18.コールドスリープでタイムトラベルに行きかけました。

 拝啓、先生。

 私はおPVを増やして、作品を育てております。

 なにやら、突然変異を遂げたようで、このタイミングで何か動きがあったようです。お客様は物言わぬ形でしたが、楽しんで頂けたかなと足跡を見て、複雑な心境です。おひねりはなく、コメントもなく、姿もわからない。心臓が息苦しそうにドクドクしております。


 最新の手紙を頂戴しました。

 今度は穴をあけないように気を付け、ラミレート加工を行い、防御力を透明な保護シートで補強し、耐久力を上げ、厳重に保管できるように致しました。加工直後は熱いので、ビターマシマロを目指している私はブラックコーヒーを飲み、マンダムと渋いダンディズムを渋顔しぶがおマシマロで表現しておりました。

 冷めた頃合いを見て、手紙を拝見すると、


『俳句の件、惨事さんじだったね。以上』


 ――えっ、


 ――時が止まった、


 ――――動けない。


 私は凍り付いた体を必死に温めようとしたが、動けず、このままではコールドスリープ冷凍睡眠によるタイムトラベル時間旅行を体験してしまう。焦りました。固まったままの私は、サウナの部屋で氷が溶解していくのをひた待ちました。


 解き放たれた瞬間、私は激しくなっている呼吸を整え、辞書を手に取りました。答えを確認する為に。ページをめくり続けていく、目的の場所まで。「惨事=むごたらしいできごと。いたましい事件。」。……いたましい、だと。


 血の気が引き、私は蒼白し宙から吊るされた人形の糸が切れたように、崩れ落ちました。さわやかな夏にぴったりのソーダ味マシマロ販売中です。


 P.S

 許すまじ……許すまじ……まじ許すまじ。

 先生、私は体を鍛えますので、ゆっくり、のほほんとお過ごし下さい。


 を楽しくお過ごしください。


 平成28年 盛夏

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