空。
宮乃 世利
第1話鳥。
嗚呼、良い天気
雲の流れが早い
朝のお姉さんが言ってたな
今日は大雨注意日です
どこがよ
予想外れすぎ
あの青空の下で昼寝したい
あの青空見上げて羽を伸ばしてとびたとう
今のこの世は狭苦しい
私の小さな羽すらも伸ばすスペースがない
あの空にはたくさんスペース有るのにさ。
鳥達の優雅な旅が許されるのに
否、ほんとうに鳥は優雅なのだろうか、
あの大きな羽を思い切り伸ばして
風を利用し
空高く飛び上がる。
それはきっと、
心地いいのだろう。
本当に?
高いところは酸素が薄い。
そう聞いて育った。
あの翼の大きな鳥達は
きちんと息ができているのだろうか。
あの翼を
苦しいと藻掻き、
ばたつかせていたら
いつのまにか、
空を飛んでいたのではなかろうか。
苦しみから逃れることはできたのだろうか
嗚呼、雨だ。
お姉さん、流石だね。
今日のお天気は当たりだよ。
大粒の天の涙がぽとりぽとり。
あすふぁるとに。
森の土に。
みんな油断していたのか。
みんな
なんだか慌ただしい
ハシルハシル
大きな翼を持つものが地上へ
小さな翼を持つものも地上へ
現実へ
舞い戻ってきた。
みんな、私と同じように
朝のお姉さんを馬鹿にしていたんだろうか。
否、違う。
すっぽりと抜けていたのだ。
お姉さんの言葉を忘れ、
久々の青空を仰いだ。
誰があの色を見て雨が降ると思うだろうか。
そんなことはどうでもいい。
そんなことよりも勉強しなさい。
と、大人は言う。
また、「そんなこと」
いつも、じぶんのことばかりじゃないか。
わかっている。
教えられてきた。
鳥達が空を飛んで何をしているのか。
獲物を探す。
他の土地を渡っていく。
わかっている。
でも、それすらも
私達人間が考えて導き出してきた答え。
本当の理由はわからない。
そう。
きっと、そうやってなにもかもを理論付けないとこの世ではやっていけないの。
きっと、そうよね。
理論付けて、置いておく。
だからよね。
生まれた頃の大きな翼が
その人が大きくなるに連れて
羽を伸ばす場所がなくなっていく。
この社会によって
退化せざるおえなくなっていく。
おかげで、
今自由になろうと思った時に。
自由への成り方がわからないのだ。
私は、いつか
鳥になりたい。
空。 宮乃 世利 @miyano-seri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます