収まる程度の大小二つの魔法陣が重なり合うように展開され、大きい魔法陣と小さい魔法陣は五つの魔力の線によって接続されている。
右手の魔法陣は左手のそれよりも三倍ほど大きくなり、記述もごちゃごちゃしていた。
「こうやって自分で展開してみるとよくわかるが、美しくない方の魔法陣は、この程度の大きさまでしないと意味を成すことができない。それだけ魔力が必要になるわけだ」
「おお! 確かに、端から見ていても違いが分かりますね。というか先輩、器用ですね。違う魔法陣の同時展開だなんて……。もしかして、そのまま両方発現できちゃったり……?」
「するよ。当然」
「当然って! 魔法媒体を必要としないダブルマジックですよ!?」
なんで怒られているの分からないが、俺は無視することにした。
「まあ、こんな感じで、魔法陣が組めたら自分で展開してみるといい」
「そんな複雑な魔法陣、私なんかじゃひとつでも展開できませんよ……」
「そこは努力で」
こうして今日のレクチャーを終了した。
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