12.先生はイソフラボンを扱われない方がよいかと存じます。

 拝啓、先生。

 シナチクを形容するうだる通行人を見て、私はラーメンを食べたくなり、交差点の白線前で信号待ちをしながらハンカチで流れる額の汗を拭きとり気合いを入れるサラリーマンは、いつぞや甲子園のマウンドに立ちを世間を沸かせたハンカチ王子を彷彿ほうふつとさせます。私という観客がメガホンで声援を送りたくなる、彼らは日本経済を支える大黒柱のエース。そんな、暑くて熱い夏が訪れてます。


 カクヨム壮で、「恋するサマー、色ボケサマー、私が乗りたい車はハマー♪」というように、韻を踏んでちゃかしながら、セミの鳴き声と合唱し、畳の井草の匂いのする夏の日差しの中、ルンルンと先生から届いた品物を開けておりました。実際はハマーなどいりません。置き場所に困るので間違っても送らないでください。


 ダンボールを開けた私の目は三度程パチクリし、現実を受け入れられず乗用車で曲がり角を曲がる安全確認の時の様に一回左右へ視線をらして、目標物をロックオンしました。どうして、歯ブラシお泊りセットだけがポツンと寂しく入っているのでしょう?


 ダンボールという広い荒野に礼儀正しくこじんまりと透明なビニールの衣に身を包んだ、しおらしい歯磨き粉と歯ブラシ。海へのハッピーセットをお願いしたはずと思い、歯ブラシセットを右から左からのぞき込んで、一旦上品なそやつを放置プレイして楽しむこととしました。


 放置プレイの余興として、漆黒のアイスブラックコーヒーを飲みながら、先生の思惑とはこれ如何いかにと腕をがんじがらめにして、思量を巡らせていると頭の上に電球が現れ点灯。


 もしや、ハッピーセットと歯ブラシセットをかけているのかと先生のギャグセンスも夏の気候で腐敗したなとブラックでビターなコメントを考えていたら、ある文言に気付きました。『歯槽膿漏しそうのうろう予防』。もしかして、海とうみをかけているのですか?四文字熟語の一文字を拾うというのは、確率的には四分の一に見えますが、現世の膨大な情報社会において、このボケを拾うのは宝くじで一等を当てるようなもの。奇跡です。そして、布石であり、私の体は歯ブラシセットを握ったまま時が止まり、石になり、さならがギリシャ彫刻のように奇石きせきと化しました。


 何故このような人を中傷するボケを噛ましてくるのか。呆けているのか。痴呆ちほうなのか。阿呆あほうなのか。先生への仕返しをあれこれ巡らしていると歯ブラシセットの中に手紙が入っているのを見つけました。中身を拝見すると3点、2点と私の俳句に採点をしてくださっていたのですね。5点満点であれば、上出来だと思います。そして、先生の詩を拝見させて頂きました。


 ***


 イソフラボンで洗ったよ。

 イソフラボンでガブガブ洗ったよ。

 イソフラボンで跳ねて洗ったよ。

 イソフラボンでかぷかぷ洗ったよ


 ***


 0点です。

 先生はイノセンスですが、詩のセンスは、死のセンスであり、ナンセンスです。


 そもそも、宮沢賢治への挑発的冒涜行為であり、うがい薬をイメージしているようですが、イソフラボンは大豆に含まれる栄養素であり、美容と健康に役立つものですが、先生が使うと凶器になり、私の肌にストレスによる吹き出物を発症させる化学兵器に近いものへと化合を遂げます。うがい薬の主成分はポビドンヨード、塩化セチルピリジニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンゼトニウムとなり、先生が扱ってはいけない代物です。歯ブラシセットといい、これといい、私の口内に何か恨みでもあるのでしょうか?残虐非道な誹謗中傷により、私の口内がエーンと泣き喚いて、ストレス病で口内炎になりそうです。


 ただ、運がいいのも先生の魅力。

 今日の私は機嫌がいいので、許せるだけのサラダボウルの様なデカい度量をお見せすることができます。久々に以前からお知り合いの素敵なカクヨム壮の住人の方と触れ合うことが出来たので、私がハッピーなのが、強運でありますね。先生に足を引っ張られて溺れかけたPVは、河童が川を流れていくように戻ってきませんが、それも河童と一緒に水に流せます。



『とても面白い』


 この一言だけで私のガソリンは燃料満タンとなり、何百キロも前に進むことができるでしょう。但し、ハマー同様燃費が悪いのでどこまで進むかはエンプティ―ランプ次第であります。私の姿はハンプティダンプティ。頂いたハイオクでどうにか、夏を乗り切りたいものです。


 P.S

 そろそろ、叙々苑へ行きませんか?私の予定はいつもでもOKです。

 トラジでも構いませんよ。お店の予約はお気になさらずに。


 平成28年 盛夏


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