童話 in 闇世界

紫姫

1─赤ずきん

【cast】

赤ずきん─后たん【当然ロリですが何か】

おかあさん─水終

お兄ちゃん─華【当然1番ママン感あるよ。】

お姉ちゃん─楔

おばあさん─言ちゃん

おじいさん─晴明さん

オオカミ─天使のみーちゃん

狩人─ブラックツインズ(甘雨・破)

森の変態さん─徳長


【后だけ童話の世界の住人です】

【他は違うのでたまにボロが出ます】


∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴


「后!こーうー!こーーうーーーー!!!」

「はーい!お兄ちゃん、なに!」

「お祖父様に届け物をしてくれないかしら」

「別にいいけど」

「これを、お願いします」

母に甘酒の入った籠を渡された。

『水終…演技がなってない。

 今のオモテの皇子は貴女の娘よ。

 我が皇子呼びはもちろん、敬語も駄目。』

『はっ…師匠』

「ちょっと待って、赤ずきん」

「もう…なに?」

「もう、じゃないでしょ」

そう言って華は后に日焼け止めを塗り、

顔と髪には日焼け止めスプレーをかけ、

髪を直して赤いずきんを被せて、

防犯にスタンガン…は取り出したが止めて、

代わりにネックポーチを渡して

その中に防犯ブザーと携帯電話を入れた。

「森にはオオカミと変態がいるんだから、

 気をつけて行くんだよ?

 何かあったら連絡する。

 連絡出来なさそうならブザー鳴らすこと。

 わかった?」

過保護すぎやしないかと言いたい母と姉。

「はーい。行ってきまーす」

「行ってらっしゃい」

「気をつけてね」



「…やっぱりスタンガン渡すべきだったかな」

「大丈夫でしょう?后の事だし。

 そんな危険なもの持たせる方が心配よ。

 もし万が一相手が気絶なんてしたら、

 あの子も気絶してしまうわ」

「后だから心配なんだけど…それは確かに」

「大丈夫だ、心配するな。

 森には狩人がいるから安心だろう?」

「……まぁ、ね…」

相変わらずママンな兄と冷静な姉。

母が1番大黒柱感あるのは、

シングルマザーの威厳か。

…というか、森の中で子供3人を1人でなんて

よく育てたものだ、と育てられた子は思う。



────────────────────



森に入って、しばらく歩いた。

最初は道のとおり歩いていたのだ、最初は。

歩いていたら前を蝶が通って、追いかけていたら花に囲まれた道を見つけて、その道を何気なしに辿っていたら甘い香りがしてきて、

そういえばお菓子食べてない…などと思いながら香りに釣られて道を辿って歩いていたら。



「迷った…」



とりあえず、道があるのだからその先に家があるはず。

もしかしたらこれは抜け道で、辿って歩いたら祖父母の家に着くのかもしれない!


…などと考えながらそのまま歩いていたら、家を見つけた。

中からはずっと辿っていた甘い香りが漂っていて、后は無意識に扉をノックしていた。



────────────────────



「開いてるから入ってー」


中から聞こえたのは男の声。

そういえば兄が“森には変態がいる”とかなんとか言っていたな…まぁこんな甘い香りのする家なんだから大丈夫だろう…なんて筋の通らない憶測で警戒一つせず扉を開ける。


「おじゃましまーす…」


ずっと森ぐらしだから軽いコミュ症の后。

それもそのはず、話したことあるのは家族と狩人ぐらいしかいないのだ。

知らない声だったので少し緊張しながらも小さく挨拶をして中に入ると、そこにいました眼鏡の変態(もちろん后は気づいてません。)


「待ってたよ、赤ずきんちゃん?」

「待ってた…?お祖父ちゃんのお友達?」

「ううん」

「…じゃあ、誰」

「徳長だよ。君のお友達候補、かな?」

「わたしの?」


「そう。仲良くしようね〜。

 君のことだから迷うだろうし、タイミング

 を見て誘拐でもしようとしてたんだけど、

 君から来てくれるなんて嬉しいな」


「誘拐…」

聞きたくない単語が聞こえた。

「……もしかして…」


「ん?…ちょっとじっとしてねー、縛るから」

「やだ。ちょっ、やめて、

 …もしかして、森の変態ってあなたの事?」

「やめない。すぐ終わるからじっとしてー?

