佐藤 慧吾 著「EVERGREEN~エバーグリーン」

 一直線に伸びるこの想いのような銃弾は、まっすぐに貴方の心を貫いた。

着弾から少し遅れて開花する赤、そして衝撃についと押され可愛らしい曲線を描き自由落下する貴方の肢体。

 その様子があまりにも美しくて、叫び声も上がらなかった。

 きっとあなたは、この瞬間を僕に見せたかったのだと思う、

 そして僕は、この光景に涙を流すために、あなたを愛したのだ。

 乾いた落下音を聞いた時、僕は再び引き金を引いた。



 子供の頃からずっと思っていたこと、学校に行って、そばかすの素敵な女の子に恋をして、父親を交通事故で亡くし、オートミールを嫌いになる。そんな僕に起こるすべての出来事はミニチュアのドールハウスで遊ばれる人形ように、誰かが仕組んで操られているだけなのではないか、そう思っていた。そうでなければこんなにも嫌な思いをしながら生きる事に、納得が出来なかった。

 旧訳聖書もダーウィンの進化論も僕が泣きながら生きなければならないのかの答えは書いていない。

 なぜ、僕が生まれたのだろう。なぜ両親二人は出会ったのだろう、こんな事を毎日身体を折り曲げて床に問いかけるなんて、偶然が折り重なった上で生まれた奇跡にしては、あまりにも理不尽な脚本だと思っていた。

 僕の母がユダヤ人だった事、父を轢き殺したドライバーは代議士だった事、僕のビリジアンカラーの左目の視力が生まれつきほぼない事、一つ一つの不幸はわずかな接合面で複雑なバランスを作り上げ、サクラダ・ファミリアのような荘厳で絶対的な姿で僕の中に居座っていた。僕にとって生きることは苦難以外の何でもなかった。だからマーフィーの法則なんてものが年若い僕にとっては、不条理で耐え難い、しかし解決方法が見つからないこの世界へのアイロニーなジョークとしてやけに気に入った覚えがある。


「人間が固体としては1種類しか持たないにもかかわらず、この世界から差別や貧困が無くならないのは何故だと思う?価値観や文化性などは変えられる、事実社会主義国家と言われた中国や宗教国だったインドは背景も規模も違えど最終的には日本やアメリカと同じ許容範囲の常識を共有する先進国になった。」

 対峙する男は銃口を向けられていても尚、恐怖も怒りも狂気も見せず壇上の教授のようにただ言葉を並べた。

「それがアカシックレコードの所為だと、言うのか。」

「古代ギリシャの学問の発展、ナチス・ドイツのホロコースト、敗戦国日本の急激な経済成長、歴史の端々にはそれまでの成長曲線を歪ませる不穏なグラフの振幅があった。なぜか、と疑問を持てないのは現代教育の癌だな。」

「ギリシャの発展は社会背景、ナチはヒトラーのレトリック、日本は民主主義と資本主義の落とし所を見つけたからだ。そんなでたらめを使わず、すべて説明出来る。」

「じゃあ、君に起こった事もすべて、説明できると言うのか。サイラス。」

 その言葉に僕はぞっとした。温度変化を読み取った男はあくまでも冷静に、しかし効果的にじっくりと視線を持ち上げ、僕を観察するように息を漏らした。


 遠くで民衆の歓声と高らかな拍手が聞こえる。すぐ上の会場では全国民が見守る中この国の新しい大統領を迎えるべく就任演説のスピーチが行われている。今は支援者たちのスピーチ最中だろ、時折黄色い悲鳴も聞こえてくる。反響しくぐもった人々の声。輪郭を曖昧にした幾多の声は言葉としてはもう聞き取れず、新しく生まれ変わるこの国への希望と妄想で沸き立つただの振動だった。

「君の母親が本国国籍を持っていなかった事、それが父の交通事故をきっかけに暴かれてしまった事、唯一の証言者である君の証言が法的効力を持てなかった事、全ては今の瞬間に必要な通過点として通らざるを得なかったとしたら。」

 僕の生まれた理由は、その奇跡の重なりが導く結末は、

「君はアカシックレコードのラストピースを読む為に、アカシックレコードによって作られた人間だからだ。」


 男は待ち望んでいたかのように厳かにデバイス端末に触れた。瞬間空間に広がる神聖文字ヒエログリフが作り出す幻想的な立体投射のアート。

「メンフィス王朝時代のアメンホテプ4世がアテン神より信託を受け書かせたと言われる最初の碑文ロゼッタストーンが源流だ。これには人を作る為の譜面スコアが書かれている。」

 男が宙に映る文字に触れると、象形文字の記号を映し出す光の筋が解け抽象記号のギリシャ文字に切り替わりアルファベットの羅列になった。

「アカシックレコードの構想は古代ギリシャに渡り、フォアゾ・ソクラティカ達によって肉付けされ、ピタゴラスにより実用実験が行われた。実験の結果、彼等はソクラテスという天才を生み出す事に成功した。しかし彼らはアカシックレコードに飲み込まれ原始的な戦争英雄を作る事で衰退して行く、そして歴史の裏で秘密裏に続いた実験はついにドイツでヒトラーという革命を生み出す。しかしこれも孤高の賢人を作る事に注力し過ぎ、結果崩壊。そしてこれに学んだ米国が今度は敗戦国日本にゆっくりと時間をかけ、一般人レベルへ遺伝子情報が浸透するよう政党を作り、日本国の核コアへと根付き、現代におけるひとつの完成系を作り上げた。そのモデルケースで中国やインドも発展、中国の国力を以てしてベトナムやフィリピンでも既にこの取り組みは始まっている。」

 アルファベット文字の光のパレードを読みながら、僕は自分が導く予想への絶望と、未知なる答えへの興奮の狭間で冷静な平熱を保っていた。

「用意された遺伝子情報にある特定の刺激を与えると、成人時に会得している性格や頭脳などの身体能力は概ねコントロールする事が出来る。これがアカシックレコードだ。」

 英語、ギリシャ語、ヒエログリフの文字列が表示され、長い歴史が生んだエディタが次々と人物パターンモデルを表示する。ウォルト・ディズニー、マザー・テレサ、スティーブ・ジョブス。世界的な著名人のサンプルが映し出される。全てが設計図通りの人生を歩み、必要な苦難と刺激を受け出来上がった成るべくしてなった英雄だという事なのか。

「視力を持たず、赤髪に恋をし、父を失い、母を必要以上に愛し、世界と古代に興味を持ち、そして言語に惹かれる。そうやって第三者から決められた行動パターンによって君は歩まされ、そして我々が望むように出来上がった。」

 母がユダヤ人でその事に負い目を感じなければ世界史に興味を抱かなかっただろう、母を愛していなければ固執する事も無かった。父を轢いたのが代議士でなければ、スキャンダルを揉み消す為全面的に罪を被せられる事もなく母の不法滞在は明るみになることはなかった。優しい父が人殺しにされたせいで父と安定した住処を失い放浪する事も無かった、そして僕の視力が正常であったのなら、左側から突撃した車の実際の運転手を嘘偽りなく言う事が出来、僕らは全てを失い虐げられ生きる事はなかったのだ。

 初めてのキスの感触、父へ染み込む赤い血、母の背筋を撫でるような視線、

 それら全て

「この世に偶然なんてものはない。運命はすべて記されていたのだ。」

 僕の抱いていた妄想は実弾となり脳へ風穴を開けた。風通しが良くなり少しすっきりとした頭で、僕は胸ポケットから自分の端末を取り出し床に落とした。

「あぁ、それでサブリミナルのサインにヒエログリフとギリシャ語のベースが使われていたのか。起源がそこなら、遺伝子レベルの無意識下には効果的かもしれないな。パーソナルアカウントネットワークのデータプロファイルに紐付けて、それぞれに適切なサインをアクセス端末へ表示させる。僕らはそれを無意識下サブリミナルで認知し、知らぬ間に国家規模で相関図が描かれれば、僕の初恋の相手は、予め用意された彼女になるわけだ。そうやって優秀な遺伝子を作為的に作り出し社会不適応の性格を排除し身体能力を上げる。生物学的には紀元前のマウスと然程変わらないくせに他を圧倒し異常進化を遂げた人間の進化論の真実がこれか。馬鹿げてる。」

