11.松尾芭蕉に影響を受けて俳句を書いてみました。

 拝啓、先生。

 先生からのお手紙を布団にくるまり芋虫の様になりモゾモゾしながら回収し、ノコギリクワガタの様にハサミで切り取り、はえの様にペロペロ舐めまわすように拝見させて頂いております。


 夏の謳歌の仕方について、懇切丁寧に一文を添えて頂き私の心は満腹になりそうですです。


『海に行け。以上』


 心の中でさざ波が静かな音を立てて、寄せては返し、なんだ?これ?ってやまびこならぬ海びこが聞こえます。そして、思わずウミガメの産卵を真似するように涙ながらお尻を上げて、「ぐわぁ」とモノマネをさせて頂きました。


 完結に簡潔である回答に、私の心は寄せては返す白波しらなみで体は砂浜のサラサラパウダースノーになりそうです。まずは、ナウでヤングなファッションセンスを磨くべく、「しまむら」に行き、ヤシの実が描かれているハワイアンなビーチサンダルを手に入れ、白い美肌にモジャモジャとしたすねをみせられる海中パンツを手に入れなければならないので、素麺そうめんから海で遊べるハッピーセット一式に変更して頂きたくお願い申し上げます。


 朝日を見ながらラジオ体操を聞き、布団で柔軟を繰り返して、また丸くなる。そして、私の体も丸くなる。自堕落で怠惰を貫き通す鉄の意思を持って、手紙を置きました。私の鉄ハートは、針金のように曲がりやすく、社会という力にくねくね曲げられ、ひねくれています。先生の影響も御多分に漏れずです。


 P.S

 松尾芭蕉に影響を受け、俳句を書いてみました。


 カキ食えば 腹が鳴るなり 緊急時。

 (生牡蠣を食べてお腹を壊しトイレに駆け込む緊急時のせつなさを歌った句)


 古い毛や 詰まり流れぬ 水の音。

 (抜けた髪の毛が排水溝に詰まり水が綺麗に流れないせつなさを歌った句)


 平成28年 盛夏

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