tkma

第1話

雨上がりの帰り道、国道の上。

傘は差したまんま、なんとなく。

振り返ると、交差点。

君がいた場所、消えた場所。

いつもここから独りぼっち。

水とタイルを踏み鳴らす。

ピチ、パチャ、ピチ、パチャ、踏み鳴らす。

寂しくなんてないもんね。

こんなのはもう慣れっこ。

差し掛かった橋の上。

見上げればそこに、オレンジ色。

灰色と白、光と影。

雲が裂けて陽が覗く、とてもきれいな帰り道。

頂上過ぎて、振り返る。

夕日を背にして振り返る。

あれあれ、あれれ?誰だろう。

こんなところに幼い子。

きれいな、きれいな、幼い子。

白いワンピに七色リボン。

差している傘も七色で。

くるくる回して遊んでる。

微笑む彼女に聞いてみた。

あなたはだあれ? -答えない。

どうしてここに? -答えない。

それでも微笑む、不思議な子。

くるくる辺りを見回して。

その子を見ようと振り返る。

あれあれなんで?消えちゃった。

不思議なあの子は消えちゃった。

おひさま隠れた、オレンジの。

世界にひとり、残される。

諦めひとり、橋を降り。

心残りに振り返る。

橋の上のマンホール。

虹色傘が、回ってる。

くるくるくるくる、回ってる。

おひさま顔出す、オレンジの。

世界を背にして見つめてる。

だけどその子は見えなくて。

傘もいつの間にかなくなって。

それでも君はきれいな子。

きれいな、きれいな、可愛い子。

ああそうだ、この空を。

ファインダーに収めてシャッターを。

切ったら分かった、なるほどね。

君の名前は-。

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