待てど暮らせど地下の国
何故かは分からないが唐突にいつもと違うと思い目が覚めた。寝起きのよくわかんないが、怠い感じがいつも以上に酷かった。
だけど、起きなければとなぞの使命感で上半身だけ起こし頭をかきむしったり、何度か瞬きを繰り返したりしてどうにか目を覚まそうとした。
何でこんなに怠いんだなんて疑問に思いつつ別に何かあった訳では無いが何となく左を見た。そして、それがいた。私が適当に縫った服を着た少女。その少女を見た瞬間昨日のことを思い出しどうしようかなんて今になって思った。
だが、考えた所で意味がないのは何となく分かっているので、朝市はもう始まっているだろうか何て別のことを考えて、ベットと言うなの何かから降りた。
服が昨日のままでどれだけ面倒くさかったんだろうなんて昨日の自分に呆れつつ、適当に濡らした麻の布で体を拭いて新しい服に着替えた。
朝市に行きたいが少女を置いていったほうがいいのか付いてきてもらったほうがいいのか悩むが、朝市へ行ってる間に起きられても困るなと思い寝室に向かった。
少女はまだ寝ており、こんな時間でも起きないのはお嬢様だからなのだろうか何て考えて、今日もまた馬鹿なこと考えてるななんて思い出したかの様に心の中で呟いた。長い髪が寝息にあわせてさらさらと動いてる様はとても綺麗で、それに少し見ほれている気もしてとたんに恥ずかしくなりそのの考えを追い払う様に少女の体を揺すった。
なかなか起きない、何て事はなく「んー」何て抗議をしているかのような声を上げながら少女は上半身を起こした。
だが、そこから目を閉じたままで水でもぶっかけたりしたらいいのだろうかなんて考えながら「起きて」と声をかけた。そんなことをやっても起きる気配は全くなく、この少女をこしてる合間に朝市が終わるんじゃないだろうか何て考えてため息をついた。
「朝市に行きたいから起きてくれない?」
そういうと少しかすれた声で「朝……い……ち?」と聞いてきたので「朝市。ご飯食べたいの」と言うと 少し間を置いいていきなり自分の頬を叩いた。いきなり何やってんだろうなんて思う暇もなく、真っ赤になった頬のまま目を開けてこっちを見て「おはよう」とにっこりと言う表現が似合いそうな顔で言った。
「……おはよう」
そう返すとわずかながら笑顔が深まった気がした。少女が規定た服は機能渡した物だし別にいいかと思い、下着だけ渡して言ったん寝室から出た。
かごをもち、その中に金の入った袋も入れ、予備の麻袋も入れて少女が来るのを玄関前で待った。待ったなんて言ってもブーツを履いて少しもしない内にきたので待つという言葉ほど待つなんて事はなく、すぐに家を出た。
外はちらほらとだが人はいて、いつもの時間だななんて一人安心して歩き出した。すると鞄を持ってないて、右の手が急に温かくなってなんだと思い見ると少女がいた。手元を見ると手を握られていた。はぐれたら面倒なことになりそうだしと握り返すと驚いた様にこちらを少女が見た。
目が合って、少し恥ずかしくなって早足になりそうなのを押さえて、いつもよりゆっくり歩いた。
あれなに、これなにと目が語っていて、もう少し朝市にくるのが遅かったら人が多いからすぐ迷子になって、見失っちゃいそうで恐ろしいななんて思いながら、今日は何を食べようかなんて考えた。
すると、いきなり右っ側がぐんっと引っ張られる感覚がきて少し後ろによろける。
何だと思いこうなった原因だろう少女を見ると、少女が手を思いっきり引っ張って「野菜売ってるとこ通り過ぎたよ?」と言ってきた。
「あぁ、通り過ぎたかな?」そういうと少し眉を寄せながら「……ご飯食べるんだよね?」と聞いてきて、そういったじゃないかと思う。
「だから屋台に行こうと」
「……作らないの?」
作る。その単語が自分の借家にある飾りみたいな台所を思い出した。小腹を満たすためにパンやチーズとか長持ちする物と何かあった時のための蜂蜜、店からくすねてきた安もんの酒がある位で、レモンをつけた飲み水もあった何て思いながら「料理なんて作れないもの」といってさぁ行こうと促そうと思ったら「じゃあ私が作る」なんて言い始めた。
料理も上手だし。
昨日聞いた言葉だなんて思いながら、あの指を思い出す。細くて、皮むきもできなさそうな、白くて、強く握ったら折れちゃいそうな。あの指は料理をしてるなんて言葉とはほど遠い感じがしたが、目の前の少女は酷く真剣なまなざしでこちらを見てくる。
「……じゃあ作って」
