小説が好き
一口に小説が好きと言っても色々とありますよね。
まずは何と言っても、「小説を読む事が好き」
殆どの方々はそこから入るのではないでしょうか?
様々なジャンルの小説からどれを選ぶのかは好みにも依りますが、冒険活劇、ラブロマンス、悲恋、ファンタジー、空想SF、推理……と言った現実非現実を始めとして、ヒューマンドラマ、ノンフィクション、エッセイ……と、事実を反映した作品まで様々です。
ですがそのどれもが、小説を好んで読んでいる方々にはたまらなく好きで楽しい! と言う共通を持っているのではないでしょうか?
そして先程も述べた通り、殆どの方はまず読むところから始めるでしょう。
ハードカバーだろうと文庫だろうが、小学生だろうと老人であっても、そこから入らなければ自分が「小説が好き」と気付く事は出来ないのですから。
ネット上に上げ連ねられた様々な呟きでさえ、活字を使用した一つの物語です。
「俺、本は読まないから」
なんておっしゃっている方も、そう言った物を目にしているならばやはり「小説」の入り口に立っていると言えるのではないでしょうか?
さて、好きが高じて……とは言いませんが、読み連ねて行けばやはり自分でも書いてみたくなると言うのが人の性ですよね?
そこで次の段階へと差し掛かるのが、
「小説を書くことが好き」
となる訳です。別段驚くべき事でも無いですね。
今は本当に良い時代です。何故なら誰もが「小説を書く」と言う事に抵抗なく取り組めるのですから。
一昔前ならば、小説を始めようとすれば、それはもう幾つもの難関を有していました。
膨大な枚数の原稿用紙に、多くの鉛筆やペン。若しくは秘密の大学ノートをこっそりと机の引き出しに隠し持ち、誰に知られる事無く創作活動をしなければなりませんでした。
……ああ、別段周囲の人達から理解を得ていれば、隠す必要もありませんけどね。
ですが大抵は、やはり趣味としても少し気恥ずかしく、
「ええ? 小説書いてるって? 見せて見せて!」
なんて言われた日には、断るだけで大変な労力を要します。
挙句の果てには、
「なんだよ、ケチ」
なんて、ケチ扱いされてしまう始末。本人としては恥ずかしい限りであり、見て貰う事に多大な決心が必要となるんですけどね。それにもしその場で
「くっそつまんねぇ」
なんて言われでもしたら、恐らく立ち直れないばかりか友人を一人失うレベルなのは間違いありません。また、そこから言いふらされでもしようものなら、登校拒否できるレベルです。主に顔から吹く火を抑えられなくてですけどね。
話が脱線しましたが、兎に角一昔前は何故か「小説を書く」と言う事は、趣味としてはコッソリと行われる分野だったのだと考えられます。
ですが今は違いますね。
多くの紙やペンは必要としません。ペンダコに悩まされる事も無いですし、保管に悩む必要もありません。
パソコンやスマホ、ガラケーであっても創作活動は可能です。
出来上がった作品はそこに保存しておけば、意図的に覗かれでもしない限り他者に見られる事もありません。
自分の作品を、世界を、誰に気兼ねする事も無く書き続ける事が出来る。こんな素晴らしい世の中はありません。
それに特別な時間も必要としません。
原稿用紙やノートに書く為には、それに向かい合う時間が必要であり、それは専ら夜に行われたりしました。
そうすれば執筆に没頭するあまり、気付けば朝だった……仕事どうしよう……。なんて事態に陥る事も少なくない訳です。
ですが今は先程も申しました通り、スマホやガラケーで執筆出来るのです。
通勤通学時、休み時間、下校や帰宅時、寛ぎのちょっとした時間……。
気が向いた時に気が向いただけ、自由に執筆する事が可能なのです。これほどに素晴らしい事などあるでしょうか?
そして創作が進み、作品が出来上がって来れば次に求めるのはやはり
「作品を見て欲しい!」
と言う思いでしょう。
「自分の作品は面白いのか? いや、自分では面白いと思うんだけど、他人の目から見たらどうだろう?」
そう思わない作者など居ないでしょう。つまり、
「作品を見て貰うのが好き」
に行き着く訳です。
そしてこれまた、一昔前にその役目を果たしてくれるのは友人知人だけでした。
理解ある友人知人、もしくは同じ文字を書く事が趣味だとしている者同士が寄り合って、互いの作品を発表し合い意見を交換する。これしか手段はありませんでした。
ですが今はどうでしょう?
このサイトも勿論、数多ある小説投稿サイトにUPすれば、誰かが自分の作品を見てくれるのです。
更にそこから、小説家として出版社に認められ、メジャーデビューを果たす事も可能なのです。わざわざ一大決心をして作品を応募したり、ましてや出版社まで出向いて行って作品を持ち込み、担当者から面と向かってぼろくそに言われると言う事も無いのです。本当になんて素晴らしいんでしょう!
古来より「好きこそ物の上手なれ」と言う諺もあります。
好きであり続けられるならば、読む事も書くことも、きっと上達する事間違いないのです。
そして上達すれば、また「小説」が好きになる。
それらを教えてくれるのは書いている文字であり、そして読者の皆様だと言う事なのです。
ですが一番「小説」に措いて「好き」で居続けて頂きたい事。それは……、
「作品を好きになって下さい」
と言う事です。
読んでいる自分が好き、書いている自分が好き、評価された自分が好きと言うのも間違いではありません。
ですがそこには間違いなく「作品」が存在しているのです。
作者は自分の作品を好きでいてください。
読者は読んだ作品を好きでいてください。
もしかすれば作品の執筆途中でスランプに陥るかもしれません。
書いている作品がどうにも納得のいかない物となってしまうかもしれません。
それらは作者にとって誰にでも付いて回る事です。
読んでいる作品を楽しむ事が出来ていますか?
どうにも自分の思う処と違う箇所ばかり探していませんか?
目が肥えて来るとはそう言った事なのかもしれません。
ですが待ってください。
純粋に「楽しむ」「好きでいる」と言う事が抜け落ちてはいないでしょうか?
「小説が好き」だと言っても色々あります。なので何が正しいと言う事は一概に言えはしないでしょう。
自身の楽しみ方はそれぞれですので仕方ありませんが、まずは「作品」を好きで居続ける事を忘れないでください。
何故ならその作品は作者様、あなたの造り出したあなたの分身であり。
何故ならその作品は読者様、あなたが選び貴重な時間を割いて読み連ねている物なのですから。
ポジティブに行こう! 綾部 響 @Kyousan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ポジティブに行こう!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます