カウベリーの独白(Cowberry's Monologue)
誰なの。
あなたは私の心を的確についてくる。私の心を完全に読んでいる。
私は、あるハンドルネームに悩まされていた。
それは、あの人とは違って中傷でも
そのとき、部屋をノックする音。私は恐怖のあまり瞬時に身を
ところが、不思議なことに私はそれに
その女は、それまでに見ていた彼女の表情とはあまりに違っていた。ひどく
女は何かを呟くように問いかけてきた。既に錯乱しかけていた私は、発言内容が聞き取れず、思わず「はい」と言ってしまった。
返事をするや否や、女はいきなり私に口づけてきた。私は目を疑うしかなかった。あなたは一体何をしているの。問いかけようにも口を塞がれてどうすることもできなかった。細く
女の鼻孔から漏れる呼気は、
女は、慣れた手つきで私の着衣を乱し始めた。季節は仲秋で肌寒い高地とはいえ、室内はほどほどに暖かく、私を含めメンバーたちは皆薄着である。
私の理性はどこかに追いやられてしまっていた。鋭敏に刺激された身体は、抗うことの一切を許さなかった。
そして、一糸
彼女の胸部に、重力に従って垂れ下がってたわわに実る果実のような脂肪組織は、ベリー類には到底似つかわしくない。
ベリー類。
そうだ、ここはベリー類で象られた連続殺人事件なのだ。彼女も私もベリー類のハンドルネームを持つ。しかしこの女は何ベリーなのかは分からないのだ。
こんなことをしていてはいけない。私は不意にそう思った。急激に理性が甦り私の身体を奮い立たせる。悦楽は罪悪へとすり替わり、彼女の身体を払いのけた。
「や、やめて!」
私は渾身の力で、しかしながらどこかで他にこの声が漏れないくらいのブレーキをかけながら訴えた。あくまで彼女の動きに警戒しながら、汗に塗れた身体に衣服を纏わせた。
女はどこか不満げでこちらを
一体何だったのか。私は空虚感と心理的抵抗感とに
◆◆◆◆◆◆◆◆
カウベリー(Cowberry)
日本名はコケモモ。コケモモの別の亜種として、リンゴンベリーがある。ツツジ科スノキ属。クランベリーと味は似ていて実がクランベリーより小さい。酸味が強いので肉料理の付け合わせなどに使う。またジャムやシロップに利用される他に、ジュースやシャーベットにも良い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます