第2話
けいちゃんはそれからおかしくなった。けいちゃんの親友は私の親友でもあるけど、元からおかしかったという、そう思うけどそれでも私は家族はけいちゃんはそういう性格でそれでも大丈夫だと思っていた。
石ころが転がっている。
けいちゃんは小さい頃きれいな形をした石ころが好きだった。
けいちゃんはあまり外に出なくなった。けいちゃんの友だちが就職に誘ったり、私のバイトの後を頼んだりした。それもよくなかったと思う。けいちゃんは面接にも行った。私の後も頑張った。けれどけいちゃんはますます話すのが苦手になっていく。家での態度がでかくなる。私はけいちゃんと一緒にいるのがいつも嫌だった。
けいちゃんと離れた。けいちゃんが来れないところに行きたかった。行けた。電話が来た。あんまりしつこいと切った。私は嬉しかった。同じ部屋でおさがりばかりで、元から狭いあの家から早く出たかったから。
けいちゃんは大丈夫じゃなくなっていった。清潔とは程遠くなっていくけいちゃん。アトピー持ちでお風呂に入るのが嫌い。水泳も得意じゃなかった。私も得意じゃないけど水は好きだし、泳ぐのも好きだ。お風呂はもっと好きだ。実家に帰るとけいちゃんの風呂入れ係になった。19歳と21歳が同じ湯船に入った。一度入るとけいちゃんは長い。頭皮がしみるからゆっくりとお湯をかける。私は最低限10分でいい。ましてや頭痛持ちで長湯するとすぐのぼせる。長くて1時間けいちゃんと入り、あとは降参した。けいちゃんは長くて3時間以上もお風呂場にいる。
けいちゃんはますます大丈夫じゃなくなった。
けいちゃんは外に出なくなった。
けいちゃんはよく小さい頃から言ってくれなかったからこうなったと話すようになっていった。お風呂もハミガキも、ご飯も運動も勉強も、こうなったらもう終わりなんだと話すようになった。
けいちゃんが23歳になった夏。私は仕事ができなくなった。私はバイトを1ヶ月してその夏に実家に、けいちゃんのところに帰ってきた。
けいちゃんは転がっていた。
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