第2話

『好き』って気持ちを始めて知りました。

でも、伝えたくても伝えられないこの思いはなんだか厄介です。


【桜side】

私は経った今、一目惚れした。名前もわからない人に。

「茉莉(まり)、どうしよう」

私は親友の茉莉に全部話した。注連沢(しめざわ)君らしき人に告白されたこともその付き添いの人に一目惚れしたことも。すると、

「注連沢君の付き添いかぁ。もしかしたら、風夜君のことかな?」

「風夜君?」

「うん。風夜秦(ふうやしん)君って言って注連沢君の親友なの。風夜君もイケメンだからよくモテるから普通誰でも知ってる」

風夜秦君…

私はそう心の中で呟いた。

いい響きだなぁ。

確かに風夜君?の整った綺麗な顔だったらモテるだろうな。

「あっ桜。誰か呼んでるよ。知り合い?」

私は茉莉に言われて教室のドアの方を見た。

すると、ギャルっぽいちょっと派手な子達が私のことを呼んでいた。

私は茉莉に対して首を降る。あの子達とは廊下で何回かすれ違ったことがあるだけでクラスも名前も知らない。

「ちょっと行って来る」

私は茉莉にそう言うと席を立って教室のドアの方へ向かった。

「あの…、私に何か用ですか?」

「いいからちょっと来て」

私はギャルっぽいちょっと派手な子達5人に校舎裏に連れて来られた。嫌な予感しかしない。

「あんたさ、注連沢君の告白を断ったんだって?」

やっぱり。そんなの私の勝手なのに。

「はい…」

「あんた何様のつもり?注連沢君がせっかく告ったてゆーのに、断るとかマジサイテー。注連沢君に謝れ」

そっちこそ何様なんだろう。5人対1人なんて不利だし、私は注連沢君のことは好きじゃなかった。ただ、それだけなのに…。

「そこで何してんの?」

声のする方を見ると風夜君が立っていた。

「あれ〜?風夜君じゃ〜ん。どうしたの〜?」

5人のリーダーっぽい人が声のトーンを上げてそう言った。この人は人によって態度や声を変える人だ。

「だから、そこで何してんの?」

「何って桜ちゃんと楽しーくおしゃべりしてただけだよ〜」

「俺にはそう見えないな。おしゃべりするなら教室ですればいいわけなのに、こんな暗い校舎裏でおしゃべりとは、教室では話せない、いいや、できないことをしようとしてたんじゃないの?」

風夜君は淡々とそう言った。

『かっこいい』。そう思ってしまった。

「そんなわけないじゃ〜ん。もう、風夜君は冗談がお上手なことで」

「俺、そんなことはどうでもいいんだ。俺さ、木花さんに話があるんだけど、いい?」

「え?なんでこんな」

「木花さん来て」

風夜君はそう言って私の手を引いた。

風夜君は男の子だなと感心してしまう力で私の手を引くけど、その力には優しさもこもってるような気がして私の心臓は壊れてしまいそうだった。

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初恋の花びら 逢坂すずね @suzune-412

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