 …変態?褒めてくれるんだ、ありがとう」

「ちょっ、やめっ……褒めてないっ!」

「はい、でーきた。やだなー、照れ隠し?」

簡単に縛られてしまった后。

できるだけ距離を置いて、

兄に連絡しようとして絶句した。

「わたしのポーチは?」

「来た時に首にかけてたの?ここだよー」

そう言って変態もとい徳長は、

后のネックポーチを持ってひらひらさせた。

「君の用心深い家族の事だから携帯ぐらい持

 たせてるんじゃないかと思ってねー」

「……かえりたい…」

「だーめ。帰らせないよ。それにお祖父ちゃ

 んお祖母ちゃんの家に行くんでしょ?」

「……なんで知ってるの」

「なんででしょう?

 ──もー、そんなに睨まないでよ」

「………………」

「────虐めたくなっちゃうからさ」

いつの間にか目の前にいた徳長に、

強制的に顔を向けさせられる。

「………………っ、やだ、誰か、助けて!」

「誰も助けに来てくれないよ?」

「───────っ、」



「それはどうでしょう?」



「──んー、もう来ちゃったの?狩人さん」

「──か、んうっ、ほく、とっ、」

「后、迎えにきたぞー。

 ──大丈夫だから、もう泣くな。な?」

「────徳長」

破の、いつもの優しい笑み。

でもいつもと違う冷たい声音に、

后は破の袖をつかんでしまう。

「あーあ。

 もうちょっと遊びたかったのになー」

圧倒的不利なはずの状況を楽しむかのように破に話しかける。

「そんなに大事ならちゃんと見てなきゃ。

 じゃないとまた誘拐しちゃうよ?」

「お前、そろそろ黙れなー」

甘雨が徳長を威嚇する。

「すぐ怒るんだからー。

 赤ずきんちゃん、また会おうねー?」

「絶対、やだ…」

徳長に話しかけられて、

また泣きそうになってしまう。

「あー后、大丈夫だから泣くなって」

后の好きなクッキーを渡しつつなぐさめる。

「……食べていい?」

「いいですよ」

「いただきます…」

徳長vs破・甘雨の笑顔での睨みあい(器用だ)をバックに1人まくまくとクッキーを食べる后。


──うさぎのような姿に顔が緩みかける3人、ちょっと落ち着け、睨みあいはどうした。


「…ほら后、届け物があるんだろ?」

「そうだった、行ってくる」

「おう」

「気をつけてくださいね。変態は抑えておき

 ますが、森にはオオカミもいますので」

「わかった」



────────────────────



「赤ずきんでーす」

「いらっしゃい、にいさn(ゴホッ…后!」

「待ってましたよ」

「あのね、届け物。お祖父ちゃんに、甘酒」

「まだ家に大量ですけどね」

『はっ…晴明。今は兄さんの祖父だというのに

 敬語とは…』

『貴様こそ兄さんと言いかけるとは…

 それに孫に敬語を使う人はいるだろう』

『言い訳か、見苦しい』

「オオカミは大丈夫だった?」

「うん、出会わなかった」

「そっか。よかった」

「そろそろ帰るね?暗くなっちゃう」

「気をつけてくださいね」

「うん!ありがとう」

「また来てねー!」

「はーい!」



────────────────────



【その頃のオオカミさん】


「あああ后を襲えるなんてこんないい機会

 ああああでも言様を食べるなんてできない

 ああああああああああああああああああ」


……悩みまくってました。


#素のみーちゃん丸出し

#役なんて今は関係ない、悩んでいるんだ。

《だから出てこなかったのね》



────────────────────



【その頃の母兄姉&狩人コンビ】



「──で徳長が后を───」

「徳長ぶっ潰す」

「お兄様、落ち着きなさいな…水終も」

「──ですが師匠、」

「潰しに行きましょうか」

「………まぁ、止めはしないけれど。

 私も行っていいかしら?」

「もちろんです、師匠」


#素の四天王&前鬼丸出し

#役なんて今は関係ない、潰しに行かせろ。

《徳長はどうなることやら。》




─────めでたしめでたし……?─────

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

童話 in 闇世界 紫姫 @sikimiki212

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