まず表題に惹かれます。そしてその表題を裏切ることのない話の出だしに惹かれます。そして読み進める内に、今度はその練り込まれた世界観に引き込まれて行きます。『あれ? コメディじゃないの?』『あれ? 私は何時からこんな本格的な物語を読んでいたの?』ふと、立ち返った時に思うことでしょう。しかしその時はすでに、物語の魅力に取り憑かれていて引返すことが出来なくなっている筈です。現在と過去を織り交ぜて進む手法も物語の深みを大きく増しています。読み応えのある傑作です。是非皆様も読んで下さい!
主人公以外の全員が異世界に召喚させられてしまった世界。そこから例えば孤独な冒険譚が語られるのかと思えばそうではなく、主人公の前世の記憶が物語のメインとなります。その綿密な設計図のような世界観に読者は舌を巻くことでしょう。そして次第に解き明かされる「転生」の真実。仮想世界好きとしてはこれから先も楽しみです。