近衛 鳥鳴 著「嗤う」
其の男は確かに
その眼は
其の男は腹を抱へて嗤うていた
闇闇しか持たなひ夜の手の中で
息をする事を
悲鳴のやうな音色で
月に向かひてそれなりに狂うて居た。
其の男は確かに
その眼は
<嗤う>
----------------------------------
■引用詳細
近衛 鳥鳴著「とうめい色の心臓」より抜粋。
二〇〇五年八月十八日 - 出版。
■近衛 鳥鳴(このえ ちょうめい)
大正期の詩人作家。本名「萩生 繁(はぎわら しげる)」
その時代にはまだ新しかった口語体によって書かれた自由詩を得意とした。
学生時代には江戸時代の文献に精通しており地方に伝わる文献の研究していた。その後、
詩集を集成本合わせて4冊、長編小説『鏡猫』を発表(木嶋賞を受賞)
人形浄瑠璃や歌舞伎を好み"曽根崎心中"をモティーフとした作品『連理の枝』や趣味であったピアノ作曲『名残の露』を発表している。(本楽曲はお初と徳兵衛が死を覚悟し露天神の森へ行き、命を絶つ所までを情熱的に表現。)
肺炎で死去。享年46歳。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます