違和感

 さて、話をAちゃんとの日々に戻します。

 

 Aちゃんと私が遊ぶ時、大抵は私の家で遊んでいました。

 理由は、私自身、人様の家にお邪魔するのがとても億劫だったのと、Aちゃんに私の書いた小説を読んでもらう為でした。

 私の家は、Aちゃんの家から少し離れた所にあるので、毎回遊びに来てくれていたAちゃんには本当に感謝しかありません。


 頻繁に家に来ていると、やがてAちゃんは、私の母ともよく話すようになりました。

 母は、Aちゃんの礼儀正しく、大人しい性格をとても気に入り、いつも丁寧にもてなしていました。

 しかし、母がAちゃんの事を知れば知るほど、私はとても苦しい思いをする事になりました。

 

 母は、徐々に私とAちゃんを比べたり、私とAちゃんとの関係について、嫌な気持ちになるような事を言うようになりました。

 「Aちゃんは、とても女の子らしいのに、アンタはどうして男っぽいの?もっと女の子らしくしなさい!」、「Aちゃんは習い事で忙しいのに文句ひとつ言わない。見習いなさい!」、「Aちゃんみたいな子が、アンタと親友なわけがない。無理して付き合ってくれてるんだ。」等々、挙げだしたらキリがありません。

 実際、Aちゃんはとても女の子らしい子でしたが、サバサバした男の子っぽい面もあったし、習い事が忙しくて辛いと言っていた事もありました。

 私との関係は、「親友だよ」と言ってくれていたし、二人だけの秘密も沢山あったし、仕方なく付き合ってくれている感じはありませんでした。(現に、Aちゃんとは今でも連絡を取り合っている仲です。)


 その後、母のAちゃんへの関心は更にエスカレートしました。

 母は外食嫌いだったのですが、Aちゃんが来た時は「どこかに食べに行こう!」と言って、外食に行ったり、Aちゃんが欲しいと言ってるものを買ってあげたり、おもてなしにしては行き過ぎなのでは?というレベルまで執着していました。

 当時幼かったAちゃんは、そのおもてなしをとても嬉しく思っていたのか、「私ちゃんの家に来れば、すごく良くしてもらえる!」と笑っていました。

 初めは、嬉しそうにしているAちゃんを見て、私も嬉しかったのですが、Aちゃんへのおもてなしが過激になるほど、母の言動もエスカレートしていったので、私はAちゃんと仲良くすることに関して、徐々に嫌な気持ちになっていきました。

 Aちゃんも、悪気は無いにせよ(恐らく母の私への暴言は、冗談だと思っていたと思うので)、母の私を貶める言動に同意したりしていた事もあり、その後クラス替えで違うクラスになった事をきっかけに、Aちゃんとは前ほど遊ばなくなってしまいました。

 Aちゃんとはその後、また仲良くなるきっかけがあり、前述したような現在に至ります。一時期、私の勝手な思いで冷たくしてしまったAちゃんには本当に申し訳ないことをしたなと反省しています。



 当時、母は事あるごとに私とAちゃんを比べて、貶めたがりました。何故、そんな扱いをされていたのか、今でもわかりません。

 恐らく、母の中の「理想の娘像」がAちゃんであり、「Aちゃんのような子になって欲しい」と思って言ったのだと思います。

 しかし、私はAちゃんではありません。私は私です。

 自分の子どもの個性も認められないような親にはなりたくない……と、この頃の母を思い出しては、反面教師にしています。

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まろやかな毒 りなち @rinach_0x0

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