泣きたいぐらいお前が嫌いなんだけど
食事も食べ終わり、クゥと一緒に皿洗いをしながら一先ず皿を洗い終わったら、この家のこととか決まり事を決めることにした。
趣味部屋、寝室、あと居間とほとんど倉庫となっている部屋が一個あったのを思い出し部屋はやっぱり分けたほうがいいのだろうかなんて、食事の時間とかどうすればいいのだろうかなんて事も決めようかと考えながら皿を洗っていく。
服のことも話さなきゃ行けない何て考えてやっぱり名前を付けたというか知ってから身内意識が高まった気がしてならない。
そんなことを考えてるとは知らないだろうクゥが一生懸命皿を洗っているのを見ながら少し妹ができたみたいだななんて思った。
数分経てば、皿洗いは終わり、二人で椅子に座って「じゃあ」なんて私が話し始めた。
「まず、私のさっき入ってた部屋は入らないでほしい」
そういうと不思議そうな顔をしつつ「分かった」と言ったので話を続ける。
「それと、一応物置みたいな部屋があるんだけど、そこ掃除してクゥの部屋に使用かと思ったんだけどどうする?」
そう聞くと悩みつつ「いらない、かな」と言った。
「部屋があってもあんまり使わないだろうし、寝るくらいしか使わないだろうから。それならあたし、ヒヒノと一緒に寝たい」
かわいいこと言うななんて思いながら「そっか」と返事をした。
「あと、夕食なんだけどね」
「ん?」
「私の仕事夕方から夜にかけてるの。だからどうしよっかなって」
そういうと残念そうな顔をしながら「一緒に食べれないの?」と聞いてきた。
「帰ってからなら夜遅くだし、行く前なら少し早いからね」
「遅くても、早くてもいいから一緒に食べたい」
だから、どうしよっかなんて続ける前にクゥが言ってくる。何でそこまでこだわるのか分からず思わず「なんで?」と聞くと少しごまつきながら「だって」と言ってくる。
「……」
その後は何も言わずに、押し黙ってるのがよくわからずどうしたらいいのかと考える。一緒にご飯が食べたいのか、一緒に居たいのか。振る舞ったご飯を食べてる姿が見たいのだろうか。
先ほどの食事を思い出しながら考えるがよくわからず「じゃあ、これは一旦後に回そう」と言って他に言うべきことがなかったか考える。
「クゥの服が全くないからそれをそろえるのと、その長い髪をくくったりするためのヒモあたりでも買ったりしようかなって考えてるんだけど」
「どうかな」と聞くと先ほどのを少し引きずってるのか少し間が空いてからうつむいた状態で「うん」と言った。
子供ってのはよく分かんないななんて思いながら、もう話すことないから結局夕食の話しか話す内容が後はなく、後に回した意味も無いな何て考えながらあの店に連れて行くのはさけたいななんて考える。
浮浪者、ならず者、あと前の店長のときにやってきてたまだまともなやつらがたまにくるだけの、汚くて、馬鹿らしくて、壊したくなるような店。
つれて帰るときに子供は眠りたくなるような時間だろうし、あそこで働いてる時の私は惨めで見られたくないなんて考えてまた馬鹿みたいなこと考えてるって思った。
「一先ず夕方に食べよう。それで、少し時間帯を変えたほうがいいとかになったらそうしよう」
このまま決まらず面倒くさいことになるよりはいいかと思いそういってクゥに「どうかな?」と同意を求めた。すると、少し不安そうな顔をしながらうなずいてくれた。
「じゃあ、一旦話し合い終わろうか。今やってる服適当にあわせていい?」
「服、作ってくれるの?」
そういって「買うんじゃなくて?」と聞いてくる。先ほどの自分の発言を思い出すと確かにそう聞こえるななんて思いながら「うん。作る」と言うととても嬉しそうな顔をしながら「あわせる!」と言ってきてくれた。
私の大きさで作ってたので大きいだろうななんて考えながら趣味部屋から針とか服を持ってきてクゥに着せた。案の定膝少ししただった大きさの服がが足首ほどになっておりさぁどうしようかと考える。
「その大きさでいい? 裾もっと上にする?」
「このままでいい!」
そういい一回転し裾が拭くれあがる。それがしぼむ前に逆回転しさらにふくれあがった裾を見て元気なことだななんて他人事の様に考えながら一旦脱ぐ様にお願いする。
若干名残惜しそうにしながら脱いでくれる。そして私がそれを受け取り縫い直そうとするのをじっと見てくる。このぐらいの年頃は私も同じようなことやっていた気がして少し懐かしくなる。
そんな風に割と仲良くやってるときに玄関がノックされる。こちらが玄関に向かう前に「おーいヒヒノ」と聞き覚えのある声にいわれとっさにクゥを寝室に押し込んで「静かにしてて」と言ってしきりをおろして玄関に向かう。
扉を開け相手が入らない様にしながら「何」と声をかける。すると、相手は「そんなに入れるの嫌なの?」何てけらけら笑う。
「何って普通にお洋服のお依頼だよ」
「その馬鹿みたいな敬語やめたら? 元々の馬鹿さに磨きがかかってかわいそうで仕方がないの」
「本当言ってくれるよね」
「あっそ。親切で言ってあげてるんだけど分からないの? それも分からない馬鹿なんて泣きたくなる」
「俺は泣きたいくらいお前が嫌いなんだけど」
そういわれ嘘泣きをするような仕草をしてこちらを見てくる。この顔面を殴れたらどれだけ幸せだろうなんて考えた後、黙っていたら何か言われるんだろうなって考えすぐに喋る。
「お前みたいな野郎と同感なのがしゃくに触るけど同感。で? 早くその『お洋服のお依頼』とやら言ってくれない」
わざと「お洋服のお依頼」を強調して言うと舌打ちをしながら「これ」と言って紙の束を渡してくる。服の詳細とか値段設定の書かれた神にざっと目を通しできない仕事ではないと思た後、値段設定に対して疑問を抱く。
「服は別に難しい訳じゃないのに前金で10万オイトって正気? どんな厄介な依頼よ。理由が説明しないとこの依頼は受けない」
そう聞くと少し間があいた後忌々しいとでも言いたげな声で話してくる。
「……めざとく見つけなくていいのに」
「ごめんなさいね。お前と違って目はいいほうなの」
「サロネイティ」
おちょくる様に言った後に相手が発した言葉に思わず何言ってんだと首を傾げる。サロネイティ。有名な食堂だ。
「名前くらいはしってるだろ」
「当たり前でしょ。でも、それとこの訳分かんない前金は何の関係があるのよ。別にサロネイティは服が必要じゃないでしょ」
「……その服を制服にしたいんだとよ」
「は?」
そう言われて依頼の紙に書かれた服を見る。何種類か服の案がありどれもある程度動きやすく装飾の少ない、でも安っぽいとは思われないし、清潔感がある。
これなら制服でも大丈夫だろうとあの店の金持ちから貧乏人までなんて馬鹿馬鹿しい言葉を思い出して思う。
「で、俺はサロネイティのパトロンだろ。だからお前に仕事でもと思ってさ」
「いや、分かるけど前金の説明がない」
そういうと面倒くさそうに話してくる。
「この仕事が終わったらお前の正式なパトロンになろうと思った。だから、その値段設定」
パトロン。そういわれた瞬間背筋が凍った。
「……お前にパトロンになられるくらいならあの馬鹿みたいな酒場で一生過ごしたほうがまし。前金無しで、お前がパトロンにならないならこの仕事受ける。納期も数もできない訳じゃなし」
「あっそ。……でも考えてみろ。俺がパトロンになったらお前の名前を売るチャンスでもあるし、色々と利点は多い。一応、置いていくから7日後に聞きにくるまで考えてろ」
「は? いや、受けないってば」
そういってる途中に相手はさっさと扉の前からどいてさっさと大通りのほうに行っていた。あいつがパトロンの未来を考えるとどう頑張ってもすぐにのたれ死ぬ運命しか思い浮かばず受けてやるもんかと紙を部屋に投げ捨てる。
すると寝室から終わったとでも言う様にこちらに顔をのぞかせるクゥと目が合って「もう、喋っていいよ」と言って微笑む。
そういえばこの会話聞かれてた何て思って恥ずかしくなったし、自然に微笑みが浮かぶ何て不思議だななんて考えた後、あいつと喋っただけで何か色々と削り取られた気がして実は自然で多笑顔とかじゃなくて疲れてる顔を隠したかったとかなんじゃないと自分で思う。それはそれで少し不思議だななんて思った後クゥが私が投げ捨てた紙を見て顔を輝かせてるのを見て「それ、どう思う?」となんとなくだが聞く。
「え? うーん。なんかかっこいい! あと、動きやすそう」
そういわれて襟のついた服と女がスカートで男がズボンをはくやつをさす。一番基本みたいな服で個人的には一番縫いやすそうだななんて考える。
「そう。じゃあ、今のワンピース縫ったらこれ着てみる?」
「え、着たい! 着たい!」
そういって嬉しそうにするクゥに「じゃあ布買いにいきたいし、ご飯の調味料とかも気になるからまた、市に行く?」と聞くと大きくうなずいた。
昼はある程度人は多いが朝よりは、少なかったはずだなんて考え別に問題ないだろうと二人で靴を履いてかごとお金を持って扉を開けた。
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