「パーソナルアカウントネットワークを導入した先進国ではすでに八割方行われている、半世紀前からはだいぶ精度の上がったエディタに仕上がった。愈々世界は小さい国という単位で争っているフェーズの終焉を迎え、これからは個保存に向けて共存する段階へと突入したのだよ。」

 男はやっと少しだけ楽しそうに声を落とした。


「そして、君は愛する者を失う事で、真の英知へとたどり着く。」

 男は静かに目線を上げる、その先には演説台へと案内されマイクの前に立つ彼女、オリヴィアの姿があった。

「彼女が大統領演説前に歌う事も、仕掛けなのか。」

「彼女の才能と努力の結果、と言いたい所だが残念な事に彼女の運命もまた譜面上必要なキーなのだよ。彼女の歌が角笛のファンファーレとなり世界は最後の審判を迎える。」

「そんな事が可能なわけがない。」

「サインと同様のサブリミナル効果だ。彼女の声は特殊な周波数を含んでいてね、この音波を全世界に放映すれば、すでに因子を受け取っている国民は何の疑いもなくレミングとなる。」

 オリヴィアは少し緊張した面持ちで、それでもやすらかな表情で、この舞台の上で彼女の夢であった一人でも多くの人に歌声を届ける夢を叶えようとしている。

「世界の不具合の均衡を変える為、我々は再び戦わなければならない。彼女は戦への導きの笛を吹くヘイムダルだ。そして君は次の扉を開く知識のミーミル、ミーミルはヘイムダルのギャラホルンにより叡智を得る事が出来たと言われている。君なら知っているだろう。」

「あぁ、ミーミルは知識を求めたオーディンに代償として片目を要求したと言われている事から片目の描写をされている。これもレコードに記されたノルンの導きだなんて、ロマンチックな事を言うつもりか。」

「ああ、そうだな。実に素晴らしいだろう。」

 男は崇めるように手のひらを合わせ、仰ぐように天を、そして彼女を見た。

「ルーファス、あなたはなぜこんな事をしようとしている。」

「なぜ、か。理由などない。それが私のアカシャ盤だったからだ。」

 その言葉を言い終えた彼もまた、僕と同じ抗う事の出来ない大きな歴史の向こう側にある壮大な意思に対する不条理さと無力さを感じたかのように、曇りも輝きも無い瞳をただ僕に向けた。

「なぜ、こうなってしまったんだろうな。」 

 彼もまた、用意されたキーだ。

 男は映し出されていたアカシックレコードを再びヒエログリフとギリシャ文字に戻し、中央に彼女の中継映像を表示させた。

「何を、する気だ。」

 風に黒髪が揺れるホログラムに映る彼女の咽が、上下し、音色を紡ぎだそうと息を止める。


「さぁ、サイラス。受け取るんだ。」


 瞬間、響く彼女の歌声。空気を振るわせる滑らかな高音のハーモニー、細やかな旋律と微細なウェーブで鼓膜を優しく撫で、脳へとパルスを送る。ざわめき立っていた民衆は静まり、世界は彼女の歌声の為に沈黙をした。質感を持った音の波形に幾重にも包まれ、自己意識が覆い尽くされる。

 彼女は、世界中から愛される為に作られた、レコードだ。

 ワードの意味は僕に向けた、世界に向けた、愛を誓い合う人々の願い。

 貴方を愛さずにいる事など、出来なかった。

 それが僕にも、彼女にも仕組まれたレールだったとしても、出会えた事に感謝している、笑いあい、貴方と愛し合う事が出来た事が、幸せだった。黒髪が揺れる度香る貴方の匂い、目を細め笑う貴方の笑顔、柔らかく触れる暖かい肌、そして、僕の名を呼ぶその声、愛を歌う貴方の歌声。


 僕は、

「愛している、オリヴィア。」

 彼女の口元は柔らかい愛の言葉を返そうと動いてくれる。

 そしてキスをする時のように、vヴイの発音で唇を薄く開き優しく微笑んだ。


 その瞬間、彼女身体が跳ねた。

 異変に気づき彼女が認識する前に、身体は事務的に事実を受け入れ胸から大きな血をあふれ出させた。そのままの表情で重力に引き摺り下ろされる彼女が、ステージからこぼれ落ちる。


 それを見届けた世界は、彼女の身体が地につくまで完璧に音を失っていた。


「ああ、解った。」


 まるで初めから全てを知っていたかのように、僕は理解した。

僕はそっと、未だ、ただ無表情なままのルーファスのために引き金を引いた。

彼女が映し出されていたデバイス映像は彼女の跡地を映し出したまま

サイレンサーのおかげで静かで間抜けな破裂音が額へ穴を開けた。

銃から飛び出した空の薬莢が可愛らしい金属音を立て跳ねる。

誰かの微かな悲鳴を合図に民衆は一斉に混乱を迎えた。

デバイスに映される映像は乱れ慌しく揺れている。

彼も同じように静かに床へ崩れ落ちていった。

反響する群集の騒音が振動し響いている。

真っ赤な液体は壁に飛び散っている。

僕は、それを静かに眺めている。

静かに、涙を流しながら。

映像が流転し止まる

男は何も言わない

彼女が映る


 僕は、彼女を彩るように部屋を埋め尽くす、レコードの文字列へ触れた。

 微笑んだままの表情で永遠に止まってしまった彼女の頬を透かして漂う、

 アカシックレコードの最後の一文を読み上げた。




 木漏れ日が溢れるベッドサイドでの衣擦れの音に、僕はようやく目蓋を開ける。カーテンを開く音、そして少し悪戯な笑顔で頬を包み込む指先を抱き返し、僕は彼女におはよう、とキスをする。

「お寝坊さん。今日はポールの店に行くんでしょう?」

 抱き寄せようとする僕の腕をすり抜け彼女は洗面台へと向かった。少し冷たい清んだ朝の空気の中で君の体温がとても心地良かった。パジャマ姿のまま朝食を取り、出かけの支度をし外に出る。

「あぁ、おはようスティーヴン。」

「おはよう。この間借りた映画見たよ。僕はドッグヴィルの方が好きかな。」

「それは、あれだ。二コールが好きなだけだろう。」

 隣人は少し意地悪そうに笑い彼女を待つ時にだけ食べるペパーミントのタブレットを口に含んだ。僕はそんな彼に手を振り彼女と共に大通りを歩く。


 反対側からやってくるのは、ボーター・コリーのリードを引きジョギングをする女性、カフェから漂うカップルが飲む紅茶の香りは、ストレートのアッサムと早摘みのダージリン、その脇に置かれたSF小説「虐殺器官」を眺めている真面目そうな顔で車を運転している彼のBGMは、ケイコ・リーのブルージャズ「The Flame」、その隣の彼女の香水の匂いはフェラガモの「エフ・フォー」そして左側から愛を囁く、彼のバーバリーのコートに彼女は腕を絡ませた。

「朝食はそこの角のハニーワッフルにしようか。」

「あぁ、あそこなら美味しいアッサムが頂けるわね。」

 軽やかな笑顔で笑う彼女をたまらず抱き寄せ、僕は鼻を押し付ける。

「愛しているよ、クロエ。」

「えぇ、ありがとうスティーヴン。」

 二人は笑いあう。


 その様子を僕は、無数に広がるデバイスの向こう側で眺めている。


 同じ目じりに皴を寄せて笑いあい、同じ角度でキスをして、貴方と同じジョークで笑う。そんな男女の様子を見つめながら、僕はその様子をただただ傍観していた。

 僕がもし、何も知らないままオリヴィアと愛し合い世界を育んだとしたら、そんな「If」を考える。貴方を愛し、子供を生み老いるまでを生きる姿を思い描く。

「オリヴィア。」

 だから僕は僕らの物語の先を続ける事にした。


 オリヴィアが死んだ日、僕の読んだアカシックレコードの最後の一文を巡り壮大な隠蔽工作の末とある政府機関に僕は保護され匿われる事となった。そこで更なるアカシックレコードの解読と応用、そして実験を続けた。

