19 決着
――さなかった。
『待て。我が
『汝は、正義と善について発言したが、どちらが優先される?』
と、ロールズ・ロイズ先生。
「
「しまった……」といった顔をしながら、コックピットのアガイペーが答える。
――かつてのヒューマン哲学者、ジョン・ロールズが語った理論だ。
◇
『
『
「え、ええ……そうですね……」
鼻下のヒゲをつまみながら、機動哲学先生同士の議論に若干ムラムラする、エロースムッシュ・
――ノスタルジークは、かつてのヒューマン哲学者、ロバート・ノージックをベースにした機体であった。
◇
『
と、ロールズベースの機動哲学先生「ロールズ・ロイズ」が反論する。
◇
『
『また、ロールズの理論ですら、正ではなく、一つの善に過ぎないではないか。そうだろう? 我が
「まぁ……そうにゃん?」
さらりと流す、スフィーリア女史。
――「正義」と「善」というキーワードを、思わず使ってしまった
3体の
◆
「どういうことだ?」
カントムのコックピットでは、コムロ・テツ少年が困惑していた。
『議論モードに入っているのだろう』
と、カントム先生の分析。
――敵の3体は、このまま半包囲戦法を続けていれば、明らかに優勢に立てたはずなのだ。
マイケノレ隊の時とは異なり、
それならば、数で押せる事になる。
しかし――
「コムロ! 各個撃破だ! 敵が力を溜める前に」
通信機を経由して、戦艦ハコビ・タクナイの艦長キモイキモイからの指示が来た。
(そうだ! 敵
コムロは素早く状況を理解。カントムのフットペダルを踏み込む。
狙いは敵の――左翼から!
◆
敵の3機の
『
『しかし、
「……お、おい……?」
『
『
「……あ、あの……?」
混乱する、3人の
――
そこに突入してくる、
「先生方! 敵が来たぞ!」
……
……
『
「
「……ひとつ!」
コムロの、お約束のカウントが入る。
「
マイケノレ・サンデノレのジャスティス・ライフル。
カントムは急減速してライフルの弾丸を回避しつつ上下反転。続け様、ブレードをライフルに変形させ2連射。
『
「
「……ふたつ!」
コムロの、お約束のカウントが入る。
「貴様! よくも
――
互いにスラスター全開で急接近したロールズ・ロイズとカントム。
カントムは、その手の
『
「……たくさん!」
コムロの、お約束のカウントが入る。
――3つ以降は、カウントする気がないようだ。
◆
「
「おおお! すげぇキレイじゃん!」
母艦「ジャスティスン」では、洗濯が行われていた。
「ロールズ・ロイズ」「ノスタルジーク」「マイケノレ・サンデノレ」の3機が、母艦の後退行動中に戦功を狙い発進してしまってから、既に2日が経過していた。
彼らは知らずにいた。
――索敵圏外へと猪突したその3機が、ことごとく、敵の1機の
―続く―
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