また、口からまた突拍しもない言葉が出たななんて一人思いながら、だけど嘘はよくないなんて言い聞かせて顔を輝かせる少女を連れて野菜売りの所へ向かった。
野菜なんて普段自分から見に行くなんて事はしないので色んなのがあって少し不思議な光景に見えた。果物なら見るけどな何て考えた後いつの間にか手を離して野菜を見て回ってる少女を見てふとそういえば名前聞いてないななんて思った。
思ったが、昔聞いた名前を付けると情が移るという言葉を思い出し、いまでもだいぶ情が移ってる気がしてまだ二日目なんだよななんて自分のちょろさに一人心の中で文句を言っていた。
そんなことをしている間に決まったのか私の手を引っ張り野菜売りに近づかせ「678オイトだって」と言われた。
「……全部あわせて?」
「おじちゃんそうだよね?」
思わず聞き返すと少女が野菜売りに確認をとる。すると野菜売りは「そうだとも」何て同意してきた。予想以上に安く拍子抜けしたがどのくらい野菜を選んだかも知らないのに安いとは言えないな何て思いながら野菜売りに1078オイト渡した。
「野菜詰めておいて」と少女には言っておいて麻袋を渡し、野菜売りがおつりを用意するのを待った。
少女が詰めた野菜を見ると三日ほどは持ちそうな物を詰めていくのを見てこれで678オイトなのかと思わずその安さは色んな意味で野菜売りが大丈夫なのだろうかと眉を寄せる。そんなことをしてる間に野菜売りはおつりが用意できたみたいで422オイトをこちらに渡してきた。
「ありがとう」
そう言うと野菜売りは「いやいや」なんて言って「こーな朝はよーけくるかたーなんってめったおりませんもの。また、ごひいきにね」なんて鉛が入った言葉でこちらにいってきた。
「野菜は朝早くに売れないの?」
思わず気になり聞き返すと「まーそーですな」なんて言ってきて理由が分からずにいると訳を話してきた。
「市なーて朝はよーけにこーでもやってますもの。それに野菜なーてうちで売ってるのは日持ちしやすいやーばっかりですし、あさはよーはもっと朝はよー出ないとすぐ売り切れーのとか朝はよー出ないとダメになーものを買いにいきますも。この野菜は割とどこでも売ってーのがおーですし、あーま朝はよーは客無ーですよ」
訛で聞き取りづらいが少女が買った物やこの野菜売りが売ってる所は別に朝早くじゃなくてもいい物ばかりらしい。なので朝早くは客が少ない。野菜に足が速い物があるのは知っていたがとってすぐじゃないとダメになる物なんて私なら絶対ダメにするななんて主って野菜を詰め終わった麻袋を持ち何も入ってないと言っても過言ではないかごを少女に渡した。
「じゃあ」
「はーまたよしなに」
そういってきた道をまた手をつないでゆっくりと帰った。こんなに早く帰ったのもたくさん人と喋ったのも久しぶりだななんて思いながらこの少女は何を作るのかと考えて麻袋の中をちらりと見た。
見えるのは茶色い丸い物が多くてほかにも何かあるがここからだと見えづらかった。野菜を見ても料理がすぐに思い浮かぶなんて事はないので不思議だな何て思ってからこの生活がこれから当たり前になるのかと思って言ったんその考えを打ち消した。
希望すると失望する。
何となくその言葉が頭に響いて嫌な思い出が思い起こされる。そんなことしてる間に家に付いて私が馬鹿なこと考えてるなんて知らないだろう少女に家の扉を開けてもらう様に頼み開けてもらった。
ブーツを雑に脱いで台所に適当に荷物を置いた。
「あそこに火石と針がある。包丁はそこ。ま、ないたは……あった。これつかって。あと鍋とかは見ての通り。水はその扉開けて外でたら井戸がある。そっちの桶なら持てるだろうからその桶持っていって」
一気に台所説明をして「できたら呼んで」といって趣味部屋なんて勝手に呼んでる部屋の扉を開ける。
最近時間がなくて、使わなかったななんて思いながら物であふれ帰っている部屋に少し安心というより、落ち着く感じがあった。色んな色があるこの部屋は好きだ。空き瓶が光で反射されてキラキラしてて布も光で透けてて、机の上にある作りかけの服を見て作るか何て思って椅子に座る。
服を見ると肩で調整ができる様になってるスカートだった。ワンピースというのも変だがなんと言うべきなのか分からない。だけどそれは別に重要じゃないのだ。そう思いこれを少女のにしよう何て思って縫い始めた。
服を縫っている時は好きだ。ただ縫うことだけ考えていればいいから。ただちくちくと針を上下させて縫っていく。糸が絡まない様にしながら、見えない所は少し雑にして、ただ針を、手を動かすのだ。
そんな風にしてずっと手を動かしてると「おーい」と聞こえてもうか何て思いながら針をおき、途中の服も置き部屋を少女が着たりしないうちにすぐに出た。
すると、いつも使うことなんてなかったテーブルに何種類かの料理が置かれてて少し驚く。見た目はとても美味しそうであの手で作ったのかと思い思わず少女のほうを見た。
するとにっこり笑顔になって「食べようよ」と言った。
それもそうだななんて思いながら朝には少し多めのご飯を見て椅子に座った。少女もそれに続いて向かいの椅子に座って食前の言葉を述べた。
食前の言葉なんて言うのか何て思いつつ自分は言わずにそのまま食べ始めた。渡しをちらりと見てそのまま視線を戻し食前の言葉を述べる少女に教養しないのは好感が持てるななんて思いながらサラダみたいな物に口をつけた。その後はスープに口を付けたり、パンにかじりついたり、全部少しづつ食べていった。
久々にまともに野菜とったななんて思いながら、普通に食べていった。食前の言葉と言い終わった少女が食べ始めてわたしのほうをちらちらとみてくる。
どうしたのだろうかなんて思いながらそういえば水がないなと思い席を立ってコップと水をとりに台所に行った。台所でいつも使ってる木のコップと個人的に何で買ったのか分からないガラスのコップとレモンがあ入った水を持って席に戻りガラスのコップに水を入れ少女の近くに置いた。
自分のほうにも水を入れ、一口飲んでまた食事を続けた。
何となく少女の視線を考えて思ったことを口にする、明るいあの店長ならこんな時どんな感じだろうなんて思い返す。
ご飯を振る舞って、それでこちらに「美味しいか」何て聞いてくるんだ。それでうなずいたり、「おいしい」っていったら「そっか」なんて笑うんだ。
「……おいしい」
違うかったら違うでいいか何て考えて、口に出す。他人に振る舞われたご飯はよくわからないがおいしく感じる物で、別に不味いとは感じなかった。むしろ、家に調味料が何かあったか確かじゃない中でよく作れたと言いたくなりながら何となく、言ったのだ。
すると、目を見開いて驚いた様にこちらを見てきてまた、笑顔になった。それは嬉しいって笑顔より安心したって感じのふにゃりとした感じの笑顔で「……よかった」なんていってニコニコこちらを見てきた。
それが、少し恥ずかしくなって思わず残ってるのをかき込む様に食べてごまかした。そして、それまたニコニコこちらを見てきてるのが恥ずかしくなってなにか話題はないだろうかと思い考えを巡らせる。
「そういえば、この料理って食べたことないんだけどどこの?」
あまり食べたことのない食材も使ってるしどこのだろうかと少し聞いてみると少し気まずそうな顔をした後思いついたとでも言うような顔に成り「ごほん」なんて咳払いにも名手ない咳払いをした。
「そこは、待てど暮せど地下の国」
「やっぱなんでもない」
そういうと少し不服そうな顔をしつつまた安心したような顔に成った。こういうことを聞くのは得策ではないだろう。もっと別の話題をと考えを巡らせる。
「昨日、家くるなんて言ったけどさすがに何日も子供一人養うのは難しいから」
「……それは、分かってる」
そういいつつも少し顔を曇らせた姿に、食事の話でする話じゃないななんて思ってなぜかその顔をこれ以上見てたくなくて「でも」何て話し始めた。
「今までのはその、料理を屋台で食べる生活だったから少しお金がかかってたの。これからあんたが食費節約したり、洗濯とか家のことやってくれるなら何とかなると思う」
また、馬鹿なことを言ったな。そう思って自分に馬鹿と文句を心の中で言っているが、少女はそういっていくうちにさっきの曇らせた顔は一変し心から喜んでるんだなと分かる笑顔になり思わず笑みがこぼれた。
「それでなら、一緒にどう?」
そういって、聞くと笑顔のままで大きく「うん!」といった。
「じゃあ、これからよろしくね。えっと」
そこまでやって名前言ってないし、聞いてないことを思い出す。
「私はヒヒノ」
「あたしは……えっと、クゥ! そう、クゥって言う!」
本当に? 何て野暮な質問はせずに頭の中でクゥと繰り返す。
「クゥ」
「ヒヒノ」
互いに名前を確認し合う様に呼び合い二人で少し笑った。
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