 次の扉の鍵でもあった最後の一文、それはやはり御伽噺のような永遠の命を得るための構想だった。

 人間のハードウェアは遺伝子操作でも物質的限界を迎えており、100歳以上の延命確立は実際のところ1000年前とさほど変わらない状態だった。アカシックレコードの創造主たちは紀元前から「ソフトウェアとデータの引継ぎによる、永遠の命」の着想を持っていた。アカシックレコードは理想の人間を作る事がゴールではない。電子デバイスのようにソフトウェアと膨大なデータベースを取り替えの効くハードウェアに引き継ぐ事により半永久的に稼動させる、これと同じ構想がアカシックレコードの本当の意味だった。 

 特定のサブリミナルを刺激する事により、受信者は無意識下で自由の無い選択肢を選択し、趣向を変化させ、経験から用意された価値観を持ち、今までとまったく違う人間を"トレース“する事が出来る。そしてトレースされた人物から導き出される「行動結果」の解除するキーを彼女の歌声で流し込む。

 アッサムティーの味、ブルージャズの心地良さ、フェラガモの香水の香り、

 彼らは知りもしない味や匂いを、本人が知らぬ間に知っている情報として認知する、

 つまり人間のコピーこそが、アカシックコードの最後の一文だった。

 

 僕が行動し、その情報が蓄積され、蓄積情報を元に行動パターンを人々に植えつけ、さらにその上で作り出された無数の行動データを僕にリターンし、僕の行動パターンを重ね続けていく。年月を経て“僕”のアーカイバが次々とコピーを繰り返し自己的に行動し続ける。


 これにより僕の意思は、この世界で同じ永遠を生きる君に何度も恋をする。 

もし僕がフランスに生まれていて君と出会ったら、もし君が歌手ではなく近所のカフェの店員だったとしたら、あの日あなたが生きていれば。

 僕らが歩む事の出来なかったアカシックレコードに記されていないさまざまな君との恋の様子を、描き続ける永久機関。

 世界は本と紅茶を好み、平和と幸せにあふれた人生と彼女への愛で満ち溢れたエバーグリーンのような世界が、何度も何度も折り重ねられる。


 まるで偶然が折り重なった上で生まれた奇跡のように。


 デバイスの向こう側で微笑んだ、誰かの笑い皺が、彼女と同じである事に僕は、そして世界中の僕は、喜びを感じていた。

 全ての世界が、終わらない愛で、包まれればきっと正しい方向に向かうに違いない。アカシックレコードなどに記された運命ではなく、これから僕らが紡ぐはずだった時を越え貴方と幾億通りの恋をする世界。


「愛している、オリヴィア。」


 世界中に広がる、彼女の心がそれに答えるように、柔らかい愛の言葉を返そうと動いてくれる。

 そしてキスをする時のように、vの発音で唇を薄く開き優しく、オリヴィアは微笑んだ。


End.




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■引用詳細

佐藤 慧吾著「エバーグリーン」より、最終章抜粋。

二〇拾一年拾月六日 - 出版。


■佐藤 慧吾(さいとう けいご)

 90年代最後の日本SF作家。衝撃的な作家デビュー後2年ほどで早逝。

河原美術大学の映像学科卒業、シネフィルとしても有名で幅広い映画(取り分けSFジャンルについては多く)評論ブログを運営しており、本人も学生時代の映像作品をいくつか残している。中でも脚本家「かけい 圭記よしき」の作品に多く影響を受けており取り分け「Eye's Wide Shut.(原案)」の熱狂的ファン。短編集にはいくつかこの作品へのオマージュが込められた作品が残っている。

 死後、遺作となった2作目『回帰廻廊』は7回フレデリック・M・マーシ賞を故人で初めて受賞した。

 生前作品は2作品だが、多くの短編の収録や未完原稿が引き継ぎ執筆されるなど、今尚彼の活動は続いている。

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