17.オーディエンスにも雷が落ちることもあります。

 拝啓、先生。

 私はさながら農作業にはげむ農民の様に、作品という作物を育て、字という肥料をやり、読者という水を浴びせて、額に汗を流し今日を生きています。微小ではありますが、少しお水PVを確保することが出来ました。その水を休憩がてら飲んでおります。私が。


 カクヨム壮では、小規模ですが、ノンフィクションによるコンテストが現在開催中です。私は、それを見守るオーディエンス観客となり、日々切磋琢磨せっさたくまし合う住人たちを傍観ぼうかんし、教養を得て、栄養にしております。これのせいで体がマシマロになってるのやも。あぁ、憎し。これぞ正に逆恨み。


 私が参加してもマシマロ日記を書くだけで、読者を「あっ、マシマロね」と思わせるだけなので、控えておりんす。日々をつづろうにもどうも妄想が肥大し、フィクションを書いてしまう。そんな肥大妄想であり、被害妄想を抱き、蒸し風呂と貸した部屋で枕を抱きしめゴロゴロして巻き付いております。その姿はまるで、棒に巻き付き焼かれる棒焼きパン。バーベキュー部門を争覇そうはし、レッドカーペッドを歩ける存在。それが私。


 一応、カクヨム壮の玄関近くにある掲示板に出された張り紙の前を徘徊して、興味がないような素振りを見せ、行ったり来たりし、ちらりと盗み見てみたり、職質されても文句が言えぬ怪しい、マシマロ役を演じております。おそらく、ミステリーでは怪しいやつだが、使い捨てキャラとして扱われるでしょう。そんなことを考えていたら私に雷が直撃しました。


「何作品でもOK‼」というデカイ文字に気を取られて、ミスディレクション視線誘導されていたようで、小さい文字を見落としておりました。「住人投票による上位30位迄と」。「による最終へエントリーされます」。衝撃が走りました。選出した時点で選考しているのでは?と目をこすり、立ち止まって何度も張り紙を確認して、その場を立ち去ることにしました。


 謎が謎を呼ぶミステリー。思考が迷宮に迷い込み、迷走し、冥土へ近づく。部屋に戻っては、また掲示板に行き、目を釘づけにされ、首が振り子時計のようにリズムよく左右にはてなマークを出しながら揺れておりました。その姿はとある有名ケーキ屋のそばかすがある看板娘を思わせる動き。あの小娘こむすめは日本人なのか怪しいと疑っております。髪が天然茶髪で名前もカタカナ二文字。実に怪しい。オーバーオールの着こなし具合も孫でも衣装といった感じです。


 まぁ、謎は謎のままでいいのかもしれません。世の中知らないことが良いこともあるということで、私は畳に寝そべり、肘を立て頭を乗せて、尻がむずがゆいのでポリポリ搔き、窓から外の景色を眺めております。これぞ正に「知らぬが仏」。私は死んではおりません。


 P.S

 俳句の謎について、手紙をゴミとして回収されてしまい、途方に暮れております。

 3点、2点。32……もしかして。讃辞さんじですか?

 ちょっとこちらの方が上品な感じがします。褒め過ぎですよ。まったく。


 平成28年 盛夏

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